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バックミラーを見てはいけない

作者: 風爽 瑞穂

 あれは月明かりの夜の事だった。俺が車を車庫に入れようとした時、突然車がエンストして止まった。「どうした?」と思いエンジンをかけようとするも、何度やってもエンジンがかからない。バックミラーを見ると車庫の中に何かあるのを見つけた俺はすぐに降りて中へ入った。


 するとそこには女の人がいた。女の人というよりおばあさんと言った方が正解だった。俺が「ここで何してるんですか?」という前におばあさんは言った。「ここは以前私の家だったんですよ。」と。まるで俺の心を見透かしているかのようだった。「ここに私の家があったの。もうずっと前の話ね」


 俺は戸惑いを隠せなかった。「それはどういうことですか?」動揺しているおばあさんは俺に近づき更に驚く事を言った。「あなたの今乗っている車、それは元々私が乗ってた車なんですよ」俺はもうどうしていいのか分からず混乱状態だった。確かにこの車は中古車だ。購入時にディーラーからそんな説明なんて無かった。いや、車の場合そんな説明は不要だと思っていた。俺はその常識がこのおばあさんによって覆されようとしているのを感じ取り眩暈がした。


 その後の事はあまりよく覚えていない。車に乗りエンジンが動き何とか車庫入れが出来た。そして思い出さないようにしていた。数ヶ月が過ぎて俺はもうおばあさんのこと等ほとんど忘れていた頃、俺は車の販売店へ行き事情を訊くことになった。担当者は申し訳ない感じで、「車の持ち主はおばあさんで事故で亡くなったんです。それがあなたが購入した車なんです。」と言った。

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