戦う
今回から作者の娯楽で
本編から外れて地龍くんには過去の大会に出張してもらいます
そうして数週間後…
何故か俺は【ドラゴンブレイクオンライン】の世界大会にいた
「さあ!!世界初の!【ドラゴンブレイクオンライン】の世界大会が始まりました!今回の大会の趣向は世界ランキング五百位圏内の人たちを集めて最強を決めよう!と言う物ですが…一部を除いて全員パッとしない顔ですね!」
「こら!お前はいつも一言余計なんだよ!」
「あ、コレはすいません」
少し会場に苦笑いに包まれる
まぁ…確かに全員パッとしない顔ってのは確かにあるな
だって今出てきてるのは大体がランキング下位の奴らで
上位の奴らはマジで美形の奴らばっかりだから少々戦うのに気圧されるかも…と思ってしまう程度には綺麗な人もいた
…けど…此処でソレを言うのって…お前相当メンタル強いな
いや…能天気なだけか?
まぁ…どっちでも良いや
「さて…今から入ってくるのは【ドラゴンブレイクオンライン】の中で現在最強と言っても過言ではない人物達です!ソレではご登場願いましょう!」
そう言うと会場のボルテージが一瞬で天限した
…まぁ、今回の目的はそっちだよねえ
「さあ、初めに入ってきたのはランキング五位の【ポテポテさん】戦闘スタイルは暗器を主体としたアサシンスタイルで…潜伏に特化させた装備で影から首を狙ってきます!」
「彼の戦い方はいやらしいからねー、私も一度対戦したけど延々と粘着的に影から狙われて集中力が切れた瞬間にキルされましたから」
「私もそうでした!」
「では!ポテポテさん一言コメントを」
…あの二人もやってたんだ…意外
「…そうですね…とりあえず堅実にこっそりキルしていって優勝を取れたらな…と」
まぁ…そのスタイルならソレが一番効率的だよね
「そうですか!では二人目に参りましょう!二人目はランキング四位の【熱血教室さん】!言葉の通り拳で戦いすぐに熱くなる性格で!戦闘を延々と繰り返して相手の方が気力が切れて降参という事態も割とあるらしいです!」
「…彼女の動画を拝見したのですが…彼女の体力は何か狂人じみたモノを感じましたが……ムキムキですね」
「そうですね!……あの筋肉の引き締まり…たまりませんねえー!」
確かに…俺の違ってマジでムキムキやん
妹は…体力測定では毎回限界突破してSとってるからな
最早既存の計測方法では入りきらない…と泣きつかれて教育委員会が妹専門に作り出したらしい
妹は常に痩せており
妹曰く
『筋肉よりスタイル!あ、ついでに健康体!』
スタイルが一番最初に来るあたり女性なのだなと思うが…十分あるよね?君?
と言いたくなったがそう言うのは言ったら後が怖いので言わぬが花ってやつだ
そして、今回出てきた女性は確かにムキムキだが…妹身体測定したらどちらが勝つのか多少興味がある
まぁ…大人と子供…比べるまでもないか
後日、何故か実現した身体測定では妹が圧勝していた
マジで意味がわからない
「三人目!【きょーかスーゲツさん】!彼の戦闘スタイルはかの有名なアレになぞらえて幻やデバフを駆使して戦う前衛で戦うデバッファーです!彼のスタンボルトはいやらしいですね…アレで暗がりに連れ込まれた人は終わりそうですよね」
「微妙に危ない表現を取り入れているあなたの方が私にとっては怖いですよ」
「なんのことですか?」
「…自覚がないなら別に構いませんけど」
…大丈夫か?今回の司会
そう思っているのは俺だけではなく…と言うか大部分の人が司会の人に疑惑を持っているらしい
まぁ…今回考えるはやめておこう
「四人目!世界ランキング二位!まぁ…長年一位のライバルだと宣言していますが圧倒的に負けています!けれども、その戦闘センスは超一級品です!」
「…貴方…司会変わった方が…もう少し配慮してオブラートに包んであげたらいいのに……」
うん…俺も思う、今回のコレは言い過ぎだと思う
「…あー、すいません…でも彼がずっと勝ててないのは事実ですよね?じゃあ事実を言っちゃいけないんですか?」
「お前は一般常識を学べ!……あ」
もう良い加減我慢できずに叫ぶと全員から視線を飛ばされた
顔を司会者に向けない様にしていたが全員の顔に
「良く言った!」と書いてある
流石にギリギリの発言に誰か指摘しようか悩んでいたのか俺に感謝の視線を送る人までいる始末だ
「へー、私にそんなこと言って良いんだ?」
あ…コレもしかしてヤバいパターン?
「じゃあ…そんな生意気なことをいう貴方には特別に一台専用配信カメラをつけといてあげますよ……四百位以下の貴方の瞬殺劇を世界に配信してあげますよ」
…娯楽としてはありそうだけど…実際にやるとは…大分性格が終わってんなあコイツ
そう思いながらも何も言えずに黙っていると
「……じゃあ…最後の一人いきましょうか!」
そう言うと会場のボルテージが更に上がる
どうやら今回のメインは次の人物らしい
俺も一応事前にリサーチしたが……一位の人物だけはどうにも知らない
何せ、大会に出ていること以外特に顔出しとかしてないのだ
故に考察厨の間では誰が一位の人なのかと言うのがずっと論争が巻き起こってるらしい
ん?なんで初めての大会なのに何連覇もしているみたいな言い方をするのか?
ソレは…この会社が他のゲームで大会を何度も開いていて
一位の人が出ると毎回連覇されていくから話題沸騰しているのだ
というか…地獄の炎より熱いんじゃね?知らんけど
そうして最後の一人が出て……
「え?」
思わず飛び出したその声に俺の万感の思いが詰まっている
何せ煙とともに出てきたのは現在アジア最高峰の美と呼ばれ名役者や、その他諸々の名声を自由にしている
今をときめく『綾芽流光』であった
うん…ちょっと待て
顔出ししてもしなくても話題が沸騰しそうな人物が表舞台に出てきたな
うん…既に脳がショートして何人かは気絶してるよ
この人出てきただけで場を支配しやがった…なんと言うカリスマ性…
まあ、冗談はさておいて
マジで担架で運ばれてる人物いるやん
ひ、ふ、み……あれ?半分くらい消えてね?
もう炎だけでタングステン燃えそうな勢いで暑くなっていた頭に更に異常な量の火薬を放り込まれて完全に爆発したか
あ!そういや思い出したけど百位以下は任意で顔出しを選択できるんだった
そういや俺拒否ったから今誰も見てないんだった
すっかり忘れてた
危ない俺の顔が全世界に出てたら完全にネットで叩かれる羽目になってたよ
「え、えっと…綾芽さん?……貴方が一位の?」
「ええ」
「……ゲストとかではなく?」
「ええ」
「………本当に大会を10連覇している?」
「ええ」
この人10連覇しているのか…化け物じゃねえか
というか…この会社もよく大会開くな
コイツの独壇場になるってわかってるだろうに
まぁ…最強の王者が一人で他者を蹂躙するってのも中々楽しそうだよな
見てて…やられてる方は完全に嫌だろうけど
ちなみに…本人の情報はあまり調べられなかったが一応大会の映像と情報は仕入れてきた
初めて表舞台に出てきたのは同ゲーム会社が主催する初めての大会で
今からおよそ十年前に開催されているらしく
ソレから十年間毎年大会を蹂躙しているらしい
…十年前ならあいつ…11歳!?
アイツ…どんだけ強いんだよ…もうプロゲーマーに転職しろよ
多分国家予算並みに稼げるんじゃね?あの見た目なら
そう思って見つめていると
出場者の中から出ていく人も多数続出していた
……あんたら…少し頭冷やしてこい…
「さあ!全員揃ったことですし早々に大会を始めましょう」
あ、悪魔がいたわ
「……さす「さあ!みなさんVRチェアに座って準備の程を始めてください!」」
……もう一人の良識的な人物が止めようとしているのに対して、もう一人の悪魔はズカズカと進めていく
うん…すごい悪魔が居たもんだ
しかし綾芽という人物がそそくさと座っていくのを全員が視認すると我先にとVRチェアに飛び込んでいく
うん…欲望に忠実な奴らだな
そして俺は適当にVRチェアに座って待っていると
「では!全員VRの世界へ行ってらっしゃいませ!スタートは全員がVRにインしてから十秒後といたします!」
まぁ…良心的な数字だな
………そうして声を聞いた後に僅かに待っていると
すぐに異界へと飛ばされる
「…………」
目を覚ますと目の前には岩が幾つも直立している荒野に出てきた
恐らく潜伏を繰り返して敵を倒しやすいステージを運営が選んだのだろう
しかし…こうも隠れる場所が多くても俺の頭上にカメラが飛んでいると俺の居場所が一瞬でバレちまうんじゃないか?
「さて!開始まで…あと数秒!」
「ちょ、ちょっと待ってください林田さん!本当にあの子にカメラをつけるんですか?場所がわかって最初に死んでしまいますよ!?」
「何を言ってるんですか?茅元さん?ソレが目的なんですよ?あの子は私にタメ口を聞いた…大人を舐めるとどうなるか身を持って知らないとね」
そう言う彼の顔は酷く歪んでいた
私は画面の先に映る少年を凝視してみる
今のところ鎧は【白燕の蒼炎衣】に【龍殺深淵魔剣】どちらもエンドコンテンツで手に入る強力な武器ではあるが
どれも確実に対人には向かない
白燕の衣はドラゴンと相対している時に相手の炎を取り込んで防御力を上昇させていく鎧
魔剣は生物、ドラゴンの生き血を吸わせるごとに攻撃力が上がっていくと言う完全にドラゴンしか想定していない武器なのだ
コレがドラゴンをどれだけ討伐できるかの大会であればあの装備は正解であったろう
しかしながら……これは確実に間違いである
だが…それ以上に…
「な、なんで産廃の【リュウ騎士】を!?」
ドラゴンに対して絶対的な優位性を誇れる初期職業
ドラゴンスレイヤーの職業はコレだけなので確実である
ちなみになんでわかるかと言うと頭上のアイコンである
コレは対人だと赤、旧時代の職業だと青にプレイヤーネームが変わるのだ
しかし…そうなると問題がある
「あ、あの子はアプデを見てないのか!?」
そう、誰も彼もがこの前のゲームコンセプト改革の際に職業再選択の機会が設けられた
しかし…ソレは強制の職業再選択であるために全員が職業を変える機会を設けられたはずなのだ
しかし…彼は今や誰も使わない産廃の【リュウ騎士】を使用している
なんで!?と悲鳴をあげたくなった
この試合を中断したくなって
しかし…無情にも時間は進んで試合が開始してしまった
「…さーて、と、試合開始か」
全体にベルのアナウンスが響き渡るのを確かに聞いてから敵を探そうと歩いていると
頭上から音が聞こえてすぐさま上を見上げると
複数の敵が待ち構えている
「へへっ…四百位以下の奴なんて早々に脱落すんだ……此処で落とさないと勿体ないよな」
ざっと数えても五十の敵が頭上に来ていた
カメラの力って凄いね
試合開始早々に大きなシンボルを抱えた彼が囲まれてしまった
推定でも百人以上に
しかも全員が彼よりも上のランクの人物達だ
四百九十六位の彼…しかも【リュウ騎士】の彼は相手としては確実に最高なのであろう
「あー…もしかして俺…鴨にされるパターン?」
此処で待っていたら見えるのと隠れているのを合わせて百人くらいの奴らにタコ殴りにされるだろう
……さてはてどうやって攻略するか
そう考えていると最初の人物が上から降ってきた
多分馬鹿だ
コイツ落下ダメージで事故死
「ははっ!特別ルールってのはいいな!幾ら上空から落ちようが確実に死なずにダメージが入らないってのは」
運営さん…そこだけ特別ルールにするのは流石に性根が腐ってます!?
流石にコレは黙って違うのはきついな
「最初の戦闘が起ころうとしています!」
経緯はどうであれこの大会最初の試合だ…誰もが多少の興味を抱いている
何せ…かつて産廃になった最弱職業【リュウ騎士】を引っ張りだして戦おうとしている人物
恐らく今後ネットでも一生笑われる対象になるであろう人物
そう思うと彼のことが本当に不憫でならない
なんで彼が司会者なのか…ソレは私も思っている
けど…この日程で空いている司会が彼しかいないのと
ゲームの解説を私が苦手としていると言う事実
もし私が司会をしていたのならば彼がこうして晒される事態も防げていたはずだ
しかし私はゲストという立場上そこまで強く出れないのだ
コレばっかりは上に言ってどうにかするしかないのだが
時間がないのと、彼の性格を知らなかった私も問題である
「さてと?どうやって調理…」
「邪魔だよ…黙って死んどけ【龍神滅殺灰燼裂斬】」
「はは?当たるか……グボ!?」
全ては一瞬の出来事であった
一瞬でスイッチを入れて必殺技を発動
更に一万分の一の確率でしか起こらないクリティカルを発動させて今キルした相手を放置しながらボーナスタイムで蹂躙の為の一歩を踏み出す
この日……………大会は史上類を見ないほど荒れる
強いねー




