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5 「カグヤの研究室①」

 生徒達が登校している中、カグヤは見つからないように気配を消しながら研究室を探している。

 学園長に聞こうとしたが、廊下から教師が来る気配を察知して急いで隠れて他の場所へ移動してしまった。


「やらかした。どうしようか……っと」


 生徒達が廊下を歩いてくるのを察知して、カグヤは教室に入る。運良く誰もいなく開いていたが、この教室にいつまでもいたら見つかる。


「寝てばっかだったから学園の構造、全部理解できてないんだよな。一旦、外に出るか」


 生徒達が通りすぎたのを確認した後、教室から出て隠れながら廊下を歩く。なんとか外に出ることができたが、生徒達が多い。近くにあった茂みに隠れる。


「訓練場だったら誰もいないはず。多分」


 学園の訓練場は闘技場並みに広い。移動しようにも生徒達が多すぎる。


「ダメだ。他の場所は……」 


 考えに考えた結果、メビウスを見つけることにした。


「メビウスなら俺の研究室の場所分かってるぅ……はずだけど」


 一つの可能性に賭けてメビウスを探そうとしたが、やめることにした。メビウスは教師だ。今は授業の準備をしているかもしれない。


(いや、やっぱり自分で探すか)


 気づくと外には生徒達はいなかった。それぞれ、教室に行ったのだろう。今のうちに研究室探しを続ける。


「そういや、書類になんか書いてあるかな?見落としてる可能性……うん?」


 カバンから一枚の書類を出す。クレイナル学園の学園案内の紙。裏にするとなにか書いてあった。


「あっ、マジか。普通に見落としてた」


 裏にはカグヤの研究室の場所が書いてあった。


×××


 時間は遡り、カグヤの家が強盗にあった日。クレイナル学園の学園長室ではノスとメビウスが椅子に座っている。


「メビウス、今の状況は?」


「強盗はカグヤの家に入りました。カグヤと遭遇して茶番を始めました」


「待て。茶番?どうなっている?」


「牛乳を飲んで会話。強盗の悩みは解決してカグヤの家から出ていきました」


 瞼を閉じて状況を報告しているメビウスに困惑するノス。強盗が入ったら茶番など聞いたことがない。メビウスは瞼を開ける。表情から疲れを感じとる。


「メビウス、茶番というのは?」


「茶番は茶番です」


「そう……か。分かった。無理をさせてすまない。メビウス」


「いえ、お気になさらず」


 メビウスが疲労しているのはメビウスが魔法で人間を作り、てきとうな設定をしてカグヤの家へと向かわせた。強盗は家から出た後、人目のつかない場所へ向かい、白い粒子となって消えた。


「なぜカグヤを?他にもいるでしょう?」


「たしかにいるだろう。しかし、俺はカグヤがいいんだ。権力に恐れてあいつを退学させてしまった」


 ノスには罪悪感があり後悔している。


「嫌がると思いますけど?」


「大丈夫だ。あいつは受け入れてくれる」


「はあ、そうですか」


 自信ありげに言うノス。


「メビウス、まだ頼みがあるんだが、いいか?」


「……はい。カグヤの家に行けばいいんですか?」


 ため息をして了承する。


「感謝する。それで、カグヤに渡したい物があってな。これを渡してくれ」


「手紙と書類?」


 ノスから渡された手紙と書類を渡される。


「それを渡すだけでいい」


「分かりました。では」


 メビウスは手紙と書類を持って学園長室から出る。


「頼むぞ。カグヤ」


 ノスは椅子に座ってカグヤが来ることを願う。 



 ドアからノックが聞こえてくる。誰か来たのだろうか。カグヤかと思い、カグヤ専用の研究室の鍵を探す。


「これか」


 もう一度ノックの音が聞こえる。


「入れ」


「失礼しまーす。カグヤ・ユズリハです」 


 ノスの願いは叶った。


×××


 カグヤは書かれていた場所へと移動する。研究室は芝生広場の近くにある廊下の壁側。そこにカグヤ専用の研究室があると書かれていた。


「誰もいないよな」


 芝生広場にも廊下にも誰もいないことを確認して、廊下へと向かう。


「ここか」


 廊下の壁側にはドアがある。ドアの上には「カグヤ」と名前が書かれていた。渡された鍵でドアを開ける。


「中はどうなってるかなー」


 少し豪華な内装になっているかという期待を持って入るとカグヤの期待は砕け散った。


「ここが俺の研究室?……マジかー」


 研究室に入り、ドアを閉める。ボロボロのベットにテーブルと机、椅子、棚だけしかなかった。研究室が広いのはいいが、内装がひどい。


「広くなった牢屋かな?俺、そんなひどいことしたっけ?心当たりがない」


 テーブルにカバンと刀を置き、ベットに座る。ベットは硬く、枕の代わりか石が置いてある。


「石?これを枕代わりにして寝ろって?最悪だ」


 ベットに仰向けになって石の上に頭を乗せる。硬くて痛い。それを我慢して寝ることにした。

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