空に届け
久しぶりに紅蓮さんが来ますよ!
ようやく終わりが見えて来たな
そう思いながら相手を見つめて体に再三力を込める
………今アドレナリンガンガン出てる(気分)から平気だろうけどコレ終わったら疲労が一気に噴出して体力が一気に削れて寿命に影響しない?
(コイツは馬鹿なので既に疲れて魔素を扱えなくなったと言うのに気付いてません)
あー……と言うかそもそも地龍の寿命ってどれくらいなの?
何せ地龍の情報はめっちゃ伏せられている
大地に密接につながっていると言うのも他のラノベの知識と組み合わせて個人的に想像できた事象であるが為に絶対そうだとはいえないのだ
しかも地龍自体がクソ雑魚なのは認められるが……他の龍は強いのか弱いのかは判断しづらい
情報がないとどれだけ意見を言おうが結局は『推論』の域を決して出ないのである
そう考えると考察が好きな人たちって尊敬するわ
(結構マジ)
さてさてさーて……そろそろ困ったな…
疲労で体の動きが鈍って思考も散漫になって来た
能力を発動できる最低限のラインを守れるが……
ソレでも時々手元が揺れる
絶対に揺らしてはいけないと頭は理解しきれているのだがソレでも揺れて隙を晒してしまう
しかし…今はそんな心配はしなくても良かったかな?
相手は俺より瀕死の体だ
何せ顔の半分が血液が染まりきっており固めが見えていない
しかも大地の中を無理矢理潜航させられた影響で身体中から大量に血液が流れ出て更に岩の破片が体に刺さっている
そして最早隠そうとも…いや…隠せないほどに溜まってしまった疲労を表すかの様に少しずつ鉄の能力の精度が悪くなっていく
土に潜る前と潜った後では確実に動きの質が違う
ソレこそ天と地ほどの差が存在しており
今では大きな二つの鉄の槍を出現させて操っているんだけでも視界がしっかりと定まっておらず完全に気絶寸前である
しかし…どうして突っ込まないのか?
簡単な話である
前回考えなしで突っ込んだから死にかけの負けかけしたんだよ!!
……あー…アザトースとは全く違う悔しやが体の奥底から湧き上がってくる
よーーーし!!突撃〜〜!!
◯に晒せええええええ!!
心の中で叫び出しながら突撃をかます
相手は一瞬諦めた様に目を閉じ……
「ッッッッ!!」
思わずつんのめりそうになりながら思い切り空中に向かってジャンプする
危ない!謀略に嵌められるところだった!
そう……奴は攻撃を回避できないと見切った瞬間に闘争形態を変化させた
自身で苛烈に攻撃していく攻め攻めのタイプではなく
カウンター主体の防御に回るタイプに変えたのである
そう……俺が勝てると確信して相手の領域入り込んだ瞬間に殺そうとしたのだろう
何せ目を開いた瞬間静かな炎が此方を射殺さんとして腕が僅かに動いていた
コレは…力を蓄積して一撃で放とうとしていたのである
結果突っ込まなくて正解であったが……
ソレでもまた突っ込むのに抵抗が出て来てしまった
何せ今回の相手がMob系の敵であれば簡単に倒せてしまったかもしれない
けれど今回の相手は十把一絡げの敵ではなく…
この国最強の十二人の【クイーンズブレイド】であるのだ
そう……下手に突っ込んでいけば簡単に策略に嵌められて倒されてしまうであろう
……そう考える人が多いであろう
「洒落臭え!一気に決める……気張れ!ノワリン!コレが俺の最後の攻撃だ!」
そう叫んで『荒波』状態で更に力を爆発させながら踏み込むごとに身体を大幅に加速させていく
そして相手が一瞬で此方の趣向を理解したのか一気に力を腕から創造した剣に力をこめていく
お互い最大威力の技を正面からぶつけることに暗黙の了解で頷いていた
そして相手の一撃……その込められる威力は恐らく……グングニルの最高火力と同等と見える
しかしソレは一撃だけと言う制限下の元で成り立っている技であるので恐らく連発は不可能であると睨んでいる
相手は剣を天高く構えながら此方の準備が終わるのを待っている
律儀だなあ……そんな風に感じながらも此方も相手にぶつける為に
「『進化』しろ」
『技術』を次の段階に進める
え?何言ってんだお前?……そうか…説明し忘れてたな
この前『荒波』を手に入れた時に実は思考が頭の中でグルグル回って少し考え事をしながらステータスのウインドウを弄っていると
『技術』の説明欄の下にほんの僅かに細かく
【この能力は進化『可能・不可能』】って言う表記があったのだ
最初はすぐさま進化をさせようと思っていたが進化をさせる直前に
「あれ?俺この能力はあまり使ってないからどう言うのかしっかり把握してないけど進化させても平気かな?」
と考えてしまい進化は延期したのである
そうしていたが……今此処でコイツの力を…今!この瞬間に打ち砕く為には自身ですら想像がつかない力へと能力を昇華させる他無いと俺は考えている
そうして『技術』の下に書いてある進化するかどうかを尋ねるアイコンの『Yes』というボタンを押し込む
ゲームみたいなウインドウであるのに確かな感触が存在するのだ
異世界って不思議だな…と考えながらも
『阿修羅観音・悟』が『阿修羅観音・陽炎』に進化を遂げる
なんやかんやで『技術』を扱ってみた結果コレが一番扱いやすい能力であると言う結果が俺の中で出て来たのである
そうして進化した能力を発動するべく全身に漲っている力をより濃密かつ濃厚に集中させるべく密度を高めていく
そうすることで背後に阿修羅観音像が浮かんでくる
「「いざ…尋常に勝負!」」
日本の言葉は知らないはずではあるがお互いソレを口走って一直線に突っ込んでくる
相手は一瞬此方を探る様に視線を飛ばして来る…が
阿修羅観音像が動く気配は微塵も存在しない
ソレを『安全』と捉えたの中惜しげもなく魔力を剣に注ぎ込んで此方に向かって叫びながら振り下ろす
「鉄神豪滅斬!」
その一撃を表すなら『天災』と言う言葉がピッタリである
直線上にある存在をこの世界であれば比較的解除困難であるとされいる結界ごと直線上に切り裂くあたり本当に威力が高いのであろう
振り下ろされて来た時一瞬「あ、ヤベ…死んだかも」と考えてしまう程度にとんでもない威力ではあったが……
「一ついいことを教えてやる」
そう切り裂かれた地面の端を歩きながら言うと相手はまるで化け物でも見るかの様な目つきで此方を睨んでくる心の中では
「なんで睨んでんの?」と僅かに思っているが……
まぁ…俺がアイツの立場であれば同じ様な視線で相手を睨んでいるかもしれないから文句は言えねえな
「初手で全て判断して対応できたら……わけねーわ」
クイーンズブレイド試験
アクアマリン『ノワリン』vs地龍『 』
勝ち手『殴り飛ばす』
『………いや…勝ち方の表記n____!』
「ねえ?どうやって勝ったの?どうやってあの攻撃を防いだの?どうやって能力を進化させたの?どうや……」
う・る・せ・え☆
心の中で思いっきり何度も死にかけである俺の体に向けて延々と質問を繰り返す白の顔面を殴りつける(結局心の中で行っているから本体へはダメージはないけど)
そう考えながらなんとか体を起こし上げる
「あ、こら!まだ傷の治療も疲労回復も気力回復も魔素収集機関の治療も済んでないんだよ!」
……はてさて?コイツどんだけ有能なんだ?
道理で少し横になっているだけで凄く体が楽になるわけだ
もしかして体の疲労が一周回ってハイってやつになっちまったのかと……
まぁ……体が大分楽になって来たところで恒例?のネタバラシと参りましょう
割とネタバラシは好きである
「まぁ……お前らがわからないのはどうやって奴の剣の一撃を防いだのか……」
そう言うと怒り始めていた音山すら少し声の音量が下がっている
どうやらコイツも気になってはいるみたいだ
「まずさ…奴が攻撃を行う瞬間に……進化させた『阿修羅観音・陽炎』を発動させた……コレの真価は…」
そこで一旦区切り蝋燭を取り出して指を高速で擦る
そして蝋燭に火をつける
「コレがあの能力の本質だ」
そう言うと音山と白が首を傾げて鈴山が何かに気づいた様に顔を驚愕の色に染める
「まさか……陽炎?アレほど巨大な姿を幻影を見せるにはどれくらいの物体を……いや…お前が発動させていた発火耐久を著しく下げる技を発動して……けどソレだと能力を発動させた意味は……」
そこまで悩んで頭がショートしていた
「そうお前が今考えている仮説で殆どあっている…けど…『陽炎』の本質は阿修羅観音を出現させて体のみをその場に残して腕がある様に陽炎で幻を作り出す……そして腕のエンチャントを解除して不可視の腕に変化させる……あとはわかるだろう?」
そこまで言うと音山、次いで白が顔をハッとさせる
「…そうか前に巨大な囮が存在すればどれだけ警戒してようが人は多少なりとも其方に多大な警戒を齎してしまう…結果として不可視となっただけの巨大な腕を認識の外に行ってしまい…認識の外側から放たれた一撃を回避できない……」
そう…デカい囮があるが故に一瞬とは言え其方に視線が行ってしまうのである
「……まぁ……次の対戦相手に通用しないだろうなあ…」
そう…ごく自然にそう呟いてしまった
「そう?次の対戦相手もあのノワリンと同じくらいの実力じゃないの?」
そう言われて口を開く
「そうだな……肩書だけを見れば…更に…本人を見れば奴がこの国で最強ということがわかる…ソレはソフィアよりもな…俺はソフィアの魔剣とグングニルの地獄を見た時よりも奴の威圧を喰らった時の方が余程命の危険を感じたよ」
そう言うと音山と鈴山が衝撃に目を丸くする
白は同意する様にコクコク頷く
「……そんなに強いのか?」
そう告げられて一瞬逡巡するが俺の代わりに
「うん……恐らくこの国…いや世界有数の実力者…アザトースよりかは見劣りするけど条件が揃えばアザトースでさえ殺せる化け物だよ」
そう言うと音山と鈴山が驚きに顔を染めているが今度は俺が腰を抜かす羽目になった
「けど……地龍はそれ以上だよ……何せ私の攻撃はコイツには当たらない…絶対にね」
いや?そんなに過大評価されても………
「いや……そんなに過大評価されても滅茶苦茶困るんですけど…まあ………恐らく攻撃を回避し続けることだけに専
念したらあるいはって所だよ、それと、俺を焚き付けるために息を吐くように嘘を吐くな」
そう言いながらため息を吐いていると相手は「バレちゃった?」みたいに悪戯がばれた子供のように舌を出しながら笑っている
音山にもそんな風に接することが出来たらねえ
そんな風に考え事をしていると扉がリズミカルに尚且つ礼儀正しくノックされる
誰だ?そんな風に考えていると【ノア】が発言をしてくるので相手が判明した
最初は開くのを少し躊躇っていたが今は躊躇なく開け放つ
すると目に前にいる相手は面白いほどに仰け反りながら此方を恨みがましそうに睨んでくる
「おお………ヴィオに邪ソンに女王………雁首揃えてどうした?叱咤激励でもしてくれるのか?」
そう言いながら壁にもたれかかりながら話そうとすると音山が横から首根っこを掴んで
「怪我人は絶対安静………良い?」
あ、はい…………そんな風にしか返事が出来なかったが別に仕方ないであろう
何せ今まで感じどの様な『圧』と比べても体の芯から震え上がるほど怖い顔というか圧力であった
「音山は医者……回復役として物凄い優秀な反面………一度治療にきた患者を完治するまで決して逃がさないんだ………まあそれだけ聞くと別にいいのでは?と思うかもしれないけど……これで一番ヤバいのは例えその場所が戦場であったとしてもコイツは完治するまで決して帰らせないんだよ」
そうして鈴山は口を閉じる
確かに治療の腕はいいかもしれないが最低限の治療をしたら放してくれないか?と考える人は存在しそうである
けれども俺は別にいいのではないか?とも思っている
此処が緊急的な治療部屋であるのならば即治療・即復帰の二つが重要になるが
今現在はそこまで緊急性を求められていない
腰を据えてゆっくり治療されても平気なのではないか?
そんな風に考え、そして
「あ………結局お前らは何のために来たんだっけ?」
そう言いながら軽く小首を傾げていると
「次の対戦相手の情報と支援物資の搬入………全く…………ヴィオが会場が何処に存在するというのかが把握しきれてなかったから此処まで案内するのが大変でしたよ…………貴方はもう少し情報をこまめに発信するべきではなくて?」
そう言われて一瞬怯んでしまったがここで逃げても無駄と考えながら
「いや情報を発信したくても此奴らが何処にいるのかわからねえんだよ」
【悲報】ヴィオが極度の方向音痴であることが判明
『と言うか…女王も来るの遅くね?』
……一国の女王は普通そんな軽々しく会える存在じゃないんだよねえー




