空に届け
「はああああああああ………」
溜息を…周囲への迷惑を考えないで…吐き出す
周囲では何だ?何だ?と言う野次馬が一瞬此方を見るが街の中の雑踏の中で一瞬で漂白してしまう
が、今の俺とっては完全にどうでもいい話である
「お前さ……悔しいのはわかるがもう少し声押さえろ」
と言われるがソレすら右から左へと流れていってしまう
「あのねえ、理性ではわかっているけど感情が許さないのよ」
そう言ってチーンという効果音が響きそうな顔をしながら街道を歩く
見る人が見れば少し浮遊してるように見えたかもしれない
「……まぁ、舐めプした挙句に途中から全力出しても敵わなくて…尚且つ判定勝ちとかマジで悔しくはなるよな」
と一応戦闘民族の一員である鈴山は理解を示してくれた
「………まぁ、そろそろ立ち直れとは思うけどな…何せ後少しでクイーンズブレイドの対戦の時間なんだぞ?誰と当たるかはわからないが恐らく全員が相当の猛者であることは確定だろ」
そう言われるが……何だろうアイツらが強いってイメージが全然湧かないんだけど
そう、かなり残念なイメージが俺の中では構築されつつあるがソレを敢えて口に出す必要はないだろう
と考えながら空を見上げる
「ねえ、この世界って朝でも星が見えるの?」
全員から「テメェとうとう頭のネジが外れ……いや、元々だな」という滅茶苦茶ムカつく視線を飛ばされたので一撃お見舞いしといた
「あれだよアレ」
そう言いながら今も燦々と輝く光点を指し示す
「んだアレ?」
と全員が首を捻るので
「……後でこの世界の住人に聞くか〜」
と言いながら少し頭をぼーっとさせながら歩いて行く
今度は迷わないで到着しますように、と祈りながら
「……結局一時間近く迷った……」
そう愚痴を溢しながら大きな門を独力で開かされた
いや、お前らも協力しろよ?
そう言いたくなったが全員から頼んだと言う気配がビンビンに感じられたので泣く泣く一人で空ける羽目になりました
そうして再び中に入ると
前には感じなかった威圧感がこの身を包む
俺以外は特に何も……いや…感じているけども彼らは歴戦をくぐり抜けてきた猛者である
というか…………実力だけで言えば俺が此奴等のリーダーみたいなことしてるのは滅茶苦茶おかしいのでは?
一瞬誰かにこの立場を譲ろうかと考えたがすぐにその考えは漂白される
何せ俺の妹は俺が頼んでいるからやっているのであって俺以外から頼まれたら完全に命令ガン無視するタイプであろうということは想像しやすい
けどなあ………と考えていると
「別にお前の下にいようがいまいが俺たちの強さは変わらないから自信持てよ、リーダー!」
そう言って背中を叩かれるが
デフォで心読むのやめてくれない?と心の中で思っといた
そして長い長い廊下を渡り切って女王の間の扉を開くと
一瞬熱風とも見紛う圧力を感じた
これがクイーンズブレイド!俺が挑む相手か…………………
うん、帰っていい?
そう思って足を後ろに下げようとしたら白に思いっきり蹴飛ばされ偶然か必然か空席に飛び込む
「…………………幾ら何でもやり方酷くない?」
お陰で気合は入ったけれども
「……………こうでもしないと逃げそうな気配がしたから」
うん、いじめかな?
そういうフレーズが喉の寸前までせりあがってきたが大人な俺は我慢して見せた
まあ………間違いではないから何も言い返せないというのが事実ではあるけども
「それで………試験の程はどうであった?」
いきなり声がして驚く間もなく振り返ると
そこには俺と白と一緒にいた時とはまるで気配が違う女王の姿があった
こ、これが一国を背負う人物の気配…………
俺はもしかしたら女王や国王という存在を軽んじていたのかもしれない
何せ俺の知識の大半はゲーム・漫画・ラノベなどや授業で聞いた話ばかりで実際にこの目で「王」というのを見たことがなく
どことなく保身や悪事に染まっている利己的な王が多いのだと感じていた、が
その認識は今日限りであると認識していた
何せ今まで遭遇してきた敵・味方を含めても此処まで圧倒的な気配を醸し出していた人物はただの一人も居なかった
あまりの気配のデカさに汗が頬をつたり地面に落下するのを何処か人ごとの様に感じていた
「ええ、今回のギルド戦は本当に学ぶことが多かったですね」
人間は余りにも強大すぎる存在を目の前にすると逆に冷静になるということを今日初めて知った
全員から何故か驚愕の視線を投げつけられた
はて?俺は何かおかしなことをいったであろうか?
そう思っていると女王は一瞬で強大な気配を霧散させながら豪快に笑い出す
「まさか真正面から答えられる輩がまだいたとはな!!」
一瞬何言ってんだコイツ?と思ってしまうがすぐに先刻までの強大な気配を思い出して納得する
あれは……………確かに初見であれば大抵は尻込みしてしまうであろうな、と
「もしかして全員にやってるんですか?可哀想に………」
そういいながら一切恐怖心を見せないで紅茶を運んできた猛者のメイドに微かな戦慄を覚えながら軽く会釈をする
そして運ばれてきたフルーティーな香りを漂わせる紅茶の匂いを静かに嗅ぎながらゆっくりと口に含む
「………………なんだよ?俺の顔に何かついてるのか?」
そう言いながら紅茶を含んでいると後ろから来た白が
「礼儀正しくて意外なんじゃないの?」
確かに……普段の俺の素行を見ていれば礼儀なんてなさそうに見えるからなあ
と少し他人事のように考えながら
「さあ、そろそろ本題に入ったらどうですか?そんなにジロジロ見られてると折角の紅茶も不味く感じちゃいますよ」
と言いながら溜息を吐く
すると
「すまんな…少々出鼻を挫かれる形になってしまったが今回の本題はお前のクイーンズブレイド戦であったな…………確かにお前が全十戦を勝ち抜いてきたという証拠はここにある………よって貴君に最終試験に挑むことを許可しよう!」
最終試験って………そんなに大袈裟に言わなくてもよくね?と思ったがこの国では一大事なんだろうと思い直した
まあ………俺たちの世界で言うところの大統領選挙的な感じかね?
そんな風に考えているといきなり目の前に二人の黒い装束に身を包んだ人物が出てきた
「え?ちょ、待っt………………」
セリフが言い終わる前に何処かへと拉致られてしまう
「なあ、俺たちはどうしたらいいんだ?」
そうこの国の女王に質問すると相手は一瞬考え込むような仕草をしてから
「これから起こることを見学していくと良い」
そう言って近くの煙草を持ち吸おうとすると
「やめてくれない?」
と白こと俺の実の姉が煙草を切り刻んてで多少強引にやめさせていた
これがもし親族や友人以外がやったのであれば簡単に見捨てていたのだろうが今回は実の姉がやってしまったので
「ごめんなさい!!」
と姉の頭を掴みながら全力で土下座する勢いで頭を下げる
「……………………………………………………」
姉はどことなく不機嫌になっているが後で音山に慰めてもらえ
と心の中で言っておいた、が
本人からしてみれば何も聞こえないので一切期限は治らない
「よいよい、此処には成人しかおらぬと思っておったが……………よくよく観察してみればまだまだ幼子ではないか?すまんのお、幼子の前で煙草を吸えば嫌がられるのは明白…………配慮が足らんかった」
……………なんだろう、見た目が若いだけに使う言葉が年寄りみたいな言葉で謝罪されると少々反応に困るんだけども?
そんな風に考えていると
「………ねえ、今回のアイツの対戦相手は誰なの?」
と意外にも白が大真面目な質問をするので軽く瞠目しながら
「確かに……俺もそれは気になってた」
確かに名前だけでは誰が出場するのかはわかりやしないが………ここにはクイーンズブレイドとやらが全員集合しているのだ視線や反応で誰が出るのかは大体想像できる
「そうだな………まあお主らなら言っても問題なかろう」
そう言いながら後方にいる一人に一瞬視線を向けてから
「ガーネットとアクアマリンの二人だ」
…………誰?
「ということがありまして」
「いや話の前後関係がわからんわ」
いきなり「ということがありまして」と言われても何を話されたか全くわからないので抗議しておいた
「相手はガーネットとアクアマリンらしいよ」
それを最初に言えよと言いたくなるのを必死に堪えながら黒装束に渡された服を見やる
それはまるで王侯貴族が着るような服ではなく寧ろ平民たちが着るような外套とシャツそしてジーパンである
動きやすくて文句はないがこんなので戦ったら確実に服はボロボロになるであろうな……………と考えながら外套の裾を少しつまんで伸ばしたりしていると
「で、肝心の対策とかって考えてるのか?」
といきなりな質問が飛んでくるが一瞬考え込んで言う
「クイーンズブレイドの情報は何も持ってないから………まあその場その場で対応していくしかないでしょ?」
と自身でもできるかどうか疑問が残る手段に出ようとしていた
「ええ……………そんな大雑把な計画で行こうとしていたのか?」
とドアの向こう側から聞きなれた尚且つ最近何処に行っていたのかまるっきり不明な邪ソンがその場にはいた
「ああ、何せ誰かさんがいきなり行方をくらませるもんだから全員の能力把握とかができなくなっちまったんだよ」
と憎まれ口を叩きながら少し頬を緩める
「まあ、それに関しては悪いと思っている何せ急な依頼が来ちまったからお前に断る暇なく行かなくちゃいけなくてな…………お陰で帰ってこれたのが今日の昼過ぎだよ…………まあ今間に合ってるからそこらへんは許してくれ?」
と少しいたずらっぽく言うので完全に毒気を抜かれながらこう言う
「じゃあさっさと今回のクインとノワリンの情報をばらしな」
と言うと邪ソンが非常に微妙な顔をする
「どうした?」
と不思議に思いながら質問すると当の本人は一瞬で何かを思い直したのか首を大きく横に振りながら此方を真っ直ぐ見据えてきてこう告げるのであった
「お前…………悉く運がないな……………」
…………?
「え?どう言う…」
そう言おうとしたら再び黒装束の人達に連れられて拉致られる
あれ?俺結局能力聞けてなくね?
「さあさあ、クイーンズブレイドvsチャレンジャーが始まりますよ!!」
そう司会が声を張り上げながら身を乗り出している
どうやらこの行事は此処の国の人達にとっては相当重要な話題らしく全員が狂喜乱舞している
……あの俺そんなに強くないんで皆さんプレッシャーをかけないでくれますか?
そう心の中で言い訳をしながら目の前をただじっと見据える
今日は拉致られてばっかりだけど試合はしっかりしないと
まずは相手の能力を把握しないと
前回みたいに能力を把握しないでノリで動いていたらまた予想外の強さに苦戦して判定勝ちとかクソみたいな勝ち方で終わって悔しがる未来しか見えない
しかも今回は相手の能力全てが隠匿されているから想像しかできないが……
「結局その場で能力を解明していくしかないのか?」
そう考えながら屈伸をしていく……が十分経過しようが二十分経過しようが相手がくる気配は一ミリもない
もしかしてバックれた?
そう考えながら流石にありないだろう、と苦笑する
「おい!何で試合相手が来ないんだ?」
と純粋な興味で聞いてみると
「あ、今から来るそうです!」
………何だろう…この微妙な違和感は…
しかしソレが頭の中でしっかりとした説明となってくれない
……何と言うか喉の奥に突っかかった小魚の骨?
ん〜言葉にできないしいっか!そう考えながら目の前を見据えていると
「やあやあ!遅くなってすまないねえ!」
そうシルクハットをクルクル回しながらクソガキがやってくる
本当はクソガキではないのかもしれないが一回クソガキという名称が固定されちまったからソレ以外変えられないのである
「いや、何で遅れたし?」
そう言いながらツチノコを構える……今回こそは真っ直ぐ飛んでくれ?
そう考えながら少し不安になりながらツチノコを見据えるが当の本人は呑気にキューキュー!!と鳴いている
……信頼はしているが実績が今の所皆無だからなあ…
そう思いながら相手を見据えていると相手はツチノコを構えている俺のことを不思議なモノを見るように小首を傾げている
まぁ……その気持ちはわからなくもない…
俺だって側から見れば謎光景だからな
何せ俺だって何も知らないでツチノコ(蛇)を抱えている人物を見つけたら
「は?何やってんの?コイツ?」
って思ってしまうであろう
まぁ……俺にとってはこれが大真面目なんだよね〜




