死を恐れぬ死兵は征く
すいません、昨日は少し疲れて果てていました
ボーナスタイム
【リュウ騎士】は基本的にドラゴンメタの職業のために通常技はドラゴンをチマチマ削る技しかないが
【リュウ騎士】の必殺技は産廃職業だとしても多少光る所を残す必殺技なのである
ソレは必殺技発動時クリティカルを叩き出せれば必殺技を一定時間連続して出せる
その間にクリティカルを再度出せればボーナスタイムは継続である
しかし…この世界のクリティカルの条件は死ぬほど厳しい
何せクリティカル一発出すのに同じ場所を一万回叩いて一回、二回という鬼畜レベルなのだ
そして【リュウ騎士】の必殺技は本来は対・竜もしくは
対・龍を想定して作られているので
本来ならば逆鱗を撃ち抜いてクリティカルを出しつつ戦うのが主流なのである
しかし…コレを対人戦に持ってくると
弱点判定は特になくクリティカルの発生が極めて難しい状況でクリティカルを叩き出さないと
一発芸で終わってしまう必殺技である
「さて…次は誰だ?」
そう呟くと最早破れかぶれという感じで何人かが此方に突っ込んで来るので薙ぎ払いを行いつつ全員キルする
数人キルしたことでゲージは再び満杯になったが
…いかんせん人が出てこない
…うーん…どうしたもんか
「…………………」
その場で黙って立ち尽くしていると僅かにチャットやツールを使って全体で何かを打ち合わせている声が聞こえた
少し音が小さすぎたので確信はないが
恐らく一斉突撃で此方のことをどうにかしようとしているのだろう
本来ならば逃げるべき場面だが
そもそも上空にカメラが飛んでいる時点で逃げ場は存在しないのである
なら諦めて全員吹き飛ばせばいい話だ
まぁ…俺に負ける人の方が少ないだろうけど
そう考えていると最初に複数人が飛んで来る
剣を強く握り直して一気に距離を詰めると相手は両手で持ったタワーシールドで俺の横薙ぎの攻撃を耐えた
「……ドラメタの通常攻撃とはいえ…コレを防ぐとはね」
「…俺たちはもう…お前を獲物じゃなくて『上位ランカー』として見てるってことだ」
はは……そりゃあ光栄だな!!
「!!??」
「まぁ…どんだけ固めてもソレを上回る一撃で盾を破壊すれば中身丸見えだよね」
大剣のスペックをフルで活かしながら盾を破壊すると
「チェンジ!」
「あいよ!」
いきなり叫び声を上げたかと思うと後ろの岩から今度は暗殺者風の装備を整えた人物達が出てきた
「…何?今度は暗殺でもしようって?」
そう呟くが…一瞬違和感を覚える
何で…戦闘職が出てこない?
先刻からシールダーや暗殺者という完全に戦闘に不向きな職業のやつしか出てきてない
ソレに先刻攻撃を防いでいた盾達を囮に俺を攻撃してくれば良いものを……
「なるほど……お前達の目論見は大体わかった」
そう呟くとゲージを消費して上空に大きく跳躍する
すると予想通り巨大な魔法陣を展開している数十人のプレイヤー達がいた
とうやら本当に戦闘職以外の奴らだけで俺を撹乱して最後にドカーンとデカく汚い花火をあげるつもりだったのだろう
「んじゃま…そんな汚い花火を見せたくないし、なりたくないし……自己流必殺……」
「【龍速隕石】!!」
コレは前に自分に考えたリュウ騎士の必殺技の応用で
遥か彼方の上空にいる際に
位置エネルギーさえも自分の力にしながら必殺技を地面にいる相手に叩きつける技…と自分では定義づけている
何せ相手が何かを考える前に隕石みたいに上から落っこちてきたら相手パンクして戦えなくなるんじゃね?
というノリで作った終わってる必殺技なのだ
そうして視認できる範囲から大きく外れた場所から神速で魔法陣の中心に飛び込んで大爆発を巻き起こす
そもそも炎系統の技なら防具で無効化できたが
ソレを理解してないコイツらに言ったところで何だ?って話であるし
と言うか周りにいた数十人は漏れなくキルされてるので誰も聞けないのだろう
今の大爆発を聞いて恐らく味方と別の敵が近寄ってくる
…もう面倒臭いけど全員相手してやるか
そう思って待っている一人のプレイヤーが出てきた
悠然とした足取りで向かってくる所を見るに上位ランカーであることがわかる
「やぁ……君がこの爆発を」
「悪いが話してる時間は無いんだ」
そう言って話の途中で一気に詰め寄り冗談から必殺技を発動させる
流石に相手は回避のために後退してみせたが
「…悪いなクリティカルは頂いた」
「!?!?」
僅かに掠っていた刃先がクリティカル判定になったのだ
このゲームはこう言うところがいいところでもある
まぁ…大変でもあるけど
そうして相手が一瞬逃げの姿勢を見せた瞬間に体を両断する
そして後ろから援護しようとしていたバッファーの元に飛んでいきます更に両断する
大剣の特徴なら両断が一番都合が良いんだよ
そして更に上空から二人降ってきたが一瞥もしないで斬り捨てる
ついでにクリティカルも出しておく
もう百人くらい斬ってるから一々プレイヤーネームの確認とかめんど臭いわ
あー…でも今四人はソレなりに強そうではあったよな
俺が先手で相手をワンキルしたから相手何も出来なくなったのであって
まぁ…ソレに…こんな高機動リュウ騎士も中々珍しいしな
なんせ俺の場合本来ならリュウ騎士の本分である攻撃力に振るべきポイントを速度突貫にして防御と攻撃は完全に装備頼りである
そもそも個人的な理論で
『強大な一撃を入れるよりも相手が対応できない速度で相手を沈めれば結果的に結果は変わらん』
という謎理論を持っているので本来ならクソ鈍重なリュウ騎士が最早人間とは思えない高機動を発揮できるのだ
そうして考え事をしていると
近くの水場からザリガニが出てきた
「……は?何でエネ…ああ…一応「お邪魔虫」的な?」
そう考えたらプレイヤーだけでなく敵も倒すことを含めて協力か単独かを考えなければいけないと……
全く難しい話だよね
「まぁ…この程度なら普通に勝てるでしょ」
そう言いながら突進をして斬撃を浴びせるが
「!?」
まるで煙を通り抜けるかのように攻撃が透過された
一瞬すぎて何が起こったか把握しきれなかったが……
「なるほど…物理無効ってか?イジメか?」
そう言いながら突撃しようとしたが……
「そういや…幻使って戦うって奴がいたよな…そう言う奴は大抵……えい!」
グサ!ドタ!
………何だろうコイツ馬鹿なの?
何で俺がブツブツ行ってる間に移動しなかったの?
と言うか何で当たるの!?
………うん…考えないようにしよう
というか…この人ランク二……
「……ザ!」
誰もいなくて静まりかえっていた場所にただ一人の足音がなる
「………どうも初めまして……今滅茶苦茶混乱してるから後での対戦とかってありですか?」
「…さてと……今回は荒れますね………まさか五、四、三、二が一瞬で四縦されるとは…あの子は一体何者なんですか?」
「…………」
「……あの子の情報をいくら調べても全く出てこない…まさかプロですらなくて在野の?」
「………………」
「…となると今回の大会はもしかしたらとんでもない芽を見つけたのかも…まぁ、今回の問題発言は大分アウトですけど」
「……な、何であんなに強いんだ?」
「さあ?……ソレは私が聞きたいですよ」
「無理」
「ですよね〜」
「と言うか……貴方この大会にやる気ない?」
……ドキッ!?
「そ、そんなことないですよ?」
…本当は司会者に滅茶苦茶嫌がらせ受けてギリギリのランクで出場したので最初期の頃に脱落するだろうな
……そう思ってたのに
何で化け物みたいな殺気を放ってるコイツと戦わなきゃならんのだ?
「あの…さ…俺一応ランキング四百位以下だから向こうに強そうな奴ら一杯いたよ?(俺が全員キルしたけど)」
「そう」
相手は俺が指し示した方向に歩いていくと思いきや
「じゃあね」
そう言って瞬きすら恐ろしく遅く感じるほどの刺突で顔面を貫こうときてきた
「とうとう…ランキング一位との対決ですね…まぁ、本来四百九十六位と一位が戦うなんて頭おかしいかもですけど二位から五位全縦されてますし…」
「………………」
「司会者さーん?そろそろ現実世界に戻ってきましょうか?……
まぁ、でも、現実逃避したくなるのもわかりますね…
なんせ相手はランク一位……しかも通常攻撃がワンフレーム疑惑のある化け物
しかも必殺技は完全に人外の速度ですからね…あれってどうやってVRもついていってんだろう」
「こなくそ!!」
一撃…死ぬほど速い一撃を何とか避ける
しかし……あまりの速度に体が反応したが
意識では避けられなかった
今回のは相手が小手調べという意味合いを兼ねて速度を加減していたのか何とか回避できたのだろう
しかし……コイツの脳内の伝達速度はどうなってる?
フルダイブのVRの基礎的な理論としては
脳内や脊髄から走る電気信号をキャッチしてアバターを動かしているのだ
……しかしコイツの速度は完全に瞬きを超えていた
一瞬でも気を抜けば串刺しにされてしまう自信がある
…今…このまま戦えば俺は確実に負けてしまう
…………
「ギア上げてくか…」
テンションを上げれば対応できるかもしれない
基本的に俺は理論的に戦うが
全力で戦うと自分でもちょっと意味わからない行動を取り始めるのだ
まぁ…今回は敵の度肝を抜ける奇抜さが重要なのである
一瞬瞑想の為に目を瞑り…
「よし…やろうか?」
そう言って大剣を上段に構える
相手は特に何でもないようにふらりと此方に歩いてくる
一瞬警戒を解きそうになってしまったが反射的に上から来た斬撃を弾き飛ばす
何とか反応できたが……
「はっはっは!!弱気になってどうする!?今度はこっちからいくぞ!化け物!」
そう自分を叱咤しながら相手に突っ込んでいく
すると相手はつまらなそうに剣を振り抜いてくるがコイツは直線的に攻撃をする癖があるのでソレを事前にわかってさえいれば回避すること自体は実は難しくない
難しいのは動きながら速度に適応することである
そうして相手の攻撃を体を捻りながら回避して両の足を地面に縫い付けて必殺技を放つ
「【龍神滅殺灰燼裂斬】!!」
相手はつまらなそうに回避しようとしているが
「フッ!」
相手の足に自分の足を乗せてからソレを短刀で刺す
こうすることでお互いに足を移動させることができない
相手は一瞬驚いたように固まる
全く…最初はAIとか何かかな?と思ったが一応人間らしい
全く人間味を感じないほどの機械みたいな目をしているから一瞬生きているのか?と思ってしまったが
しかし……コイツの速度は本当に脅威だな
「うおおおおお!!」
腹から力を出しながら一気に斬撃を叩き込むとクリティカル判定が出たので更に攻撃を加えていく
ここで倒しきれなければコイツは恐らく倒せない!!
そうして重たい大剣を全身の力を使いながら何度も何度も振り抜く
そうして合計六回目の延長戦の後にようやく相手のアバターのデスポーンのエフェクトが出てきたと思って気を抜いていた瞬間
いきなりアバターの腕が動き此方のことを鷲掴みになる
「…まさか此処までやるとはね」
そう告げてくるアバターの声は何処か機械染みていた
「なるほど………これは操り人形ってわけなんだな?」
自分でも一瞬訳がわからなくなったが…恐らくこれはアバターが操作するタイプの操り人形である
簡単に言えばVRゲームの中で更にVRゲームをしていると言う感じである
全く…やりづらいことこの上ない
そうして本当の相手が岩の後ろから出てきたのを確認して
「さてと?何で出てきたんだ?お前ならコレで十分倒せるだろう?」
「……いや…君はソレじゃあ倒せない…だから本物で相手してあげるよ…まぁ…一撃で終わるかもしれないけど頑張ってね」
…全く…コイツには躊躇ってもんがないのかもしれない
何せ鷲掴みにされて身じろぎ一つできない相手に全力で突進かましているのだから
しかし……
「!?」
あいての拳が……突き刺さったのは自身の人形である
「……おいおい?お前も俺と同じ土俵なら理解できるよな?」
そう呟くと相手は一瞬で此方に視線を飛ばしてくる
しかし…太陽の前に立っている為に逆光が眩しいのか目を一瞬細める
「効果がなかったとしても…浪漫技…しかも本来なら継続が死ぬほどだるい奴を六回連チャンで行ったんだ……テンションファイターなら…既にボルテージは限界突破済みだぞ?」
「……そう…道理でね」
「…今戦ってわかったが…お前も同種だな?気分が高揚すればするほど本来の自分のプレーができるタイプ…俺はまだお前の全力を引き出せてないが…此処まで来るまで速度がドンドン上昇してきている…本来ならまずあり得ない状況だが…テンションファイターなら話は別だ」
娯楽があると楽しいですよね




