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エンツォールの宝石姫  作者: ゆりあ
番外編
7/7

〈黒玉の宝石姫〉ヘンリエッテ

大国・シェインジェル王国。


初代国王の第三王子が婿入りされた

王族のひとつ、エンツォール辺境伯家。


若くして、16代目のエンツォール辺境伯

となったリオネール夫妻の元に、黒の長髪に

ジェットのような瞳の持ち主の少女が養女

として引き取られ、大切に育てられました。


〈黒玉の宝石姫〉ヘンリエッテ・フォン・

メリサディオ・スージャー・エンツォール


そう呼ばれている彼女こそ、

スージャー侯爵家の長女として誕生し、

16代目エンツォール辺境伯当主夫妻の

養女となった少女です。



わたくしは、ヘンリエッテ。


海の街、国防の要、エンツォール

辺境伯家の養女として育った者です。


エンツォール辺境伯の一人娘である

〈翠玉の宝石姫〉フィオレッラお姉様が

実妹のように可愛いがってくださったり

義理のお祖母様となった〈蒼玉の宝石姫〉

ラウレンティア様は、大変優しかったり


実家とは違って、平穏な毎日を送って

今季の春、19歳となりました。




「やあ、ヘンリエッテ姉上!

今日は、出席しているんだね!」


「エドウィス……… ええ、そうよ。」


ああ、久しぶりに、王都の社交界に

参加しましたら、苦手な少年に会いました。


彼は、実父のスージャー侯爵と、後妻の

キャシー夫人との間に生まれた息子です。

私の7歳下の異母弟にあたります。


キャシー夫人に似たようで………


「ふーん………? まあ、いいけどさー

今、婚約者探ししているんだ。だからさ、

姉上、僕の邪魔はしないでおくれよ?」


「ええ、もちろん、邪魔はしませんよ。」


今日は、エリック国王陛下の孫娘にあたる

シェリーナ姫が参加しています。


生家のスージャー侯爵家は、初代国王の

第二王女が降嫁された王族のひとつです。


シェリーナ姫を妻に………

と考えているのかもしれませんが、

シェリーナ姫は、サンテタール公爵家の

嫡男、アルトライム様に嫁入りする予定と

お祖父様から聞いていますよ。


「まあ、ヘンリエッテ姉上には、

田舎貴族なりに田舎貴族の婚約者の方がー」


「それ以上言うと、まるで、姉上をいじめて

いるように見えるぞ。」


「………えっ? あ、貴方は………!」


「オリヴェル殿下………?」


急に、私たちの後ろから声が掛かりまして

思わず、振り向きましたら………


さらさらと輝く銀の短髪に、アルディオン

お祖父様と同じ黒い瞳の青年が。


この方は、ジルヴェータ王国、国王陛下の

レイナート様の孫、オリヴェル・フォン・

ケイティー・ジルヴェータ殿下です。


「君たちは、この国の者たちかな?」


「はい、スージャー次期侯爵、エドウィス・

フォン・ダンターナ・スージャーです。」


さすがの、エドウィスも、隣国の殿下の

前では、大人しくなりました。


私に言った言動を、なかなか大変なお方に

聞かれてしまったのですから。


「私は、エンツォール辺境伯家の養女になり

ましたヘンリエッテ・フォン・メリサディオ・

スージャー・エンツォールでございます。

エドウィスの異母姉です。」


「ああ、エンツォール辺境伯の愛娘の一人か。

エドウィス、養女とはいえ私の親族に対する

態度は、何故か、答えれるかい?」


「えっ!? そ、それは………母上が………」


「言い訳は結構、立ち去りなさい。」




「姉弟喧嘩なのかもしれないが、

さすがに、目の前で始まったからね。

見て見ぬふりは嫌なんだ。すまないね。」


「いえ、オリヴェル殿下、エドウィスは

なかなか厄介な異母弟なので困ってまして

誠に、ありがとうございます。」


この方の祖父にあたるレイナート陛下は、

私の義祖父、アルディオンお祖父様の従兄。


つまり、エンツォール辺境伯のお養父様の

親族にあたる方ですから噂は聞いていますが

なんてお優しいのでしょう。


「ヘンリエッテ、もし良かったら、このまま

ゆっくり、話さないかい?」


「は、はい! 私で良ければ、喜んで。」


「ふふ。 ありがとう。」




「ヘンリエッテー!」


「は、はい、なんでしょうか?お姉様!」


数日後、エンツォール辺境伯家へ帰宅したら

いきなり、フィオレッラお姉様から呼ばれて

お父様の元へ行きました。


し、執務室………私は、時々しか入ったことが

ないので、緊張します。


「お父様、いったい、何が………?」


「ジルヴェータ国王陛下のレイナート様の孫

オリヴェル殿下とは、いつ知り合いに?」


「こないだの社交界で知り合いました。

異母弟、エドウィスに絡まれているところを

助けてくださいまして………」


なぜ、ここで、

あのオリヴェル殿下のお名前が?


まだ知り合いになったこと、お知らせして

いないはずなのに………!


噂が回ってきたにしては早すぎませんか?


「なるほど、それで………!

オリヴェル殿下は、ジルヴェータ王国の

次期国王であるミージェル王太子の三男坊。

外交官を目指しているそうだ。もし良ければ

君を未来の公爵夫人として妻にしたい、と。」


「えっ!?縁談!? オリヴェル殿下と!?」


「ヘンリエッテ、どうする?

彼ならば、親族だから、父上に頼めば

断ることも出来るぞ?」


「はい、リオネール養父様、お受けします。」


「そうか、ヘンリエッテ、婚約おめでとう。」


予想外すぎる展開に………初対面でしたから

本当に、予想外なのですけれど………


え、私を妻に? しかも、未来の公爵様の?

という感じですけれど、オリヴェル殿下なら

尊敬するお優しい方ですから………!


「ヘンリエッテ、おめでとう!」


「お姉様、ありがとうございます!」


「ああ、でも、可愛い妹が、ジルヴェータ

王国に行ってしまうのは、寂しいわ。」


「ふふふ。はい、定期的に会いに来ますね。」


「ええ、もちろん私からも会いに行くわ!」




正式に、婚約者となってから3年後に

私は、ジルヴェータ王国の公爵となる予定の

オリヴェル殿下に嫁入りしました。


殿下の実父・ミージェル王太子が国王陛下と

なられたため、第三王子になりました。


第三王子妃として、慣れない異国生活ですが、

ゆっくりと暮らしています。

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