表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

01話 新たなる冒険

静かな村に朝日が差し込む頃、一軒の小さな家から少年のリオが出てきた。リオは16歳の少年で、肩までの茶色い髪と澄んだ青い瞳を持っている。今日は彼にとって特別な日だった。長年憧れていた冒険に出る日だからだ。


「リオ、本当に行くのか?」

家の玄関から声をかけるのは、彼の唯一の家族である叔父、エドワードだった。エドワードは古代の書物や伝説に詳しい学者で、リオの冒険心を育んできた人物だ。しかし、数ヶ月前に重い病に倒れ、今はベッドに伏せている。


リオは叔父のもとに駆け寄り、彼の手を握った。

「うん、叔父さん。僕はエルドラシアを探しに行くよ。そして、竜の力を持ち帰って、叔父さんを治してみせる。」

リオの声には決意が満ちていた。


エドワードは弱々しく微笑んだ。

「伝説は伝説に過ぎないかもしれない。でも、君のその気持ちが嬉しいよ。気をつけてな。」


リオは頷き、叔父の手をそっと離した。家の中は静かで、どこか物寂しげな空気が漂っている。リオはその静けさに別れを告げるように深呼吸し、旅立ちの準備を整えた。彼の心は希望と不安でいっぱいだった。


村人たちも彼を見送りに来ていた。幼馴染のミアが駆け寄ってきて、小さな包みを渡す。

「これ、旅のお守りにして。安全を祈ってるから。」


「ありがとう、ミア。」

リオは包みを受け取り、背負っていたリュックにしまった。包みの中には、彼が好きだったミア手作りのクッキーと、彼女が大切にしていたお守りが入っていた。


村の入り口で立ち止まり、リオは最後に村を見渡した。ここでの生活は穏やかで愛おしいものだったが、叔父を救うためにはこの旅に出るしかない。心の中で再び決意を固めると、彼は足を踏み出した。


森の中を進みながら、リオは叔父から教わった伝説の数々を思い出していた。エルドラシア、竜の力、そして古代の秘密。すべてが彼の心を駆り立てる。


森の中は静かで、鳥のさえずりや風に揺れる木々の音だけが聞こえてくる。リオは一人旅の孤独感を感じつつも、新しい冒険への期待に胸を膨らませていた。昼間の光が森の中に差し込み、美しい光と影のコントラストを作り出している。


リオは途中で休憩を取るために、大きな木の根元に腰を下ろした。彼は持ってきた水筒を取り出し、一口飲んだ。冷たい水が喉を潤し、リオの疲れを少し和らげた。彼は周囲を見渡しながら、叔父との思い出を思い返していた。


***


リオがまだ幼い頃、エドワードはよく彼に古代の伝説や物語を聞かせてくれた。リオはその話に夢中になり、いつか自分も冒険者になりたいと夢見ていた。エドワードはリオに古代の書物を見せながら、歴史や魔法の知識を教えてくれた。リオにとって、それは何よりも楽しい時間だった。


「リオ、知っているかい?この世界にはまだ解明されていない多くの謎が存在するんだよ。」

エドワードはいつもそう言って、リオの好奇心を刺激した。


「僕もいつか、その謎を解き明かしたい!」

リオは目を輝かせながら言った。


エドワードは優しく微笑んだ。

「その時が来たら、きっと君ならできるさ。」


***


リオはその言葉を胸に、再び立ち上がった。森を抜けて、次の目的地を目指す。太陽が西に傾き始める頃、リオは小さな村に辿り着いた。村は穏やかで、農作業をする人々の姿が見える。


リオは村の宿屋に向かい、今夜の宿を取ることにした。宿屋の主人は親切で、リオを温かく迎えてくれた。夕食には、村の特産品である新鮮な野菜と肉がふんだんに使われた料理が出された。


「旅の途中ですか?」

宿屋の主人が尋ねる。


「はい、少し遠い場所まで行く予定です。」

リオは微笑んで答えた。


「気をつけてくださいね。この辺りには、最近空賊が出没するという噂がありますから。」


リオはその言葉に少し驚いた。

「空賊ですか?」


「ええ、空を飛ぶ船で襲撃してくる連中です。村の周辺にはまだ現れていませんが、注意するに越したことはありません。」


リオはその情報を心に留め、部屋に戻った。ベッドに横たわりながら、彼は明日の計画を立てた。旅はまだ始まったばかりで、多くの困難が待ち受けているかもしれない。しかし、リオは決意を新たにした。


***


翌朝、リオは早朝に目を覚ました。外はまだ薄暗く、村は静まり返っている。リオは荷物をまとめ、宿屋を後にした。宿屋の主人に礼を言い、村の出口へと向かう。


再び森の中を進むリオの心には、新たな決意と希望が満ちていた。彼は一歩一歩進むたびに、エルドラシアへの道が少しずつ近づいていることを感じていた。


途中、リオは小川を見つけた。水は透き通っていて、冷たく清らかだ。リオはそこで一休みし、顔を洗い、喉を潤した。小川のせせらぎに耳を澄ませながら、彼は心の中で叔父への誓いを再確認した。


「待っていて、叔父さん。必ず戻って、あなたを救ってみせる。」


再び歩き始めたリオは、森の中で奇妙な音を聞いた。それは何かが動いている音だった。リオは警戒しながら音の方向に近づいてみた。すると、そこには大きな木の下で倒れている男がいた。


男は鎧を着ており、何かに襲われたようで傷だらけだった。リオは急いで駆け寄り、男の容態を確認した。

「大丈夫ですか?」


男は弱々しく目を開け、リオを見つめた。

「助けてくれ…空賊に…襲われた…」


リオは男を助けるために応急処置を施し、彼を安全な場所に運んだ。

「ここで待っていてください。村まで戻って助けを呼んできます。」


リオは急いで村に戻り、宿屋の主人や村の医者に助けを求めた。彼らはすぐに動き、男を助けに向かった。リオは再び男のもとに戻り、彼が無事に助けられることを祈った。


村の医者が男を治療している間、リオは宿屋の主人と話をした。

「彼は空賊に襲われたと言っていました。空賊のこと、もっと教えてください。」


宿屋の主人は深刻な表情で答えた。

「空賊は空を飛ぶ船で現れ、村や旅人を襲撃します。最近その活動が活発になってきているんです。私たちも警戒しているのですが、彼らの動きは読みにくい。」


リオは空賊の存在に不安を感じつつも、彼の決意は揺るがなかった。叔父を救うためには、どんな困難も乗り越えなければならない。


男が無事に治療を受けている間、リオは村での休息を続けた。彼はこの村での出来事が、今後の旅における重要な教訓となることを理解していた。リオは再び旅立つ準備を整え、村の人々に感謝を伝えた。


「気をつけて、リオさん。あなたの旅が無事であることを祈っています。」

宿屋の主人が言った。


「ありがとう。必ず叔父を救ってみせます。」

リオは力強く答えた。


リオは再び森の中を進み、彼の冒険は続く。空賊との遭遇、未知の土地への探検、そして新たな仲間との出会いが彼を待ち受けている。リオは希望と決意を胸に、エルドラシアへの道を進んでいった。


夜が更け、リオは疲れから深い眠りに落ちた。これから始まる冒険に心を躍らせながら――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ