空に届け
あ〜〜極楽〜〜
さて皆皆様方……まず最初になんで『あ〜〜極楽〜〜』と俺が呟いているのかわからないという顔ですね
この理由は……実は先日のノワリンとの戦いの後控え室で休憩していると
「では……次の試合を……」
そう係員の人物が言いながら俺に試合会場に来る様に言って来たので立ちあがろうとする
「おい?」
悪鬼羅刹がいた…般若の顔が数百倍怖いことになっていた
係員の人と周りの人達が全員体を硬直させながら
「治療が終わったとは言え……お前の体の疲労はそんなに簡単に癒せるもんじゃないんだよ?……湯治したほうが良いと思うんだが?」
思うんだが?こんなに強制力のある提案は初めてだなー
そんな風に考えながら音山を何とか宥めようとしていると
「……まぁ…お前諸事情によって戦うことができなかった期間が長いからな試験を受けられる期間の範囲を広げてやっても構わんぞ?」
そう女王が言うので俺も含めて邪ソンも相当驚いている
……えっと…完全にダメそうな気配が感じ取れるんですけど…良いの?
そんな俺の考えを感じ取ったのか一瞬で此方に向いて来て
「……此処で下手に文句を言えば私の首が飛ぶ未来しか見えないんだよ!」
……女王も相当の実力者であるはずなのに首が飛ぶ未来を幻視させるなんてヤバいな…音山
そこまで考えて
「じゃあ……何処か湯治に行ける場所に行くとして……ねえ女王…この世界に眼鏡ってある?」
そう魔素で強化しながら戦うのも良いかもしれないが前回はいきなり視界を奪われたことで急に動きがガタガタになった
そのことを鑑みれば『眼鏡』と『魔素』の二段構えで視界の確保をしておいた方がいいだろう
けど……こんなに文明が未発達であるなら眼鏡もないと考えるのが当然では……
「あー、待って…わかってる勿論n「あるよ」そう……ん?ちょっと待て今なんて言った?」
いきなり声を被せられたと思ったら「ある」とか何とかって信じられない言葉が俺の耳を通り過ぎた気がするんだけど?
「だから…この世界に眼鏡はあるって言ったんだよ?」
そう言われながら半ば信じられずに何回か瞬きをしていると
「信じられないならついて来なよ」
そう言って扉から出ていく
その隣ではオロオロと困惑している係員の人がいたので
「…今日はもうお開きにしといてくれない?」
そう申し訳ない気分で一杯で告げておいた
係員の人は何処か落胆した様に頷いている
一瞬何でそんな風に落胆するのかと思ったが……一応こんな試合でも民衆の娯楽である『見世物試合』であるのだ
古代ローマのコロッセオに近い感覚なのかもしれないが……
こんなのが見世物試合というのは少々如何なものかと思う
何せこの試合は…一歩間違えば簡単に死んでしまうのである
俺だってギルマスと戦った時は本当に死んでしまうかと頭の片隅で考えてしまったほどである
ソレにノワリンの試合も下手をすれば死んでいたかもしれない
ソフィアもバーサークロボも……
あれ?俺…もしかして普通にヤバいくらい死にかけてる?
そんな風に考えて
「そんなわけねーよな!あっはっは!」
といきなり大笑いするが心の奥底ではかなり冷や汗をかいている
けど周りの人たちはそんな俺を単なる不審者だと判断した様で何も気にしないで歩いている
何か反応してくれない?そうじゃないと俺ただの不審者やんけ
そんな風に考えながらボーッとしていると
「さて……此処だ!」
女王が何処か自慢気に手で指し示すのは……
「お前はボロ屋を眼鏡屋と吐く虚言癖でもあんのか?」
「はあああ!?」
何故か凄い驚かれた
別に見た目で物事を判断するわけではないが…この世界で眼鏡を作るのはどれくらい難しいのかは俺は知らない
何せ元々いた世界の眼鏡の作り方自体も俺は知らないのだ
しかし…現代であっても眼鏡と言うのは高価なものである
そこから鑑みれば眼鏡は複雑な技術で作られているのが僅かだが窺える
そして……そんな高等技術を持っているのならば態々こんなボロ屋ことアバラ屋に住む必要性は何処にもない
まぁ……主人が妖精とかでこんな所でないと表立って生活できないとかなら
「悪かったね…ボロ屋で」
……ちょっと待て…俺はいつから伏線を回収する天才にジョブチェンジしたんだ?
そんな風に思ってしまうほど綺麗な伏線回収であった
「いや……すまん思わず口をついて出てしまっただけでアンタとアンタの腕をバカにした訳では……」
そこまで言うと女王が人差し指を立てて『静かに』のジェスチャーをしてくるので少し謎に思いながらも従うことにした
「わかっている……確かにアンタが考えた通りオイラが持っている技術はソレこそこんなアバラ屋の裏路地じゃなくて王都で使っていてもなんら不思議じゃねえ技術だ」
……もしかして心が読まれた?
なんかの漫画で妖精族は心を読める…なんて書いてあったし…あれ?ソレなら
「いんや…ソレは違う…オイラは種族的な読心術だけど…他の奴らは反応から何を考えているのかを当てているだけだ…」
結局他のみんなはデフォで心読んでいるだけだったんですねえ
怖いわ…せめて俺の心のプライバシーを保させて?
そんな風に考えても無駄なんだろうな〜と考えながら
「…なんだ…立ち話もアレだ中に入れ…お望み通り『眼鏡』を所望なんだろ?作ってやる」
すると女王が何処か楽し気に
「やったーー!」
とハイタッチを強要してくる此方は意味がわからずに首を傾げていると
「え?何で嬉しくないの?」
そう言われてもアンタは何が嬉しいんだ?と混乱しながら見つめていると邪ソンが
「そもそも彼は何が嬉しいのか…そして此処はどう言う所なのかを一切合切わかっていません…そんな中『店の中に入って良い』と言われて喜んでいる貴女はさぞかし奇妙に見えるでしょうね」
……うーわ…凄い傷を抉りにいくね…とドン引きしていると
「あ、そっかあ…じゃあ説明しないとだね!」
だからアンタは前向きすぎない?あとその喋り方がコロコロ変わるのは何なん?
そう考えていると
「……ねえねえ?」
と白が肩を叩いてくる
「どうした?」
一瞬今応じるべきかどうなのかを考えながら結局コイツから話しかけてくるのはトコトン珍しいので聞いてみることにした
「多分だけど彼女は何十回、何百回と人生を歩んでいるから喋り方も多岐に渡るんじゃない?」
なるほど……そう言うことね!
けどさ…やっぱりデフォで心を読むのだけはやめてくれない?とても心臓に悪い
「ん?どうしたの?」
ことの発端たる女王は何も知らない顔でキョトンとしているので一気に毒気を抜かれながら
「…で…結局此処はどう言う所で、何でアンタはそんなにテンションが高いんだ?」
店の人には悪いかもだけど少しだけ待ってもらおう
情報を知っているのと知らないのでは対応の仕方も大きく変わってくるかもしれない
何せ敵になり得るなら警戒だけは怠らない様にしないとまずいから
「まず…この場所は王都の裏の都……まぁ反社会的勢力が跋扈している場所だね…幾ら完璧に統治しようと思って人の手では掬いきれない存在は数多く存在する……そう言う人達を支援するのが此処だよ…」
……意外だ…まさかこの国はヤ◯ザなどを社会的に掬いきれなかった人達を助けるために黙認していたとは
勿論過剰な犯罪行為に及べば逮捕することもあるだろうが女王がそう言うところを黙認するとは思えない
差し詰め常人ではやりづらい仕事
例えば戦争で出た死体や裏仕事関係の人達の処理を彼らに任せているのだろう
恐らくしっかりとした報酬を渡して
彼女が私欲で金銭を勝手に減らしたりなどは決してしないとわかっているから彼らも完全に彼女たちを信頼して仕事をしているのだろう
そうでなければ此処に来るまで一切襲撃が無いのが信じられないからだ
いや……ソレどころか此処らへんの住人は完全に女王たちに友好的であった
何せ会釈をすれば笑顔と共に会釈をして来てくれるのだ
「なるほど此処の大体の仕組みはわかった…けどどうしてそんな所にこんな高度の技術を持った妖精さんがおるの?」
そう一番の疑問はそこである
何せ此処はお世辞にも商売ができる様な場所では無い
周りには裏の住人とでも言う存在が跋扈しており此処に会いに来ようとするだけで多大なリスクを伴う
しかも此処らへんに住んでいる住人が奴が提供する『技術』の対価を払え切れるのかは不明である
そもそも払えない可能性の方が大きい
そう考えれば此処で商売をするなど完全に世迷言であると言い切れる…が
「そうなんだよ……彼ほどの技術者であれば此処で商売をしてるなんて絶対に可笑しい…彼の事情を知らない人ならそう言うね」
『事情』?
何のことだ?と顔に出ていたのか女王は多少苦笑しながら自身の顎に指を触れさせながら少し目を閉じる
そして一瞬で瞼を開きながら
「彼は確かに昔『妖精の玩具屋』という大衆向けの雑貨屋を開いていた」
ソレを聞いて一つの事柄が俺の意識に引っかかった
「玩具?雑貨?今奴が開いてるのは眼鏡屋じゃねーのか?」
そう……其処が一番気になるのだ
そう思い俺は質問したが女王は少し顔を歪ませる
邪ソンに至ってはお通夜か!?と突っ込みたくなる様な顔をしている
二人の尋常ならざる気配を感じ取りふざけた考えは頭の中きら追い出しながら女王に問いかける
「………何があったんだ?」
そう言うと邪ソンがゆっくり息を吐きながら女王の言葉を引き継ぐ
「……彼が売っていた玩具というのは低価格で子供達に人気が出た…けだ一つ問題があったんだ」
いきなり本題に飛んだ挙句にいきなり主題に突っ込んでいくので一瞬頭の中がゴチャゴチャになりそうになったが何とか堪える
「問題?安いおもちゃで何が問題になるんだ?」
後ろの三人も何が問題なんだ?と言う顔をしながら話を聞いているので二人に話の続きを促す
「……精密すぎた上に安すぎたんだ……」
あー、はいはいはい…わかったそういうことなのね
なるほど少し話が見えて来たぞ?
「なるほどつまり…安くて値段以上に精密すぎる玩具はすぐに大ヒットして他の玩具屋を廃業寸前に追い込んだ?」
そう…俺の頭では其処までしか考えられなかったが……
「違う…いや…勿論ソレも起こった…けど結果的に全体の技術が一気に進歩して今の子供用のおもちゃはかなり精密さが上がった」
え?違うん?全員の心の中を総括すればその様な状況になるが全員が彼の次の言葉を固唾を飲んで待っている
「けど……此処から問題なのが彼は依頼を受けるのもかなりの低賃金で受けていたということだ」
………?
と心中ではかなりの疑問符が飛び交っているが態々言葉にする必要も無いなと感じながら首を傾げていると
「つまり…だ、彼は子供を介した依頼であればどの様な依頼も低賃金で受けるということだ」
…………ちょっと待て…おいおいおい?
俺が考えていることを簡単に予想したのか邪ソンは一回頷いてから口を開く
「奴は一時期テロの共犯者として扱われていた時期があった」
……やっぱり…どんな依頼も子供を介せば低賃金で受けるという噂の妖精は裏社会や、その時の王国を憎む存在達にとっては扱いやすい駒であったのかもしれないが…
「ソレにしたって最低すぎない?純粋な子供依頼だと考えて楽しく部品を作っていた彼を踏み躙る行為じゃ無い?」
そう言うと女王と邪ソンは鎮痛な面持ちで何処か気まずそうにしている
「なるほど……そういう危ない依頼を沢山こなしていくうちにこの世界じゃ中々手に入らない技術力を持つことになったのか…皮肉もいい所だな」
そう言うと女王は完全に下を見てしまった…ありゃ?そんなに責めたつもりは…
「まぁ…別にアンタに対して怒ったわけじゃ無いんだからそんなに気を落とさないで」
何故か俺が女王の気分を落ち着かせるために宥めると言う誰得光景が広がってしまった
そうしていると
「……ソレで昔…私達は彼に王に使える技術者として働かないか?と持ちかけたんだ…我々の対応が遅れた結果…彼は謂れのない誹謗中傷を受ける羽目になった…そう思い提案しに行こうとしたのだが彼は既に此方に店を移していた……」
そう一旦言葉を区切る、何故其処で態々言葉を区切るのかが理解出来なかったが一応続きを聞いていく
「彼が扱う贈与能力は【妖精の遊び場】……其処は単純な森林が広がっていて入って来た対象に何ら影響を齎すことはできないが…代わりに許可しない相手は決して入れない…そう言う結界魔法が広がっていたのだ…」
そうか……そんな結界を広げられたら女王達は彼に許可されない限り入ることなど夢のまた夢であろう
そう思いコイツらも苦労したんだなと溜息を吐いて空を見上げる
音山は医者ではないけれど回復術師として術をかけた相手が無理をしてまた怪我をするのを黙って見過ごせない正確であるから地龍に凄んだ




