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四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭


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六十一話 トドメ

 今日の授業が終わり、放課後になり紗奈さなさんと手を繋いで外に向かう。


 昨日の約束通り、俺は今から彼女の家にお邪魔させて貰うので楽しみで仕方がない。

 もはや欲を全面に押し出しそうになるが、なんとかそれを堪える。


「久しぶりにできるね、今日は楽しまなきゃ♪」


 一体何ができるというのだろうか?大体予想はつくものの、そんなことをすれば " こっち " まで反応してしまいそうなので、敢えて気付かないフリをした。まぁ俺たちの間にそんなのは不要だが。



 楽しみがあるからだろう、どうしてか彼女の家に着くまでが異様に長く感じた。それだけ待ちわびているということだろう。

 彼女曰く用意はできてるとの事で、もしかしなくてもいつの間にかアレを買いに行っていたのだろう事は想像に難くない。一応俺もカバンに忍ばせてるし。


 長く感じたとはいえ、喋りながら歩いているウチに紗奈さんの家に到着し、上がらせてもらう。

 彼女は待ちきれないと俺の手を引いて部屋に急ぎ、入ってすぐにキスをしてきた。

 その勢いは凄まじく、ベッドに押し倒されてしまうほどだ。


「今日ずっと、ムラムラしてたんだぁ♪」


 仰向けになった俺の上で馬乗りになった彼女がそう舌なめずりをした。その姿は、精根尽き果てるまで喰らい尽くさんとするさながら淫魔のようで、思わずゴクリと喉を鳴らしてしまった。


 俺は今日、干からびるかもしれない。




「あれ、紗奈さん。その……ゴムは?」


「ないよ♪」


 事に及ぶ直前になって問いかけたソレに、紗奈さんは笑顔で答えた。カバンからブツを取ろうとするもののそれをはばまれる。


 寝かされた俺、上に乗る紗奈さん。されるがままにしていて気付かなかったが、いつの間にかその行為が本来の意味となってしまい、ただ困惑するまま事は進んでいくのだった。完全に流されていた俺である。



「はあああぁぁぁぁ……」


「あはは……ごっごめんね?先に言っとかなくて」


 どうやら " 無し " でやっても大丈夫なように準備はしてあったらしく、その為に最近は行為を控えていたらしい。しばらく誘いがなかったから変だと思った。


「いやまぁ、紗奈さんなりに考えてくれてたってわけだし……そうだね、ありがとう紗奈さん」


「っ!……もう大好き!」


 少なくとも彼女の行為に悪意も他意もなかったわけだし、ソレを責める必要性も感じなかったので、あまり気にされてもと俺がそう言うと彼女が嬉しそうに抱きついてきた。

 そのままキスをして、その後も何回も行為に及んだ。


 それなりの時間になる頃には、割と本当に精根尽き果ててしまった。すっからかんである。

 対する紗奈さんはとてもツヤツヤとしており余程楽しんでいた事が窺える。それなら良かった。


「えへへ♪いっぱい付けて貰っちゃった♪」


「俺もだね」


 お互いあちこちにキスマークをつけてしまったせいで首筋やら腕やらお腹やら肩やら、上から下まであっちこっちにソレが付いている。

 これはやばいな、ひゃー!


「樹くんってばもっと付けても良かったのに」


「いやアカンでしょ」


「いいよぉだって周りに対するアピールなんだもん、ちゃんとマーキングして?」


 首に手を回しながらの破壊力抜群なセリフにまた少し燃え上がってしまったが、それを最後に今日は帰ることにした。


「じゃーね♪」


「うん、また明日」


 お互いに手を振り合いながら帰路に着く。

 その途中でなんと、またもや麻緒まおと出くわしてしまった。まぁ家この辺って言ってたししょうがないか。


「あっ……こんばんは、樹」


「こんばんは」


 話すこともないとさっさとすれ違う。彼女から向けられる視線が妙に熱っぽかったが……まぁ気にしても仕方ないと、放って歩みを進めた。


 もしかして、首筋についた跡をみられたのかもしれないが、もう日も落ちている時間帯だしさすがに分からないだろうとその思考を振り払った。



 ───────────



 ウチは夕食を食べたあと、腹ごなしにちょっとした散歩に出るという日課がある。

 まぁもうすぐ寒い季節になるから、その間はやらないけどね。

 それに散歩といっても夜なので、家の周辺を回るだけという五分から十分程度のソレだ。


 そして今日、その時に七瀬さんと一緒にいたであろう樹とばったり出会った。

 街灯に照らされた彼の首筋には、新たに付いたであろう赤い跡があり、それがつい先ほどできたものであることはすぐ分かった。


 樹からはまるで風呂上がりのようないい匂いがしたし、多分七瀬さんの家にでも行ってシャワーを浴びたのだと思う。


 つまり、二人が行為に及んだことは想像に難くなく、それはすでに狂ったウチの情緒を刺激した。


 たぶんもう、ウチは樹のことを " そういう目 " でしか見ることはできないのだと思った。


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