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エンツォールの宝石姫  作者: ゆりあ
番外編
5/7

〈黄玉の宝石姫〉エルヴィール

大国・シェインジェル王国。


初代国王の第三王子が婿入りされた

王族のひとつ、エンツォール辺境伯家。


15代目のエンツォール辺境伯となった

王弟殿下夫妻の元には、薄茶色の長い髪に

トパーズのような黄色い瞳の少女が養女

として引き取られ、大切に育てられました。


〈黄玉の宝石姫〉エルヴィール・フォン・

ラード・エンツォール・アレクサンデル


そう呼ばれている彼女こそ、

ラード伯爵の長女として誕生し、様々な

事情から、このエンツォール辺境伯家の

2人目の養女となった少女です。



私は、エルヴィール。


海の街、国防の要、エンツォール辺境伯家の

二人目の養女として育った者です。


クラリオス初代公爵夫人になられた

義理の姉〈紅玉の宝石姫〉レティーナと

次期辺境伯の義兄〈藍玉の君〉リオネールに

囲まれて育ち、今や、20歳になりました。


〈紅玉の宝石姫〉レティーナお姉様は、

クラリオス公爵、ライアン殿下との間に、

嫡男のアンゼルム、長女のフリーダが誕生し

クラリオス公爵家は安泰だと言われています。


リオネール兄様は、アングラード侯爵家の

長女〈翡翠姫〉レティツィア様を妻に迎えて

可愛いらしい姪っ子である〈翠玉の宝石姫〉

フィオレッラちゃんが誕生しています。






「エルヴィールおばさま!」


「あら、フィオちゃん、いらっしゃい。」


艶やかな黒の長髪に

エメラルドのような緑の目の持ち主の

彼女は、私の可愛い5歳児くらいの姪っ子

〈翠玉の宝石姫〉フィオレッラちゃんです。


つまり、義弟のリオネールと、アングラード

侯爵の長女、レティツィア様の一人娘。


確か、正式名は、フィオレッラ・フォン・

アングラード・エンツォールでしたっけ?


「あれ? イグナーツおじさんは?」


「イグナーツなら、お仕事よ。今頃、南地区の

街に訪ねている頃なんじゃないかしら?」


「おしごとなのね! いそがしそうね!」


私の夫は、アレクサンデル伯爵家の3代目

当主にあたります、イグナーツ・フォン・

セタレート・アレクサンドル伯爵です。


彼は、エンツォール辺境伯家の近しい親族で

人見知りな私を受け入れてくださったの。


「こないだ、おうとの

レティーナおばさま、あいにいったの! 

アンゼルムにーさまは、おべんきょーで、

おうち、いなかったけれど!」


「ふふふ。そうなのね、レティーナお姉様は

お元気にしていたかしら?」


「げんきそう! あと、はじめて、

フリーダおねーさまにね、あえたの!」


「まあ! 私も、いずれ、会いたいわ!」


クラリオス公爵ライアン殿下とレティーナ

お姉様の第二子、長女のフリーダですね。


フィオちゃんの2歳年上の従姉にあたります。

フリーダちゃんにも会いたいわ。





「エルヴィールおばさまは、

いつ、おうと、あいにいくのー?」


「私は、いま、動けないから………

落ち着いたら、赤ちゃんと一緒に行くわ。」


今、私の手元には

小さな、小さな、赤ちゃん用のベッドが。


実は、先月、イグナーツと私の間にもまた、

第一子の長男、ラーシュが誕生しているの。


「フィオちゃん、フィオちゃん

貴女の従弟ラーシュくんが大きくなったら

一緒に遊んであげてね、宜しくね。」


「うん! いとこ!

たくさん、うれしいの!」


まあ、実際には、

アンゼルムくん、フリーダちゃんは、

貴女の父方の再従兄姉、ラーシュくんは、

血の繋がりのない従弟なのですけれど………


それでも、お養父様とお養母様は、

レティーナお姉様や私を、本当の実娘の

ように可愛がって下さったのですよ。


私を実妹のように接してくださった義姉兄の

レティーナお姉様、リオネールお兄様にも、

本当に、本当に、感謝しかありません。


「ふふふ。フィオちゃん、可愛いわー。」


「えっ?ほんと?ありがとう!」





「おや、フィオ! いらっしゃい!」


「あ! イグナーツおじさま、こんばんは!

きょうは、おとまりに、きたのよ!」


あら、私の夫、イグナーツが、お仕事が

終わって帰ってくる時間になったようです。


フィオちゃんは、不思議と、イグナーツに

懐いています。彼は、厳つい容姿ですけれど

子どもに好かれやすい性格のようですね。


「ふふふ。今日は、料理長にフィオちゃんの

大好きなものを頼んだわよ。」


「えっ!? ほんと? わーい!!」


「お、良かったなあ。フィオ。」

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