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ダメダメ眠り剣士  作者: 相川悠介
第一章 ニート剣士
17/40

17 「教師、辞めます」

 カグヤ達四人は屋敷を出ると、ノス、ウェル、ロノと冒険者達四人が集まっていた。


「お待たせしてすんません」


「戻ってきたか。それで、手がかりはあったか?」


 ノスがカグヤに聞くが、カグヤは首を横に振る。


「ないか。こちらも調べたがなにもなくてな。冒険者達の方もなかったらしい」


 カグヤは冒険者達を見ると、冒険者達四人は頷いている。


「学園長、どうしますか?この件について」


 ウェルは屋敷を見て、ノスに聞く。ノスは瞼を閉じて考え込む。学園の教師達と生徒達に言っても、困惑するだけだ。フラエイ家と友好的な家系は少ない。


「……学園の皆に言う。異論がある者はいるか?」


 どうやらいないらしく、カグヤ達は黙っている。ノスは自分が決断したことに異論する人がいないと確認すると頷く。


「学園に戻るぞ。冒険者達はこの件については他の冒険者達に言っても言わなくてもいい」


「分かった」


 冒険者達四人のリーダーが返事をして仲間達は頷く。ノスは次にルークとエレメンを見る。


「調査に協力してくれて感謝する」


「暇だったからいいよー」


「……はあ、どういたしまして」


 ルークは笑顔で言うが、エレメンは眠いのかうとうとし始めた。冒険者達四人は屋敷から離れる。カグヤはルークとエレメンを見た後、ノスに聞く。


「学園長、話があるんでちょっといいですか?」


「うん?分かった。メビウス、ウェル、ロノ、少し待っててくれ」


「あざまーす。ルーク、エレメン、こっち来て」


 メビウス達三人から少し離れたところにカグヤは学園長とルーク、エレメンを集める。


「話とはなんだ?」


「俺、今日で教師辞めていいですか?」


「おっ?」


「カグヤさん?」


 小声で会話しているのでメビウス達には聞こえていない。ルークとエレメンは驚く。


「……理由はなんだ?」


「疲れたんで。それに、学園長はワイドの学園での過ごし方を改善させるために俺を教師にしたのでは?」


 カグヤの推測が当たったらしく、ノスは申し訳なさそうな表情をする。


「ワイドに関する問題は対処するのが難しかった。どれだけ注意しても問題行動は起こす。どうすればいいのか分からなかった。そこで、俺は愚かな策を考えた。それが、カグヤが言っていたことだ」


「で、最終的にこんなことになってしまったと。なるほど」


 カグヤは屋敷を見て、淡々と言う。


「カグヤ、申し訳ないな。お前に無理矢理……」


「悪かったと思ってるなら、俺の願い事は聞いてくれますよね?教師辞めてこの二人と旅をする。その願いを」


「カグヤ君!」


「え、本当にするんですか?」


 ルークは嬉しそうにカグヤを見るが、エレメンは困ったような表情をしてカグヤを見る。ノスは苦笑し、頷く。


「分かった。だが、今日は剣技の授業があるはずだ。それが終わったら、お前はお前がしたいことをしていい」 


「ありがとうございます」


 ノスはそう言うと馬車へ向かう。カグヤは解放されたかのような気分になり、心がスッキリした。ルークはカグヤの背中を叩きながら笑う。


「あっはっはっ!カグヤ君、最高だよ。また、一緒に旅ができて嬉しいよ。エレメンちゃんもそう思うよね?」


「またですかー」


 嫌そうな表情をするエレメン。


「いいじゃん。それに、頼みは受けてくれたから、俺が今、使ってるベットで寝てもいいんだよ?」


「そうでした。ふふん」


 エレメンは機嫌が良くなったのか、嬉しそうに笑う。


「カグヤー、早く戻るわよー」


 メビウスが、馬車の近くでカグヤを大声で呼ぶ。


「カグヤ君、明日はどこにいたらいいかな?」


「明日?二人とも学園に来れば?剣技の授業が終わった後、すぐに行けるように俺の研究室にいればいいじゃん」


「カグヤ君の研究室……なにもなさそう」


「カグヤさんに研究室って言葉、あまり似合わないですね。バカにしてるわけではないですよ?」


 分かっている。カグヤは自分に似合う言葉は、ニートや睡眠ぐらいだと思っている。


「へいへい……二人は隠密魔法使いながら、転移魔法は使えるよね?」


 ルークはドヤ顔でカグヤの両肩を掴む。


「愚問だよ。そんな簡単なことができないとでも?僕とエレメンちゃんが」


「普通の人には難しいですよ。私達が異常なんです」


 エレメンの言っていることは正しい。ルークとエレメンは異常な存在だ。


「そうかな?そうかも……いや、簡単だよ!」


 カグヤの両肩から手を離し、両手を握り締めてエレメンに言うルーク。そんな彼にエレメンはため息をする。


「じゃあ、学園に戻るから。二人はバレないようにね」


「分かった!」


「了解です」


 カグヤはメビウス達が乗っている馬車に乗り、学園へと戻る。ルークとエレメンは馬車を見送る。


「さあ、学園へ行こうじゃあないか。エレメンちゃんは学園の場所は知らないと思うから手を繋いで。そしたら、一緒に転移できる」


「分かりました。と、その前に隠密魔法です」


 ルークとエレメンは隠密魔法を使い、エレメンはルークの手を握り、ルークは瞼を閉じると地面に青い魔法陣が現れる。

 そして、二人はその場から姿を消す。

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