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四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても  作者: 隆頭
本編

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二十七話 物事は上手くいかない

 結局あれから 麻緒まおからの接触はなく穏やかな時間を過ごせた。

 今日の授業が終わり、二人で図書室へ向かう、さすがに昨日の今日で観月みづきが来ることもないだろう……と思う。

 俺たちだって本が読みたいし、それを邪魔される謂れもない。


 しかしその途中……


「あっ、たつきくん」


 どうして観月がここにいる?槍坂と一緒に帰るとでも思っていたがこうもすぐに接触を図ってくるとは。


 そう思ったのだが、よくよく考えてみれば俺たちが '' あの事 '' を知っているのは彼女らも知らないだろうし(朝の出来事を共有してなければの話だが)、昨日はあくまで本の話をして別れたのだ。剣呑な別れ方ではなかった。


 とはいえ怪しいものは怪しい。何を企んでいるのか知らないが、関わりたくないから避けさせてもらう。


紗奈さなさん、帰ろうか」


「だね」


「えっ」


 鬱陶しいので帰ろうとすぐに踵を返すと、観月が焦ったようにこちらに近付いてくる。


「待ってください!図書室に来たんですよね?ただご一緒させてくれれば……」


「失せろ」


 本当になんなんだ?

 もしかして槍坂やりさかはあの時、晴政はるまさにキレられたことの意趣返しでも企んでるのか?……分からない。

 ただ少なくとも観月と麻緒とは関わらない方が良いという事だけだ。

 もういじめられるのは嫌だから。


「そんなっ、昨日は普通にしてたじゃないですか!」


 なんか言っているが返事をせず二人で歩く。

 下手に関われば槍坂が現れるかもしれないからな、もしかしたらもうすぐそこにいるかも……


「樹くん、せめて少しくらい……」


「うぜぇ」


 勘違いしないようにはっきりと不快である事を伝えると、観月が怯む。


「いい加減にしてくれ、昨日 槍坂から何言われたのか知らねぇけどマジ迷惑。俺お前になんかしたか?」


「えっ…?」


 牽制の為に槍坂の名前を出してみるがあくまでコイツもとぼけるつもりらしい。

 驚いた顔をして固まっている。

 その白々しさに付き合っていられなかったので観月を無視して帰る。


 諦めたのかは分からないが、少なくとも今は追いかけてくることはなかった。



 ───────────



 樹くんから言われた言葉に驚きが隠せない。

 もしかして昨日の出来事を見られた?


 彼とは せめて前のように仲良くしたかったので今日も一緒に図書室で本を読もうと思い声を掛けたのだけれど、にべもなく返され最後に言われたのがアレだ。

 たしかに昨日は槍坂先輩に助けてもらったしヨリを戻さないかと聞かれたけれど、樹くんにそこまで怒られるようなことしたのかな……?


 もしかして彼と何か関係があるのかと疑われている?そして先輩が 私を樹くんにけしかけたと思われている?

 樹くんの言い分から察するにそういう事かもしれない。完全に勘違いだ。


 とはいえ先輩の樹くんに対する反応はかなり悪いものだった。彼から警戒されるのも有り得ない話ではないだろう……むしろそう思われてしまってもおかしくないし、現にそれっぽいことを言われた。


 なんとかして樹くんの誤解を解かないと、彼と離れるなんて考えられない。

 もう一度……もう一度樹くんとお喋りがしたい、本の話題で盛り上がりたい。

 ただ、好きな人と一緒にいたいだけなのに!


 前のことは私が悪かったけど、今回は間が悪すぎると思う。

 せめて誤解を解かないといけない。


 先輩とはなんの関係もない。

 私は昨日、《《復縁の話は断った》》のだから……

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