クイーンズブレイド?クイーン・ザ・ガーデンじゃないの?
さて、今回も元気に粗筋と行きましょうか
先刻、奴隷闘技場(多分)に連れていかれそうになってる最中に、『傀儡』の主人公の九露?みたいな人物が、化け物みたく強そうな人物が、虐めてるのを見て思わず出てきてしまったが……
俺の勘が言っている、コイツはマジの化け物だ……おそらく原作の中でも屈指の……
ただ、こんな見た目の闘士は見たことねーぞ?
そこまで考えて一度相手の全身を不躾だなと感じながら見つめる
髪は赤く染められ、地毛かも知れんが、短く切り揃えられ、目は仮面がつけられて全貌がわからないが恐らく此方を値踏みする様に眺めてる、しかし、強者の余裕というか、此方を舐め腐ってる様に口の端を釣り上げている、普通にしていればボーイッシュな美人って所か、しかも、服装が異世界クオリティっていうか……
だって、パッと見、スク水だぞ?
スク水の上の2本の線の部分を全部埋めてボルトネックにした様な服装で体に密着しており、体のラインが艶めかしく浮かび上がってるのだ、そして、両腕、両足に包帯をグルグル巻きにしており……こんな状況で無ければ見惚れていた…かも?
さてと、馬鹿な考えは改めて…
「ねえ、この駄犬も殺して良いんだよね?」
そう物騒なことを言い出すので思考を打ち切る…コイツ、完全に俺のこと
〈構いません!!乱入者を倒すことでポイントを上げることが出来ます〉
完全に獲物扱いやん!?
クソ……相手は…見たことねー奴だし、能力不明、実力不明、性格不明、不明のトントン拍子じゃなねーかよ
〈告げます、相手の実力を考慮すると、後ろの少年を連れて逃げることを勧めます。〉
は?奴隷神紋がある限り逃げられるもんも逃げられねーだろ、つまり、コイツを此処で蹴散らすことで市民権を入手できないんだよ…俺はな
獣の体になってから一度も意識したことのない、全身に力を込める行為……思いの外コメやすいな…
四肢を限界まで緊張させて、相手を恨みがましく睨みつける……
こっちに来てから思考が攻撃的になったけど……気のせいか?
まあ、良いか、変なことを考え________
「はい、お終い。」
「ゴポッ_________!?」
意識の埒外からの攻撃……と言うより予備動作抜きで…この速度!?
俺は一切目を離していなかった…勿論、戦闘慣れしていない餓鬼ということも影響しているのだろう…しかし、気づいた時には相手の姿が振り切れ、此方の水月(恐らく)を貫いてきたのだ
まずい、回復魔法なんて…
〈条件達成…ユニークスキル【命の源泉】を発動…成功〉
突如として、こんな声が頭の中に鳴り響く、困惑しながらも、体に力が流れ出すのを感じて水月の辺りに視線をやると
「ボコボコッ!メキメキメキメキ!」
と変な音を出しながら体が再生していく
えっと…どういうスキルで?
〈解、ユニークスキル【命の源泉】は主が死の間際に『次は、以下略、死にたくない』と言う願望から生まれた回復能力です、この能力は魂に無限のエネルギーの生産を命じ、体全身に流れさせる能力です、体が破損もしくは欠損した場合、即座に生成することにより怪我をないものと致します、ちなみに、エネルギーは無限に湧き出る為に心配は不要です〉
……………………なんだろう…死ぬほど不安になってきた、どうしてだろう?人間不信って訳じゃあないけど、心配は不要って言われると裏があるのでは?と疑ってしまうのが人間ではないか?
と言うか……今思い出した、この場所、傀儡に出てこないよな?
奴隷商は存在するが…奴隷闘技場については一切言及されてはいない……どうしてだ?
と言うか、コイツの異常な強さは……一体
「流石、元クイーンズブレイドの一員、追放されて尚衰えない強さ!!」
と実況(?)が叫ぶと、ナレーションに合わせる様に拳を振り上げる女性
(クイーンズブレイド!?何がどうなってんだ!?クイーンズブレイドなんて聞いたこともないし、言及も勿論ない、それに……こんな奴出てきた覚えもないぞ!?)
混乱の絶頂とはこう言うことを言うのか、と嫌なタイミングで自覚したが、更に追い討ちをかける出来事が
「流石、元クイーンズブレイド最強の絶壊の紅蓮騎士!!」
絶壊の紅蓮騎士!?ってクイーン・ザ・ガーデン最強の拳闘士じゃねーか、バフや自身に有利な領域を扱い、相手を一方的にボコボコにすることで有名な……嘘だろ、コイツがその?
傀儡だと、ずっと鎧を着ていてビジュアルには触れられてなかったからな、男性か女性かもかなり議論されていたはずだが……ただ単に男気が強い女性だったのか……気になっていたことに答えが出て嬉しい様な……悔しい様な…
でも、コレでハッキリとした、
コイツに正攻法では勝てねえ!!
理由、そんなの一つしかねえだろ?
まずはレベル差だ、俺とコイツには絶望的と取れるまでの隔絶した差が存在している、それに此方は荷物を一人抱える上に、相手は万全、再生能力では此方が上回っているが、それもいつまで続くかわからねえ、それに此方は戦闘に関してはトーシロだ、勝ち筋が見えたり、未来が見えたり、急にプレイヤースキルで無双できたりなんかはしない、それに、最初の二つに関しては付け焼き刃だから、目の前の猛者には通用しないだろう……となると、逃げるのが最善に思えてきたぞ?
でもなあ、
此処で逃げたくねえな、みっともなく、恥を晒しながらでも踏ん張りてえなあ、
「ふふ…」
と自嘲気味に笑い声を漏らしてから、思考をフル回転する
勝ち筋を得る為に
そして、もう一つ
この世界はきっと傀儡世界には違いないのだ、完全に直感ではあるが……
此処で逃げて弱いままだと、コレから先来るであろう『最悪な終末』には抗えない……
こんな俺でもアイツを九露を助けられると思いたい……多分だけど今の百万倍強くないと無理だとは思うが……それでもやるんだ
なんなんだコイツは?
絶壊の紅蓮騎士と嫌味なネーミングで覚えられて、クイーンズブレイド時代の嫌な記憶がぶり返し、相手の餓鬼を蹴り飛ばしていたら、何処からか、地龍が襲来した、しかし、地龍は雑魚種族、それはこの世界の常識である、元々魔力耐性が高い点を除けば、硬さも微妙、魔法も微妙と言う、正に外れ種族と言えるだろう、けれども……なんだ、この微妙な違和感は?
相手の半端のない威圧感は?
此方のことを完全に格上と判断しているのか、此方を油断無く睨みつけてる上に、何かを思案している最中にも思える、しかも、先刻から汗が止まらない……久方振りだな…
私が戦いで興奮するのは
しかし、当人からしてみれば傍迷惑な話でもある、何故こんな雑魚と呼ばれる地龍と対峙せねばならぬのか?
これは、見せ物としての戦いは完全に終わりを告げた瞬間であった
じっと、相手の出方を伺っていると、相手の気配がいきなり増大した、
いきなり、背中に冷や水を入れられた様な感覚と言えばわかるだろうか?
何かが起こる、そんな確信めいた予感に従い、下に転がってる誰かを口で咥えながら、その場からの緊急離脱を敢行する
結果から言うと其れは正解であった、何故か?
それは、もし其れを敢行していなければ、たった今相手が瞬間移動でもしたのか?と言う超速の跳び膝蹴りを顔面でお出迎えしていただろうから、なんせ、此方は雑魚種族なんでね、そんな丁寧な対応ができなくてサーセンねえ!!
怖……
だって、此方がどう出るか観察してたらいきなり跳び膝蹴りしてくるとか……戦闘狂が過ぎないか?
こちとら転生者なんだよ!?戦い慣れてねーわ
と悲しくなる様なことを考えていると
跳び膝蹴りの勢いが段違いすぎて、リングの壁と正面衝突を起こした相手が徐に起き上がり、猛禽類の様に完全に此方をロックオンした感じで……あ、やべ
咥えたり、飛ばしたりと忙しないし、気持ち悪くなる……と思うかもしれないが、コイツに殴られるよりマシだから勘弁してくれ
なんでこんな言い訳をしているのかって?
相手が想像以上の化け物だからだよ!!
だって、殴った後に音が来るって……◯ンター協会 会長か!?
なんだ、一日中感謝のウンタラカンタラをしたのか!?
しかも驚きなのが……ほぼ勘なのだが
スキル関連を使ってないと思われるのだ
コレに関してはマジでヤバめというか、相手の間合いを図り損ねたらと考えると少し汗が止まらないな……地龍に発汗作用があるのか知らんが
しかし、嫌な予感というのは的中するもので相手は完全に弱者を嬲る目と言うよりは完全に此方を『敵』という感じで捉えており…
嬉しい様な悲しい様な、まぁ、完全に迷惑、出来れば此方を舐めプしてくれれば、まだ勝機も見えたんだけどね?
さて、どう勝つか…から、どう逃げるか、に変更するほかないだろう、まずは観察タイムに入るのが無難だろうか?
相手はシンプルな拳闘士ということは、まず間違ってもないだろう
何故か?
其れは、コイツが『傀儡』でも指折りの実力者であるからだ、自身の拳に絶対の誇りを持ってることは同じであるだろうが、能力までも一緒…かは測りかねる、なんせ、この世界と『傀儡』は此方の知識と微妙に違うのだ
なので前世の知識が多少は通じるが、要所要所で違うと睨んでも問題はないだろう…
と言うか、変わりすぎでは?
異分子が飛び込んで来たにしても変わり方が異様である、なんせ、元々の知識であれば、コイツは、間違ってもこんな所にいる人物ではない
結論から言うと
絶壊の紅蓮騎士は質実剛健、仲間のピンチには颯爽と駆けつけて、どんな時でも頼りになる…そんな人物である、しかも、騎士団の中でも古株であり、皆のご意見板として周りを引っ張るという、良い所しかないのか?
と嫌味の一つでも言いたくなる様な人物である、しかしながら、今、目の前にいる人物は間違っても、そんな人物であるとは思えない、何故か?
そんなのは簡単だ、もし
本当に絶壊の紅蓮騎士であるのならば、
誰かを意味も無く傷つけるなど
絶対にあり得ない!!
そして、鬼気迫る表情で相手を睨みつけていると、少し頭が冷静になってくる
そして、自分の能力を把握しなければ…
という最も重要なことに行き着いたのである
一番最初に気づけよ
と何処からか呆れとも取れる声が自嘲気味に聞こえたが……
気のせいだ、色々と気のせいだ、自分の心の声が自分を馬鹿にする様な言葉を吐くなんて嘘だ、嘘だ、嘘であってくれえええええ
とまあ、馬鹿な言い訳は置いといて、置いとかないと此方の心が崩壊を迎えてしまう
なので、一旦スキル確認の作業へと移る
主に重要…と言うか持っているスキルは
三個しかなかった、しかも、この状況を打破するには少し火力が足りないという事実が此方の頭を悩ませるのだ、内容は
【命の源泉】
先刻、説明された通りに、コレに関しては回復、更に説明を加えるとすると、『復元』能力である、
例えば腕が欠損したと仮定する、すると、魂が腕の設計図を引っ張り出して一瞬で魂から溢れ出したエネルギーで腕の素材を作り出して、更に腕を元の状態に復元するという、回復魔法とは少し言い難い能力であった
何故、回復魔法と言い難いというのか、その理由は、この世界の回復魔法の限界に言及する必要がある
此処でも例え話になってしまうが、許してほしい
例えば、この世界で一番優秀な…まぁ、勿論『傀儡』の中で、となってしまうが…
回復魔導士がいたとしよう、その目の前には片腕を欠損した人物がいる、
その魔導士がする対応はこうだ
まず、相手の体に魔法を適応させて、体の構造、怪我の具合を調べる、そして、傷の部分に回復魔法を適応させて、傷を、膜を張る様に塞ぎ、スペアとなる腕の代わりを出現させるか、腕が転がってるなら、此方にも膜を張り、膜をゆっくりとくっつけながら繋げるのだ
つまりだ
この世界の回復魔法は、癒しの波動を出せば回復…とは行かない上に成功率がクソ低い
オマケにメンドイ、あー、コレから仲間が怪我したり、死にかけたりしたらどうしよう?
と余計なことを考えていると
『ユーニクスキル『暴論者』を入手、更に試行領域と思考領域を満たした結果、レジェンドへの干渉権を入手…成功、伝説能力『暴食者』
を入手しました』
???
疑問符が頭の中を縦横無尽に駆け回ってる
何故かは知らんが、どうやら、延々とつまらん思考と試行を繰り返してる内にとんでもスキルを手に入れてしまったらしい
その恐るべき能力内容とは
エネルギーの搾取
コレだけ聞くと、何処にでもある、捕食系スキルでは?
と思う方々も存在するだろう、しかしながら、コレはそんなに甘いスキルではないのだ
コレは、結果そのものを喰らうのだ
言ってる意味がわからない?
私もです
説明を受けると、どうやらコレは
例えば怪我を負ったとしよう、だが、怪我というのも、この世に顕現しているだけでもエネルギーを持っているのだ、そして、コレを暴食者で喰らうと
怪我綺麗さっぱりなかったことにされるのだ
マジで意味がわからんし、容量も化け物並みにあるそうだ
と言うか、活用法が無限にありそーで怖い
まぁ、コレは置いとくとして、
他の……これの後だと少し見劣りしてしまうかもしれないが
他のスキルの説明を開始しよう
【ガイアの申し子】
ガイアとはギリシア神話で言うところの大地の女神、ガイアの申し子とは、そう言う意味で捉えてもらって構わない、
元々地龍なので、大地操作や、其れに準ずる能力は予測していたが…まさか、大地、もとい、重力までも勢力圏に入れてるとは予想してないんだわ、まさに『棚から牡丹餅』
まぁ、棚から出てきた牡丹餅って、なんか不衛生だけど
重力や、鉱石、大地の操作を主として、大地から力を吸い上げたり、未来予測なども組み込まれていて驚いた
恐らくだが、コレはガイアが未来予知ができる、なんてことに関係あるのではないだろうか?
まあ、ガイアってギガントマキアを起こして倒される方の女神だけど…
良い様な、悪い様な、何か起こりそうな、起こらなさそうな
そして、最後は
【マーリン】
マーリンとはアーサー王に支えて、色々な補佐をした人物で、確か、泉の何ちゃらの純潔を奪おうとして、その何ちゃらさんの謀略にハマって二度と出られなくなった阿呆では?と考えてみたが、割と高スペックであった
空間魔法・地形把握・未来予測演算・並列存在・並列思考・完全防御・スキル高確率補正……等々馬鹿みたいな数の冒険者をするならロマンと実用性を兼ね備えたスキルの数々が存在した
けれど、先刻から未来が見えねえ!!
〈其れは、単純に主の魔力不足です…もし、主の魔力で未来視を行う場合、寸秒で魔力を枯渇させる可能性が…〉
あ、はい、すいません調子乗りました
そうですよね、幾ら強そうなスキルを持ってても、本人の魔力が少なければ、意味がないってね…
チックショーーーーー!!
悲痛な叫び声を心の中であげると
何かすみません
沈痛な声が…今度は幻聴ではなく…聞こえたが、今のこちら側からしてみると、酷く空虚な気分になる答えであった
そこまで考えて、とある考えに至る
(あれ、コレって相手のエネルギーを無理矢理全部むしり取ったら勝てるのでは?)
と、訳もなく勝てそうな感じがしたのだが
〈注 人を対象にする場合は、自身であるか、許可制でないと了承致しかねます〉
………おわた、とはこのことを表す為にあるのだろうか?
唯一相手に通用しそうなスキルが、何故か人に使う場合は相手の許可制という意味不性能という、何というご都合主義…泣いて良い?
まぁ、泣いてる暇はないが
まぁ、あれだな、人体以外なら喰えんだろう
だから、悲観しすぎるのも考えものであるが、此処からどうしよう?
ブヘェ!?
すいません最近読んでるシャンフロとかいう作品に何回目か忘れたアッパーカットをドストライクに入れられました
あ、いや待てよ……コレッテ頭を少しひねればわk____
うん、何も聞かなかったことにしてください
シャンフロの547話をポカやらかしてアッパーカット喰らったなんて誰も言ってません!