スキルって此方の考えを悉くぶち破るよね……
さて、今回も元気に荒らすじと行きましょう
さて、前回は私は伝説能力『暴食者』を入手したが、攻撃手段がおわたになっていることに気づき、闘争から逃走へと移行したいと愚行していました
さて、コレからどうしよう?
皆さんならどうしますか?
と、馬鹿な思考をまたも巡らせていると
〈逃走の失敗率98%闘争の勝利率86%〉
とふざけたことをマーリンさんが吐かしてくるのだマジで意味がわからない、と言うか悪意を感じるのは俺だけ?
〈否、その様なことは決して致しません…決して〉
何だろう、二回繰り返しているのが特に不安を煽る
うーん、逃げた方が勝ち目あるかなあ?って思ってだんだけど、コレは真正面からぶつかって逃げた方が成功率が上がりそうだな
よし、決めた
真正面から戦って、ある程度削ったら逃走だ
そう覚悟を決めたら話は早かった
まずは……
『あーあー、聞こえる?わかる?』
といきなり頭の中に不思議な声が響く
先刻まで僕は確かに誰かにボコボコにされていた様な、けどいきなり攻勢が弱まった様な…
何と言うか、誰かの背中に乗っている様な
いや、そんなわけないか、だって今まで誰も助けてくれなかったのにね
『おい!!』
ビクッ!!体を不自然な程に揺らしてしまうのも無理ないだろう、だっていきなり何処からともなく声がして、オマケに怒鳴られれば体を硬直させると言うものだ
けれど、その声には何処か慈愛がこもっている様な?
わかんない、けど、久しぶりに母さんを思い出した…いや、何時も思い出していたんだけど、何時もは、優しい母に会いたいと思う感じなのだが、今回は、
(母さん?)
と声の主を、そう思ってしまったのだ
しかしながら、今回は少しやってしまったらしい
『聞・こ・え・る・の・か!?』
と声を大きくされて怒られた
「は、はい!?」
と思わず反応すると
『そうか、あと、口に出さなくても心で聞こえるから平気だと、まあ、念話みたいなものだと思ってくれ。』
と言ってくるので
(こ、こんにちは?)
と半信半疑で心の声で会話を試みようとすると
『こんにちは、いきなりで悪いが、俺とお前は今から運命共同体って奴だ、此処を乗り越えたけりゃあ、お前の能力全部吐き出しな』
と、言葉遣い荒く言ってくるので
(ちょっと、待ってください…!)
(ちょっと、待ってください…!)
そう念話を終わらせてから、相手はゆっくり目を閉じて何かを瞑想する様にゆっくりと呼吸をしている
(スキルの確認か?コッチは無意識下でもスキル確認はできるけどな?)
と考え事をしていると
「ハハッ!!」
戦闘狂が襲ってきた
字面にされるとこえーな、ラノベとか漫画だと良く見る字面だけど、実際目の当たりにすると怖いことこの上ないな、しかも、速度が速度だからな
体感速度で言うと真横を新幹線が横切った時に限りなく近いな
まぁ、そうなると数百キロ出てるってことになるから気の所為としたいが……困ったな
何で?
速度、パワー、テクニック
全部負けてるんだよねえ、だってさ、こちとら異世界転移者だよ?
いきなり歴戦の戦士と殴り合えって拷問かよ?と言いたくなるが
コレはゲームでも、何でもないので、本気でやらないといけないのだ、全く、困るな
けれど、コイツから合図が来るまで持ち堪える、コレが目標にしよう
さて、まずは第一ラウンドと行きましょうか
ファイト!!
と心の中で叫ぶと
ヒュン、ズボッ!!
擬音しかないのは謝罪するが、此方からしてみると其れしか頭に浮かんでこなかった
多分結果論で行くと
相手が一瞬で此方との距離を詰めて手刀で、再び此方の装甲を貫いたと
一応、其れなりの防御力を兼ね備えているはずだが…
まぁ、もう考えたら負けだな
「ウオオオオオオオオオ!!」
自分を鼓舞するのと、退路を断つ為に咆哮を上げる
その凄まじいまでの大音声に当てられて一瞬ーーー人間…若しくは動物に置き換えてもいいが、生物というのは元来『音』に対して根源的な恐怖を持っている、何故か?其れは、様々な考えがあると思うが俺は、『大きな音がする方は危険がある』と思うからではないか?元々圧倒的弱者であった人類は、其れこそ、今では笑われそうな程の『臆病』を武器に生き抜いてきたのではなかろうか?
別に逃げることや臆病なことは悪いことではない、某美食系漫画の某王達は、小動物の様な危機感知で王としての地位を守ってきたそうだ、なのでーーー相手が怯んだのを此方は見逃さなかった
逃げではなく、敢えて此処で前に進む、其れが最善だと思ったのだ
瞬間、激しい後悔に襲われると知らずに
まず、硬直に襲われた相手の対応は迅速かつ的確だった、悔しいことに
一瞬瞬きをした様に見えたが、アレは
瞑想やら切り替えやらに近い行為だったのだろう
しかも、落ち着いた後、此方を観察して、何が相手の手数を減らしつつダメージを増やせるか、と言うのを瞬間的に思考したのだ
そして、出した結論が恐らく
『敢えて隙を見せて、一瞬で決着を決める』
そりゃそーだ、なんせ相手には遅々として進まない戦闘を延々とする理由なんて存在しないのだから
結果論から行こう
もし、相手が俺ではなかったら勝負は一瞬で決していただろう
しかし、くどい様だが、俺には
【命の源泉】が存在する
勝負は終わるまでわからない
常識だけどね
背中から真紅に染まった手刀がひょっこり顔を覗かせる
しかしながら、此方には最早痛みが意味をなさない程アドレナリンが出ている…と言うわけではない
では、何故痛みを我慢できているのか?
それは…………何でだ?
わからんが痛覚が消えたらしい、マジで知らんが
さてと、此処から反撃の開始…
〈経験値が溜まりました、『進化』を開始します〉
え?強制だと!?
そう、考える間もなく一瞬で進化へと拉致られることとなったのだ
頬を撫でる風が寒いながらも心地良い
其れが新しく住んでいる土地で初めて抱いた感想である
別段其れ以外ないと言うわけではないのだ
しかしながら、当然暇を持て余してしまうわけで
自分のことを調べてみようと思うのはある意味で当然と言えるだろう
〈カーミラ
Lv.5 称号【神木の守り手】
スキル
【神の担い手】【絶対予測】【絶対防御】【並列思列】【正邪魔法】【暴風魔法】【武器創世】【空間魔法】
スキルポイント 一万
とかなり、凄いことになっているしかしながら、コレらは元々あったスキルポイント使って入手したわけではない、と言うか、そんなんがあったら、最初から身体成長を入手して自身の強化に使っていたわと言う話である、しかしながら、メリットもあった、転生者でありながら持っているスキルが皆無だった為に3歳なのに成長補正が働いて、本来上がらぬLevel 5まで上げることに成功していたのだ、コレは僥倖であったが
では、どうやってスキルを入手したのかと言うと
継承である
どうやら私は守護麒麟という、この地にある『御神木』とやらを守護する一族であるらしいのだ、母曰く、この御神木は何時の日かこの地に降臨される神の地上へと降り立つための道であるらしいのだ、そんな馬鹿な話があるかと私は思っている、何故か?
本当に神がいるのならば、こんな木一本を器用に選んで降りてくることなどできるわけもないだろう、もっと言うと『お盆』の火を焚いて死者を現世にお出迎えすると言う話もあまり信頼していない、本当に人を呼び寄せるつもりならキャンプファイヤーでもやれよと思っていた、しかしながら兄からしてみると、そう言うのはわかっていても黙っているのが『大人』であるらしいのだ
全く、意味がわからない
けれど、兄の言いたいこともわからなくはない
お盆をやるにしても、この木が道になるにしても、恒常的にそうだと言われ続けてきて、疑わないと言うことはないのだろうが、そこに夢や浪漫があると、途端に人は脆弱になるのだ、なんせ、人は自分が信じたくないことはスルーして、自分の都合のいい様に捉えるから、そして、都合良く捉える為には誰かを振り落とすのも厭わないのが人間という存在なのだ
かなり話が脱線してしまったが
継承というのは守護者の役目を誰かに引き継ぐと言う意味なのだ
今回私が選ばれたのは、ある意味幸運で不幸であった、何故か?其れは……
「よお、カーミラ。」
私の思考を邪魔する愚か者がやってきた、殺してやろうか?
この少女もといカーミラは前世から自己中心的な思考していた
其れを説明するには少し時間を要するが、ご容赦いただきたい
元々彼女の生い立ちというのは複雑極まりない
彼女父親と目された人物は三人いた
コレに関しては少し言葉を濁すが、母親がそっち系統の仕事をしていたのだが、コトをした後に、対策をするのをスッポ抜かすという惨事をやってしまったのだ、最初は、一人疑わしき人物がいたのだが、同時期にもう、二人いたのだ、誰が父親なのか、其れはだいぶ揉めたらしいが、生まれてくるまで全員彼女に接触しないという協定を結んだらしい
そして、生まれてから赤子と彼等三人とのD N A鑑定をしたそうだ
ちなみに言っておくと
最初に疑われた人物は
国吉正孝、平凡なサラリーマンで妻子が家を出てからは寂しい思いをしていたそうだ
芳賀晴人、此方は不動産会社社長なのだが、羽振りが良すぎて年中金欠なのだ
最後は、晴間國人、何時も真面目に働いている会社員で妻とは死別、一人男児がいるが、ずっと一人で家に居させているのを苦心している、だが、息抜きをしなければやっていけないというのもまた現状であった
そして、なんと、この女性にできた子供は最後の晴間國人との子だったのである、全員驚きはしたが、落ち着くところに落ち着き
彼女と晴間は晴れて結婚する運びになったのだ
そして、彼の子供は、正義というのだが、
その彼は父の再婚を心から喜んでいた、再婚相手が何の仕事をしていたのか、何で結婚するのかを知って尚、父の再婚を心から祝福したのである
しかしながら、新しく生まれた子供はそうはいかなかった、彼女は自我がはっきりしてきて、小学生に上がる頃に父と母に自分が生まれた原因を聞かされて酷く混乱した
それは当然であったが、あまつさえ家出するという蛮行に出たのだ、いや、蛮行とは言い難いが、あまり褒められた行為ではない、けれど、其れを考えられるほど思考はしっかりしているわけではないし、この年の子供は感情に素直であるのだ
しかしながら、今回はやってしまったなと、彼女は後悔していた、後悔先にたたず、という様に、感情に任せずにしっかり考えれば良かったと6歳の思考の範疇を超えて考えていた
しかし、そんな彼女を助けた人物がいた
義理の兄であった
一応「正義」という名前はあったのだが、兄としか認識していなかったのだ、しかも、話を聞くに彼は義理の兄であり、異母兄弟と言うのだ、なので、彼に見つられた時あまり気分はよくなかった、しかし、彼は彼女を見つけて
「帰ろう?」
と優しく一声かけた
それ以上何も言わずに
彼女は、その声を聞いただけで、何故か今まで悩んでいたことがとても小さく感じられたのである
そして、その日から彼女は勉強に没頭する様になった、元々の頭脳も相まって中学に上がる頃には神童と持て囃される程になっていた
しかし、彼女の興味は、関心は多くを語らず自分の心を救ってくれた兄へと向かっていた
本人が言うには
『もう、こんな時間だし帰ろうか?』位の意味合いで言ったのにとぼやいていた
そして、関心は、いずれ好感へと変わるのを彼女は、知らなかった
とまぁ、こんな具合で彼女は兄を最も大事にしており、所謂、ブラコン、もしくはブラザーコンプレックスという
なので、彼女からしてみれば兄以外の有象無象など、全てが無価値なのである、なので、彼女の手を煩わせる存在など彼女からしてみると『邪魔』以外の何者ですらないのだ、なので本当は消し去りたいほど憎々しいが、残念ながらする気もないし、できないのだ、何故か?それは、私が継承を行なってこの地の『守護神』となってしまったからだ
守護神になった者は、その土地を守る為にのみ力を振るうことを許す
人民を傷つけることを許さない
悪人を罰し、神木を守れ
日の出から日没まで神木の前で守護を行う
等々めんどくさい条項に頷かされて継承を行なったのだ、この土地では守護神に任命されるのは最も栄誉あることなのだそうだ
正直言って馬鹿じゃないの?と思った
なんせ、人生の大半を神木の前で過ごして、こうして煽ってくる輩に手を出しては駄目、煽り返しても駄目、神木から一定距離離れては駄目、けれど、コイツらを守れ
五月蝿え、と言って、この土地にいる奴等を全員殴り飛ばしたい
けれど、そうしないのは一重に私の理性が厳重であるのと、コレを破った際に、どんなデメリットがあるのか把握できないからだ
取り敢えず、遡れるだけの記録を遡ってみたが、守護者が離反したと言う記録が残っていなかった、と言うか、あったとしても残してないのだと思う、なんせ、この地での守護神の地位は最高であり日没から日の出までは最高権力を振るうことができるのだ
まぁ、言うほど人いないけどね?
けれど、この地で生まれて閉じこもっている分には栄華を極めることも可能なのだ
さて、コレからどうするか
地龍君、君はコレからスキルのおかげで幾ら死んでも蘇れるよ!
ある攻撃を除いては…ね