表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメダメ眠り剣士  作者: 相川悠介
第一章 ニート剣士
13/39

13 「つまらない戦い」

 迫ってくる剣を手の甲で防ぐ。


「なに!?なぜ?!」


 男性は退屈そうな表情をしている。手からは血が出ていない。従者は困惑しながら乱暴に剣を振る。男性は剣を掴み、ため息をする。


「振りがダメダメだよ」


「っ!?」


 力を入れて剣を砕かれて従者は理解が追いつかず、震えながら後ずさる。男性は従者に近づき、剣を振り下ろそうとしたが、後ろに飛ぶ。


「やっと動いた」


「外したか」


 三人組のリーダーが一本のナイフを男性に向けて投げた。しかし、避けられ壁に突き刺さる。他の二人はいない。従者の前にリーダーが立ち、剣を構える。


「おっと?」


「うぐっ!?」


 男性は一人の冒険者の首を掴んでいる。気配を消していた冒険者が背後から刺そうとしたが、男性はどこにいるのか分かっていたらしく、バク宙をして冒険者の背後に着地して首を掴んだ。


「相手が悪かったね。バイバイ」


「はな……」


 冒険者の全体が赤く燃える炎に包まれて一瞬で黒い灰となった。それを見て動揺したのか、気配を消していたもう一人の冒険者は足音を立ててしまい、位置がバレる。


「残念だったね」


 男性は冒険者に向かって走る。冒険者は瞬きをすると視界に入っていた男性はいなかった。


「後ろだよ。後ろ」


「?……かはっ」


 男性の声が後ろから聞こえる。振り向こうとしたが、口から血を吐き出し、理解が追いつかずに倒れる。冒険者の胸には穴が開いていた。男性の剣には血がついている。


「もう終わりか」


 視界に入っている従者とリーダーを見て肩をすくめる男性。リーダーは男性に剣を向ける。男性はなにをするのか分かっているらしく、軽く剣を振り、ついていた血を飛ばす。男性もリーダーに剣を向ける。


「後ろにいる従者も巻き込むことになっちゃうけど……いいや」


「これで終わらせる」


 リーダーの剣の先に赤い粒子が集まる。男性の剣の先には赤い粒子と黒い粒子が集まって混ざり、禍々しい赤黒い色に変色した。


「うおおおおぉぉぉー!」


「……」


 リーダーは剣先に集まった赤い粒子を光線にして発射する。男性も剣先に集まった粒子を光線にして発射する。お互いの光線がぶつかり、爆発すると思ったリーダーと従者だったが、男性が発射した光線は威力が強すぎてリーダーが発射した光線を簡単に押し返して二人を襲う。

 二人の姿はなく、灰すらもない。地面は削れていて周りにあった建物などは強力な風圧で崩壊している。


「公園で待ってるんだったけ。早くしないと」


 男性は剣を収めて空間を消そうとしたが、倒れている冒険者を見て、なにかに気づいた。


「死体……灰にして袋に入れておけばいいか」


 冒険者の全体を炎で燃やして灰にする。魔法で袋を生成して、灰を袋に入れる。


「証拠は消した。待てよ?もう一人、燃やしたはず……風でどこかに散っちゃったか」


 男性は指を鳴らすと創った空間は消えた。周りには人々が歩いている。地面や建物にひびはない。


「公園に行かないと。多分、寝てるかも」


 男性は急いで公園へ向かう。



 公園では、一人の少女が眠たそうに欠伸をしている。静かな公園、涼しい風を受けて、少女の目はとろんとしている。


「眠い……少しだけなら寝ても大丈夫ですよね……」


 少女は瞼を閉じて、ベンチの背もたれに上半身をつけて頭を下げる。 


「すぅ……すぅ……」


 公園には少女の寝息だけが聞こえる。誰もいない、動物もいない。


「……んあ?」


 少女は瞼を開ける。遠くから足音が聞こえる。


「ごめーん、遅くなっちゃった」


 明るい声で謝る男性が少女の元に走ってきた。少女は不満そうな表情をする。


「あなたなら一分もかからずに終わらせることは可能なはずなんですけど……遊んでました?」


 男性は肩をすくめる。


「遊んでないよ。僕は殺す前に相手と話してた。それで時間がかかったんだ」


「話す必要性はないと思いますが……それは?」


 少女はため息をして、男性が持っている袋に視線を向ける。男性は袋を揺らすと中からサラサラと音が聞こえる。


「殺した人の灰だよ。あっ、体内にある肺じゃないから大丈夫だよ。うん」


「分かってますよ。それにしても、 死体を灰にして証拠隠滅とは……成長しましたね。感心しました」


 冗談で男性を称賛すると、笑顔で「ありがとう!」と純粋に称賛の言葉を受けた。少女は呆れてベンチから立ち上がり、背伸びをする。


「まだ、することはありますよ」


「そうだね。フラエイ家を滅ぼさないといけない。作戦はどうする?屋敷全体を燃やすのはどうかな?」


「ダメです」


「え!なんで?」 


 男性は首を傾げる。


「逃げられますし、すぐに消火されます。暗殺者らしく、バレないように屋敷内の人を殺すのがいいかと」


「うわー、時間かかりそう。君はそれでいいの?僕はいいけどさ。めんどうだよ?」


「いいんですよ。面倒ごとで疲れて寝るのがいいんです。あなたには分からないと思いますが」


 その言葉を聞き、男性はジト目で少女を見る。


「まあいいや。作戦は決まったから早く終わらせよう。フラエイ家の屋敷は分かる。ついて来て」


「分かりました」


 二人はフラエイ家へ向かう。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ