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空に届け

ようやく……ようやく

鈴山の説明を聞き終えて一瞬考える素振りをしながら

「まぁ……俺には預かり知らなえことだしな」

そう……何処かに人為的なものを感じても証拠がないのだ

何故彼らの世界で落とされたのが『負の感情』を引き出すものだとしてもソレで人間を…国家を殲滅できるとは思えない

精々多少軍の指揮系統が乱れる程度で少し時間を置いて待っていれば時間が解決してくれる

けど…そうはならなかった

彼らの世界には『穢れ』という未知の存在が世界に跋扈する羽目になった

………お湯に顔面をつけながら無駄な思考を省いていく

此処で変に答えを出してもコイツらを混乱させるだけである

そう思い黙っていると

「お前……なんか気がついた?」

そう鈴山が問いかけてくるが敢えてこの質問を聞こえないふりをした

不感症の傍観者気取りも良いところだな

久しぶりに本気で自分に嫌悪感を覚えた




温泉から上がると外との気温が体がビクリと震え上がる

やはり…温泉から上がるまでの道に多少の壁や温風をやってくれないかな?

温泉で温まった体が冷えて敵わない……

そう溜息を吐きながら浴衣を羽織っていくが前世と違う自身の腕の細さに多少の困惑を覚えながら向こうを見て

そうして少し長い浴衣を引き摺らない様に気をつけながら温泉の暖簾をくぐると女子が同時に上がって…あれ?

「お前こっちに来てたのか?」

そう思わず呟いてしまったが其処には俺の妹がいた

はてさて?確かコイツは王国の奴隷達を買いに行っていたのでは?

そう思ったがコイツなら一瞬で終わりそうだなと思って黙ってしまったが途中から思考放棄だなと思った

「まぁ……」

いっかあ!どうにでもなあれ!という精神の元本来見るべきものから視線を逸らしといた

だって休養の為に立ち寄った場所で何が悲しくて難しいことを考えなければいけないんだ!

そう思い溜息を吐く

「ん?」

悩みの種の本人は特に気にしてない様に此方を見てくるので頭を振りながら何にも考えないで居ようとしていると

「おーい!地龍!酒飲もうぜ!」

あー……邪ソンさん…貴方温泉に旅館というダブルパンチをモロに食らって酔っ払っていますね?

……足取りが千鳥足だけど元の身体能力が異常に高いせいか一瞬目を離した隙に一瞬で距離を詰められてしまった

後悔する間もなく酒瓶の独特な光沢のある口を突っ込まれて苦みとコクとキレのある液体が喉元を経過していく

前世ですら酒とは全く縁のない生活を送っていたのに異世界に来て一月も経たないうちに酒を飲まされるとは…………………



そうして宴もたけなわで宴会がお開きになった頃俺は頭痛のあまり温泉にもう一度来ていた

「たくっ…邪ソンのやろう…もう少し酒を抑えろって……あー、これ二日酔いとかに入らないかな…」

そうブツブツ呟いていると

「ん?お兄なに独り言言ってんの?」

と後ろから聞き慣れた声が聞こえたので条件反射で振り返ろうとしたが

「お、おい!なんでお前が俺と同じ温泉に入ってんだよ!?」

と何とか意思の力で後ろに振り返らずに声を荒げる

一応俺だって心は『男』のつもりなのだ

そんな奴の所に不用心に一糸纏わぬ姿で現れるなんて不用心にも程がある

と心の中で悶々としながら

「お前……さっさと出ていけよ?俺は向こう向いて耳も聞こえない様にしているから……」

と少々呆れの言葉を交えて早々に立ち去る様に告げると妹はつまらなそうに

「えー?昔は一緒にお風呂入ってたんだし良いでしょ?」

「おま!?何言ってんだ!ソレはお前がまだ小さいから許していたのであってな!」

と思わず声を荒げながら振り返ると

「あ」

後ろには…いや今は目の前にはイタズラが成功した子供のよう肩を揺らしながら笑っている妹がいた

もう振り向いたし仕方ないかと考えながら盛大に溜息を吐きながら

「んで?お前は俺に何の用なんだ?」

と温泉を肌に染み込ませながら聞いてみると

「…特に用事は無いけど……強いて言えば一緒にお風呂に入りたくなったとか?」

……コイツの羞恥心はどうなっている?

と思わず問い詰めてしまいたくなるが…

そんなことを言えば俺なんて戦闘中に真っ裸になることなどザラにあるのだ

簡単な致命的なブーメランが簡単に出来上がってしまう

そう考えて口を噤んでいるいると

「次の相手……私も風の噂で何回も聞いたことがあるよ……あのお兄が初戦に戦ったグングニル……グングニルの能力を発動してなかったとは言え…彼女を寸分違わず一瞬で瞬殺して他の試験管のS級冒険者達を目も止まらぬ速度で攻略して勝利を収めた化け物として世間に名前が知れ渡っているんだよ」

え?と思わず口からこぼれていた

何せソフィアは俺が戦った中では相当強者なのにそんな奴を一瞬で屠る程の化け物が俺の次の対戦相手?

バカ言っちゃいけないよ…

勘違いされがちだが別に俺は超人でも何でも無い

戦えば傷つくし、負けることもザラにあるのだ

しかし周りは俺を創作上の何かと勘違いしている節がある

「はあ……」

と水面を揺らしながら盛大に溜息を吐いていると隣にいる妹は少しおもしろそうに笑っていた

全く…コイツは俺の苦労わかってるのか?

そう思いながら肩凝りをとる様に軽く肩を回しながらゆっくりと至福の溜息を吐いていると

「お?お前らも一緒に入ってるのか?」

後ろから少し酒の入った音山達がやってくる…

と言うかお前らは未成年なのに飲酒OKなのか?

そう思いながら激しく

そして盛大に溜息を吐きながら疲れた様に肩を回しながら体の調子を確認する為に少し目を閉じると

「おーい?しんでるのか?」

だいぶ酔ってるのか呂律もかなり怪しい上に平気で失礼なことを言ってくるので制裁の為に拳を振り抜く

そうすると音山が綺麗な弧を描きながら温泉の外側に落ちていくのを鈴山はゲラりながら見つめていた

おい?助けなくていいのか?

そう言おうとして…

やった本人が言うのも変だと思い温泉に鼻まで浸かり水面をぶくぶくさせる

「……んで…一つ聞きたいんだが…」

鈴山がそれまでのふざけた態度を急に変えながら此方に向いてくるのですぐさま此方も意識を変える

「…どうした?」

そう言いながら何を聞かれるのかはわかっているのでソレに対応する為に問答を幾つか想定していると

「…次の対戦相手にはどうやって勝つつもりなんだ?話を聞く限り相当の実力者だぞ?今までの行き当たりばったりの戦闘は通用しないだろうし…しかもお前の能力の大半は民衆を通して奴に伝わっているはずだ…その中で敵を出し抜いて戦うことがどれだけ難しいかわかってるのか?」

そう…次の対戦相手はガーネットのクイン

…実力はクイーンズブレイドダントツのトップでありながら女王に心酔している変人

しかも奴から出ている『圧』は確実に強者のソレであり…俺が簡単に勝てないのは誰もが折り込み済みである

その中でどの様に奴を打倒するのか民衆は楽しみにしているのだろうが…

「悪いけど…正直勝てる未来が想像できない…」

そう言うと鈴山どころか俺の妹まで驚愕の表情を見せる

おい?お前らは俺のこと化け物が何かと勘違いしてるのかな?

なんせ…俺は人一倍どころか五倍十倍くらい努力してようやく人並みになれるのに

最初から才能と環境があって努力を怠らない奴と戦ったらどうなるか?簡単な話だよ…

目も止まらぬ速度で引き離されてボコボコにされる

しかし最初から諦めるのも癪に触るから奴が今まで行った試合の結果を【ノア】に全暗記させて脳内シミュレーションを行うが全戦全敗である

半分くらい戦う前から試合放棄をしたい気分ではあるが決して逃れられないというのは理解している為に相手の弱点を必死になって考えている

「だって…最長でソフィアの試合だぞ?奴の対戦記録…情報もへったくれもないんだよ…」

そう呟くと鈴山は理解したと言う顔をしながら僅かに目を閉じる

「だって…ソフィアが戦闘を開始しようとしたら…一瞬でアイツが負けてる相手だぞ?せめて視認できて最低限反応できる実力を持ち合わせて無いと戦う術ないんだよ…」

そう呟きながら何もでにない悔しさから髪の毛が湯の中に広がることを一切考慮しないで湯に浸っていると

「……ねえ?お兄なら攻略できるんじゃない?」

はてさて…この妹は人の話を聞いていたのだろうか?

「だーかーらー!アイツの攻撃を見切れないからどうやって対応するべきかってのを悩んでるのに攻略に話を飛ばすなんて現段階では速すぎるわ!」

そう言うと妹は不思議そうに此方を見てくるので疲れ切った頭に鞭打ちながら考えていく

「…まず…アイツは俺が見えない程速度で移動を可能とする」

そう呟くと妹はコクコク頷く

コイツは…アイツの能力発動の瞬間を見てないからわからないはずなんだけどな…

もしかして俺のことストーキングしてる?

…あり得そうで怖いわー

「んで…奴は自分の能力がモロバレするのを極端に恐れている」

………うーん?前にも話だが矢張りこの世界は極端に情報を統制しすぎだと思う

戦っていればいつかは情報が漏れ出すのに絶対漏らさないぞー!!

と言う気概を感じる……まぁ、コレは一旦置いといて…う〜ん?何だろう奴の能力が喉元までわかりそうになる…が、ソレを心が否定している

「……ソレでソフィアクラスの強者が一瞬で対応しきれない速度で沈めた…」

そう呟くが一瞬自分でも信じられなかった

何せ…ソフィアの実力は誰よりも何よりも恐らく俺が一番理解している

尽きる気配のない無尽蔵の魔剣と剣の嵐…そして更に一生撃ってるんじゃないのか?と思ってしまうほどの雷の放出

ソレらを一切出させないで一瞬で下すという行動は完全にヤバい奴認定をせずにはいられない

其処まで考えて次の思考に考えを飛ばす

何でソフィアは反応しきれずに倒されてしまったが…

ソレは何故なのか?

少し速度が出ているだけであれば彼女が一瞬で倒すことなど一生不可能である

しかし…奴はソレをやってのけた辺り…反応しきれないんじゃなくて…反応できない、と考える方が簡単に説明できる

しかし…そうなるとなあ…

其処まで考えて頭を後ろの石畳の上につけていると鈴山が此方を不思議そうに見つめているので

今現在持っている情報から推測できる奴の厄介な能力について伝える








そして2日後



「さあ!数日の休暇を挟んで再び戦場に舞い戻った期待の星!彼は今日どんな夢を我々に見させてくれるのでしょうか!!」

そう前口上か言い放たれ俺が出る出口に花弁と煙が揺蕩う

ソレらを僅かに掻き切る様に空を掻いて会場に入ると鼓膜が破れんわ!と叫び出しそうなるほどの大歓声が会場を覆う

そして

「さあ、次は試験官登場だ!挑戦者が我々に夢を見せる存在であるなら!この人はその『夢』を粉々に砕く為に遣わされた御方!クイーンズブレイド最強の戦士【ガーネットのクイン】の登場だああああ!!」

コッチはコッチで一回鼓膜破れたんじゃないのか?と思うほどに耳に衝撃が走り抜ける

キーンと耳鳴りが長時間聞こえるので溜息を吐きながら相手の方に視線を飛ばしていると

「いやー、まさか君がここまで来れるとはね」

何処ぞのテンプレ強者のセリフだ?と思わず突っ込みたくなったが此処で何かを言えば確実に話が長くなるであろうから今は最小限に問答をして戦いを始めた方が余程効率的である

「そうか?別に何ら不思議じゃねぇーだろ?」

そう言うとクインは僅かに笑いながら酷く楽しそうな顔を見せてくるので一瞬体を震わせ構えを取ろうとすると

「ああ、別に警戒しなくていいよ…そうだね…そうだ…君が試験を突破できないだろうと思っていた自分が甚だ阿保らしく思えてくるよ…何せ最初に君を見た時に感じた感想は一般人っていう印象だったから決めつけてしまったけど…決めつけは良くないね」

…あれえ?コイツ…俺のことただの一般人だと見抜いてたのか?

ヤバいな…この世界の住人は普通に心読んでくるだけじゃなくて俺の素性も一瞬で見抜けるほど観察眼が鋭いのか?

まぁ…奴の場合は特別勘が良さそうという気配はするが…

ソレでも少し怖いな…と考えながら腕を構えていると相手は一瞬笑ってから体を揺らしている

最初はまた笑っているだけなのかと感じてしまったが今は攻撃態勢に移行しているのではないか?と思ったが一瞬で今まで見たどの行動とも違うとわかり一瞬でより構えを固くして対応しようとすると

「あっはっは!そんなチンケな構えで捌き切れると思ってるの?」

一瞬で目の前にいた筈の相手は俺の後ろに移動しており

しまっ!?と最後まで言い切る前に全身から溢れんばかりの出血を起こしてしまう

一章も遂にクライマックス!ついでに俺の小説のストックもクライマックスだぜ!

『駄目じゃん!?』

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