空に届け
ソレがわかってもできる奴は少ないんだよ…
「ああ………そうか………そうか……今までのはこの一撃を確実に当てるための前座ってわけだったんだ?」
一瞬で体が硬直を起こして相手のほうに視線を飛ばすが砂埃の中に相手の気配を探ることができない
……はてさて?
「……前座も何も『また』吹っ切れただけだよ……」
全く……本当は能力を隠しながら戦おうと考えていたのに
けど……伸び伸びと戦っている方が俺らしい
「……また?……まぁ戦い方は人其々だからね!」
そう言いながら鉄をまた操作して行く
……俺に捉え切れるか?幾ら動体視力が良くても反応しきれなければ話にならない
一瞬の逡巡の後に『月面観測』を発動させる
そして第二の視点を得たことにより僅かに気付いたことがある
「お前……金属には操作範囲があるのか?」
そう奴の周りにある細かい金属は周囲三十メートルの範囲にしかなく大砲だけは大きく範囲を逃れているが物質化した存在を魔力で何処かに飛ばして其処から操作をしているということなら納得できる
「………ああ、鉄のカケラは三十メートル以内…そして大砲は何処からでも出せて攻撃可能だ…」
そういうことはペラペラ話すんだな…
「たくっ………そういう情報はモロバレして良いのか?あ、お前らは大抵情報は割れてるか」
そう言いながら相手に向かって石を投げつける
「舐めてる?」
そう脅しの声をかけられる…が
「別にぃ?」
そう言いながら投げつけた石の感じを確認する
石はボロボロにならずにまるで切り裂かれる様に崩れる
「……………」
やはりあの中に入り込むのは危険であると判断
「いや、さ……まずさ、何も考えないでお前の所に突っ込んだら切れ味の鋭い嵐の中で死ぬんだよ」
そう言いながら攻略法を考えながら一瞬下に視線を飛ばしながらすぐに頭上に視線を戻す
何をやっても無駄であるなら……無駄を楽しもうじゃないか?
「……君…何を考えている?」
俺の不可思議の間から何かを感じ取ったのか一瞬体を半歩後ろに引く
けど、もう遅い!
そして大地に拳を叩きつける!!
「お前は確かに油断も隙もない布陣だけどな!お前の両足が地面についてるってことが一番の弱点になるんだよ!」
そ言いながら大地を砕いて粉々になった細かい岩を足場にして一気に相手に迫る
「………この程度で僕を止められるとでも?」
そう言いながら一気に鉄の破片を高速回転させながら周囲の岩を切り刻み
自身の周りに集結させて再び服を再構築している
「そういや、一つ謝罪するわ……別に嵐中だろうと俺の防御力なら普通に突破出来た!」
そう言いながら相手の後ろにいきなり地龍が現れる
「は!?何で其処に!!」
そう言い終わる前に今度は前から衝撃が迸る
「え?え?え?」
ノワリンは完全に混乱している………こいつ俺の戦い見てねえな?
そう察しながら相手のほうに突っこんでいくと相手は何処から攻撃が来るのかわからないのならば
とでも言うかのように全身をハリネズミの様に全身から針を生成する
「は?舐めてるのか?」
【エンチャント:フレイムロード】を発動全身を発火状態に移行してから針の様に細くしなやかなソレに拳を無遠慮に叩きつける
「クソッ!!」
そう悪態を吐きながら相手は一瞬の逡巡の後に一気に攻勢にでると言う行動に出たが……
俺からしてみれば欠伸が出るほど相手の行動が遅い
どうやら遠距離特化で近距離はとんと苦手な様であるらしい
道理で邪ソンがボコボコにしろって言うわけだコイツは……近距離でボコボコにするに限る
けど……相手が強いか弱いかで言うと確かに強いが
「……(精神と技術がついてきていない…俺も我流だが僅かに武術の心得はある)」
そうコイツは自分の武器の性能を知らないで無知のまま振り翳している初心者マーク付きの敵である
ならば全力で此方の動きを吸収して強くなろうとする前に潰すまで!
そう考えて一気に決めるために行動を開始して行く
「ど、どう言うこどた!何で見えるのに見えないんだ!」
そう喚き立てながら癇癪を起こした子供の様に全方位に無差別砲撃を開始して行く
一瞬冷や汗が背中を伝ったがソレでも対応し切れる速度ではある
何せアザトースの攻撃の速度はコレの比ではなかった
そう考えると相手の動きがいきなり稚拙な幼児の動きに見える
「……(全くコレじゃ本当に癇癪を起こした子供を痛ぶっているだけじゃない?)」
一瞬罪悪感が脳裏をよぎるがソレが原因で相手を舐めてかかれれば前回の二の舞である
今回はいやらしい程までに陰湿で尚且つ確実に勝利をもぎ取らないといけないのだから
そうして相手の行動をよく観察していると今だに囮の方に引っかかっていた
「………(罠か?)」
と一瞬考えもしたが……茹で蛸の如き顔の赤さを見れば嘘でないことはわかる
多分今まで自分に勝てる存在なんていない!って思っているタイプの人種だろうね〜
俺も昔ゲームのPSが少し上がった時に
「うえええええい!俺に勝てる奴はもういねえええ!」
って完全に調子に乗ってボッコボッコにされた経験があるから一概に馬鹿だなーとは言えないんだよね
と言うか言ったら自分にブーメラン
さてさーて、と……コレからどう調理しようか?
そう考えながら相手に悟られない様に幻を瓦礫の影に入らせてから息継ぎをして再び思考を回す
「………(まずこの戦いでの勝利条件は前回みたいに無様な姿を晒しながら勝ちたくはないってこと…別に勝利への執着がないわけではない…けれど前回のアレはあまりにも惨めになった…戦いに敗北しながら勝負には勝ってしまった……
心と体が笑ってしまうほどに痛哭をあげていた……
ゲームで勝負していた時も死ぬほど悔しかった出来事というのは沢山ある…ソレこそ一日では語りきれなほどである…が今はそんなことを話している暇は1秒たりとて存在しない)」
そう考えながら極力音を立てない様に移動する
相手は幻相手に全力で砲撃しているが
……はてさて?アレは砲撃と言って良いのやら?
最初奴の砲撃は文字を編み込んだ球を大砲の中に放り込んで放っているのだと思っていたら
奴らは不思議な呪文が書かれている釘を中に入れて内部…もしくは放出中に砲弾の形に変えているのだ
ソレならば途中までこの存在に気づいてなかったのも頷けるかもしれない
けれど違うかも知れない
この事実から推察されるにあの砲弾は空中から呪言はギリギリまで察知できないほどの微細な魔力しか込められていない
もしかすると逆に魔力を持ちすぎて発見できない可能性も一応あるにはある
人生は複数の可能性から正しいモノを取り上げて観察しる
そして最後にどれだけのモノを得られたのかを考える
そんなモノであると俺は考えている
が、悩むのも子供の特権
奴の様に力がありあまっており自分では制御をしきれないほどの力を持つものは暴れ回るしかないだろうが
周りの大人に抑圧された反動ならば子供の様に暴れ回るしかできないのも納得である
「………(けど……コイツはヤバいな…)」
そう考えながら此方に向けてきた砲口の射線から逃れながら相手に攻撃を重ねて行く
コイツのヤバいところは俺の攻撃を幾ら喰らっても倒れないところではないし
気が狂いそうなまでに量が多い金属片を寸分の狂いなく操作しているところでもなく
一番の問題が催眠にかかっているはずなのに此方のいる場所に時々半ば確信的に砲口を向けてくることだ
まるで……
「お前の目論見は知っているぞ?」
と暗に告げられるような薄気味悪さを心の奥にしまいこみながら相手の方に位置を悟られぬ様に攻撃を重ねて行く
そうでもしないと相手が次の瞬間に砲口を向けてきても何ら不思議ではないのである
そして相手はいつのまにか持っていたのか小さな石を手のひらで遊ばせながら一気に周囲に振り撒く
一瞬反応が遅れそうになったが空中に逃げることで難を逃れようとしてが次の瞬間に石を撒き散らした少し上の部分をなぞる様に大砲の砲口が向けられており……
「しねえええええ!!」
一気に砲撃を開始する
クソ!幻ってのはとっくに見破られていることはわかっていた!けれど……いつ気が付かれた?
いや……そもそもいつから謀られていた?
何かを考えている素振りなんて一切なかったぞ?
そう考えながら嵐の様に降り注ぐ砲撃を避けながら一気に相手との距離を詰めて行く
「いつからわかってた?って……直感で最初からわかっていたよ」
そう……その声が耳に届いた瞬間に相手は此方の目の前に瞬間移動とも言える超高速移動で肉迫してきて
鳩尾に鋭い一撃を放つ
「カハっ!」
乾いた声が響きながら競技場の壁に吹き飛ばされて瓦礫に埋もれてしまう
直感でわかったって半ば反則じゃね?
一瞬そうも考えたがソレは馬鹿すぎるなと考えながら体を起こしながら相手の方を見据える
今の衝撃で息を吸ってしまった結果幻は簡単に霧散している
最初から陽動程度までにしか考えていなかったので消えたこと自体には何も感じないが……
「最初からわかっていたならどうしてすぐに此方を攻撃してこなかった?」
そう…正に俺の心中を全て代弁するかの様に言ってくれるのはありがたいがソレをいうのが今正にその状況を作り出している輩からと思うとどうしても微妙な表情にならざるを得ない
そして相手を見据えながら僅かに足を肩幅程度に広げる
いつでも相手を殴れる様に準備しておくのである
しかしながら…相手はいきなり
「まぁ〜待ってくれない?」
そう言って最初とは全く違う言葉遣いでいきなり手を此方に差し向けてきた
今までと全く違う性格を見せられてしまい一瞬動揺していると
「ん?ああ、驚かすつもりはなかったんだよ!何せ僕って戦っていると気分が高揚して多少性格が変わっちゃうタイプの人種でね周りからは色々言われたけど特に気にしてないからねー」
そう言いながら手に持っている石を手のひらで遊ばせている
もしかしたら此方の僅かな隙を狙って投石してくるのか?
と考えながらツチノコの現在地を探していると気持ちよさそうな顔で部屋の端っこでグースカいびきをかきながら眠っている相手に少しイラッとしながら
「んで………少し待ったぞ早く答え合わせと行こうじゃねーか?」
そう言いながらすぐ様奴を出し抜く作戦を頭の中で組み立てるが
奴の思考形態や直感がどこまで有効なのかを中身入れなければ俺が考える作戦はどれもコレも空想物語になってしまう
わからないなら本人に聞けば良いのだが本来はそんなことを聞いても本人は一切答えてくれないが
今回は本人が答えてくれるということなので一切の遠慮をしないでぶつけて行く
「そうだね……最初に違和感を覚えたのは目の前に君がいるのに後ろから衝撃が飛んできた時だね」
そう…いきなり語り出すので一瞬硬直しながら話に耳を傾ける
少なくとも自分から話している間は決して襲ってこないであろう
あくまでも予測で絶対の保証はなく綱渡りであるのが現状だが
しっかりとした王道を通っていたのであれば奴らは攻略できないと感じ取り
危険な道をミスなしで渡り切ることを最近は主体とし始めているが
……こりゃあ…中々
「厳しいね…」
そうボソリと呟くと相手は一瞬どうした?みたいな顔をしてくるので俺は
「別に…何でもないから続きを話せ」
と敢えてぶっきらぼうに言いながら相手を見据える
此処で一歩でも手をミスれば俺の試験は此処までになってしまうであろう
大胆さと繊細さを同時に両立させるのは案外難しいことではあるがソレでもやってやれないことはない
だから今此処でやり抜いてみせる!
そう考えながら相手を見ていると相手は
「ソレでね次に違和感を感じたのは時々岩陰とかに入り込むところかね?なんせ毎回ほぼ決まったタイミングで視界を遮れる遮蔽物の裏側に回り込んで次の瞬間に飛び出してくる……けど、僅かに謎の間があるのが気になって色々検証してみたんだけど……姿を消した瞬間に毎回僅か…ネズミの毛一本程しかない微かな気配を察知することができた…そして考えた…どうしてネズミの毛一本程度しか気配を感じ取れないのであろうか?」
そう俺が何かを考え込んで何も話を聞いていなかった時ですらずっと説明していたのである
一瞬不憫に思い告げてやろうと考えたがソレは流石に相手の心をボロボロにしちゃうだろうなあと考えながら相手の話に適当に相槌を打つ
「そして思い至った!君は気配を消しているのでなく私の気配感知能力をダウンさせたのであると!だからこそ私は貴様の謀略程度で簡単に騙されしまった……けど種がわかって仕舞えば『音』と『気配』と『最初の立ち位置』をしっかりと覚えて逃さなければ良いだけの話でしょ?」
「え?なんで?簡単でしょ?」
リトルハイセンス…コイツのあだ名コレで良いかな?
他のゲーム奴だからダメだけど




