不審者に会ったら声を上げろ(自虐)
…
妹が扉の方を指し示しているので遅い足取りで扉を潜ると
一瞬騒めいていた空間が静まる
……何だろう?俺を拷問官を見るような目つきで見るのはやめてくれます?
俺…別に君のこと傷つけたいわけじゃないんですよ…
そう考えながら一旦周りを見回すと波が引くように全員から引かれた
「………」
「………」
無言の両者の無言の駆け引きがしばらく行われた
そうして相手が壁際で動けなくなるまで追い詰めてから一人一人顔を見つめて九露(俺が知っている)を探していると
一人視線を伏せがちにして何か絶対人が出してはいけないようなオーラを纏っている人物がいた
うーん…あんまり関わりになりたくないけど…アレかなあ
多分あの子…だよね?
うわあ…マジかあ、一瞬悩みながら声をかける
結局のところ本家を強くする方が近道なのである
結局育成とか育成とか育成とかがあるけども
そんな風に考えながら下を向きながら完全にヤバい気配を醸し出している猫に手を差し伸べる
「…ガキ…表上げな」
少し怖めに言ったら相手がビビって従順に従うかと思い怖めに発言してみたが
「あ?」
物凄い怖い声で返答されるので一瞬馬鹿みたいに体を震わせる
……何だろう?声をかけられただけで体を震わせたなんてバレたら舐められる
そう考えて
「そんな反抗的な態度でいいのかな?」
そんな風に脅しを込めて言うが逆に下から睨みつけるように睨んでくるので
(こ、コイツ…何て胆力だよ!?この時はまだ年端もいかぬガキだろ?)
そんな風に考えながら相手の本物の強さに慄いていると
「……それで、何の用だ?」
そう言って気を取り直して
「…少しついてこい」
そう言って九露を立ち上がらせる
そうすると一瞬九露は抵抗するような素振りを感じさせるが流石に人数と実力の差は把握したのか
すぐに抵抗はやめて従順に従う
そうして半分引き摺られる形となりながら扉の向こう側へと進んでいき
一つ開けてもらった部屋に入り込むと
「ごめーーーーーーん!!」
そう叫んでいた
一瞬九露は惚けていた
まぁ…わからんくもない
なんせ少し前まで凄い怖い態度で接してきていたの相手がいきなり土下座もかくやという状態まで言っているのだ
混乱しない方がおかしい
けれども相手はどこか落ち着きながら
「……どう言うこと?」
……うん、流石に頭脳はまだ子供だったわ
そうして部屋に白や妹達を呼び出して
俺のこの世界の見解と前世での傀儡の知識を伝える
「……なるほど世界の時間だけが動いて人は変わってない…しかも変わってないのは九露と仲間になっていない奴らだけ…」
そうすぐに把握してくれた
やっぱり鈴山は勘が良すぎると思うんだよね?
そうやって当人の方に視線を飛ばすと本人は何か難しい顔をしながら考え事をしていた
「…ソレで…俺には何をして欲しいの?」
そう言うと九露は何処か怖げに聞いてくる
「…特にないね…まぁ強いて言えば俺の何倍も強くなって俺を楽させてくれるとありがたい」
そう言うと後ろからとんでもない圧を感じるが俺には何も関係ないと思いながら無視だ無視だ
しかし目の前の相手はソレが怖いのか体を天井スレスレまで跳ね上がらせる
小さい体のどこにそんな跳躍力があるのか分からず興味深げに苦笑していると
「あ、あの…俺邪魔なら帰りますけど…」
そう言うので一瞬目を細めながら
「…帰るってどこに?元いた世界?ソレともこの世界の両親の場所?」
そう言うと九露は驚いたように目を見開きながら何かを悩みながら
「この世界の家……この世界の両親に会いたいです」
そう言ってくる九露に対して
「………いないよ…君の両親はすでに死んでいる」
そう言って九露に詰め寄る
すると…九露は少し俺の様子に恐怖を感じたのか片方しか無い耳を震わせている
「…お前の両親は、お前を守る時に惨殺されている…みた筈だろう?お前も」
そう言いながら奥歯で歯軋りを起こす
俺は…子供に何の話をしているんだ?何で両親が惨殺された話をわざわざ思い出させるように話しているんだ?そんなことをせずとも相手にやんわりと伝えれば良いのに
と言うか…本来の俺であればソレができた筈である
しかし…目の前のコイツには嘘だけはついてはならないと心が言っている
事実をのみを伝えろと何を差し置いても
心の中の声が狂おしいまでに叫んでいる
そうして相手が困惑していると
「…流石に言い方があんまりじゃ無いの?もう少しオブラートに包んで」
そう言って白が俺の口を塞ごうとしてくるが…
白の手を止めながら
「……いや、今…此処で甘い事実に浸らせたら…きっと今後事実を伝えるのを躊躇う」
だから、敢えて今此処で伝える
そうすることで環境の急激な変化に対応することで一つの事象だけに対応している時間は皆無である
そうして困惑している九露の肩を掴みながら
「……まだ分からなくても良い…けどなあ?自分の過去は捨てるな?」
そう言うと九露は何かを迷うよな、そして苦悩するような顔を向けてくるので
「………過去は…お前を確かに責め立てるかもしれない…けどな?同時にお前を奮い立たせる存在なんだ…
だから…どれだけ辛くても自分の記憶だけは決して消すな」
そう言うと九露は何かを迷うように下を見つめながら視線をぐるぐると回している
まぁ…まだ年端のいかぬ年齢である
こんな風に大人に囲まれて自分に関する何かを会話されていれば気にはなるが…
ソレでも何を話しているのか分からなくて混乱していることであろう
しかし…今は何も話せない
前から感じていた違和感ではあるが…最近謎の視線を感じる
どうやって俺や妹達の認識から逃れているのかは分からないが…
ソレでも誰かの視線を飛ばしてきている奴がいる限りは話せない
先ほどまでは視線は何処か別の場所に向いていたので簡単に話せていたのだが…
ソレも今では視線を向けられて動きづらくなる
全く…自分の行動が制限されるのは嫌いなんだけどな?
そう思いながら
「…んで?九露…お前には少しついてきて欲しい」
そう言うと九露は青天の霹靂とでも言うかのように視線を飛ばしてくるので
「……そんな驚くことか?そもそも俺がこの国の奴隷を全員買い揃えたのは、お前を見つけるためなんだよ」
まぁ…流石に主人公補正をかけて俺の代わりに面倒ごとをやらせようと思っていたのだが…
「流石に…な」
そう呟いて現在の彼の姿を見てみると
お世辞にも戦えるような状態ではない
限界まで痩せ細った彼の体は正直デコピン一発で砕けそうなまでに細い
…流石にそんな少年を戦場に放り込んで
「頑張れー!!」とか言って放置したら…流石に罪悪感がカンストして毎日悪夢どころか昔の平家の誰かの様に地獄からのお出迎えの場所の夢を見るわ
流石に最低限の…いや、どうせ多分俺は何やかんやいって自由にするんだろう
…認めたくはないが俺は極力人の自由意志を奪うのは極端に苦手なのである
相手が極端に悪人であれば一思いに出来るのだが…
そう思いながら九露を見つめていると
まるで困った様に複数回瞬きを繰り返している
まぁ…こんなに見つめられても困るだろうに
ソレでも文句を言わないあたり異世界人ってところかね?
そう思いながら立ち上がって
「?」
疑問を孕んだ視線を九露の視線を受けながら
「よし!腹ごしらえだ!」
そう言って前にいる彼の手を引っ張って厨房へと飛び込む
一時間後…九露が机の上でへばっている光景が広がっている
この世界の食事は結局のところ泥水を流し込んだ岩を食っている様な貧しい気分になる
マジで不味すぎるので白達は自身の携帯食品を持って食い繋いでいるがソレも恐らく…あと数日で貯蔵が尽きる
そう思って現在料理を作っているが
…この世界の食材は全部クセが強すぎる結果
カレーを作るだけでも限界までクセを暴走させて一周回って美味しくするしかないので
結局一周回っている時点で察しろと
まぁ、この世界で美味かった食いもんといえば…
白が食っていたイカ焼きかな?
アレは濃い醤油で味付けされていたが唯一俺がいた世界の調味料を扱っていたという事実も相まって俺の食欲がかなり掻き立てられてしまっていた
まあ……食欲があるのは決して悪いことではないからな
そう言えば…………俺には食事よりもさらに重大な問題があったんだ
そう思い出して顔色を大幅に悪くする
俺の一番の問題は……水である
この世界では魔法で生成した水というのは結果論でいくと人間の体には害はないが、逆に有益な物もないのである
地球にあるエイチツーオーの文章からわかる通り水素二つと酸素一つが結合した状態で成り立っているが
魔法で生成された水というのは『水』という事象を再現することだけに力が注がれており………簡単にいえば内部を一切構築しない張りぼての物体であるがゆえに飲み水としては有害とも無害とも言えない謎物質になるのである
勿論魔力が籠った水なら魔力回復の時に使えるのではないか?と考える人もいるかもしれないが……………
これは時間経過ごとに水と魔力が蒸発していくスタイルなので長期の間少しずつ魔力回復の為に飲み水を扱うことは不可能である
そうして魔力の水に見捨てられていたころ
俺はこの世界の飲み水に挑戦していた
正直この世界の水は………この世界の飯よりクソ不味である
俺は一度この世界の飲み水に挑戦してみたが半日トイレの住人になってしまった
簡単に言えば海外で飲み水が合わなくて体調を崩してしまう………的なことである
まあ……そもそも蛇口を捻れば何時でもどこでも安心・安全な飲み水を飲めていた日本がヤバいというのもあるかもしれない
しかも場所によっては直飲みでも平気な場所がチラホラあるらしいし
昔は「へー、そーなんだ」って流せたけど
今現在の状況からしてみれば向こうの生活で
すぐに美味しい水が出てくるということがどれだけありがたかったか………
そうして日本人にしては珍し日本の「水」を恋しく思いながらも何処か宙空を見つめていると
「きゅー?」
と今まで肩にいたことすら気づかずに料理していた
……少し気になったのだが
コイツことツチノコは簡単に言うと皆一度は読んだことはあるはずの狐の大泥棒と瓜二つの猪兄弟が色んな冒険をする小学生向けの「は」から始まって「か」で終わる先生が書いた
ドラゴン退治が題材の物語で
途中に出てきたデカイ蛇のように全体で見れば蛇と分かるが腹部の部分が大きく楕円状に大きくなっており
その姿は蛇とわかっていながらも
昔から伝わるツチノコの姿を連想してしまう
まあ……結局ツチノコは毒を盛ってくる輩であるから
仲間がツチノコに似ているのは正直アレだとは思うが
絶対にツチノコに手を出せない理由が俺には存在する
それは「おしらさん」である
どうやら俺が試合中であるタイミングで初めて人化したといわれて興味をもって見に行き人化を見に行くが
おしらさんに「ツチノコ此方に渡して?」
という謎の交換条件のもと人化能力を発動してもらったが結局のところ何でそんな意味のないことを要求してきたのか今の所完全に不明である
しかしながら……おしらさんは完全に楽しそうであるがツチノコは完全に疲労困憊もかくや
という状況に追い詰められていた
何せ今日の朝からツチノコの皮が破けて血が出てくるまで顔をこすっていたのである
正直ツチノコの皮膚は硬い・素材にしにくい・加工が困難
という三拍子を兼ね備えていたので完全に諦めていたが
今日の朝ツチノコが皮膚を削られた場所を観察すると相当数の鱗や皮膚が削れたのであろう
まあ俺は別にツチノコのことをしっかりと育ててくれるのあれば………ある意味で誰にでも預けても問題はない
しかしながら………相手は元々蛇?なのであれば…新参のツチノコの対してかなりの時間を削りながら戦う力なのか……或いは掘削を生業としている職業であるらしい
そんな風に考えながら自分で何でもありだな………この世界
と考えたが鱗が海に落ちていき距離を話しながら海の中をゆらりとゆらりと深海部分に落ちていく
そうしてツチノコの方に視線を飛ばしていると
「きゅ、きゅー」
流石にアイツの攻撃………もといスキンシップは完全にやりすぎていたのではないだろうか?
そう思って彼女の方に視線を向けると
「これは先祖代々私に伝わる独特な方法で伝えられる、伝書の中に書かれている門外不出のツボおしなんだよ」
と屈託のない笑みで此方を見てくるので人生(?)ゲームの盤面を見ていくと
余りにもヤバすぎるイラストと写真が飾られており
確実にコレを作った奴には拳で語り合いたいが、こう言う人が書く悪役令嬢系の小説もたのしみである




