生存本能
あらすじ……粗筋と呼びたいが、
VR(バーチャルリアリティ(仮想現実))ゲームをしている最中、スパークをくらい失明し、天に召された……マジで粗筋と読んでも別に問題ないな、しかも、その後『傀儡』世界に召喚されてればわけないよな……全く、溜め息の一つも吐きたいな
しかし、此処はどこだ?
先刻まで俺は確かに迷宮にいたはずなのだが?
と言うかあいつらは?
〈解、アレは拘束系の魔法で、意識を強制的に強奪された可能性があります、油断のしすぎでした、申し訳ありません〉
と謝罪の言葉をいただいたが
(いや、大丈夫だ)
といって、今いる場所の状況確認に動き出すことにした
今いる場所は太陽の光が届いてるが天井が見えづらくけれど微かに光が届いてるという状況だ、しかし、この不可思議な構造も驚いた、けれど、此処の1番おかしい所、ある一定のタイミングでいきなり全体を見通せる様になったことである、さてさてさーて、此処で何が起こるのかな?いや、起きなくて良いけど、というか、何で鎖に繋がれてんのよ?こっち、この世界に来たの、ほんの寸秒前なのだが?
そんなことを考えてると
「グオオオオオオオオオオオ!!」
天を切り裂き、大地を陥没させるのでは?と比喩なく思う程の咆哮か断末魔が聞こえた、できれば気のせいだとありがたいが、此処ってマジで何?
そんな人が居れば場違いな感想抱いてるな、と思われても不思議ではないことを考えてると
「こらあ!!このダボ共おおお!!ささっと起きろ!!」
と言う小物感たっぷりの仮面を付けた男が鞭を携えながら此方へ向かってくる、
(いや、寝さてくれない?此方キャパオーバー何で、今から冷却ならぬ、忘却作業へと移行したいのですが?)
と軽い現実逃避のジョブを考えていると
「コラァ!!このクソ雑魚がテメェは最強種族のつもりかあ?」
と此方に鞭を打ってこようとするので
「ウオオオオオオオオオ!!」
と自分の喉から出たとは思えない咆哮をボーッとしながら聞く、いや、マジで怖くない?ちょっと自分でもちびりそうになったんだが?まぁ、あれだな、伊達に魔物じゃないって所だな、一応虚仮威しの方向はかなり恐ろしいし、一応体は頑丈そうではあるよな、だってドラゴンとかってファンジーで爬虫類の様に鱗で覆われて高い防御力を誇り、で、尚且つ翼や高い魔力に知力、等々があることで有名だよな、まあ、『傀儡』の地龍は毒矢を受けたら一発で死ぬけど……ハハハ
笑えねえ、マジで笑ってる状況ではないぞ?たくッ、何で、こんな所に転生したんだ?今先刻此処に来た男の言動からして、恐らく此処は
円形闘技場、所謂、「コロッセオ」って奴だ、しかも、冒険者か、何かと、雑魚魔物を戦わせる趣味の悪い、な
その証拠に、魔物がいるにしては環境が良すぎる、此処のオーナーの方針でもしかしたら、魔物達に最後の安らぎを与える為にしていることなのかもな、うーん、わかった所で俺は別に、底なしのお人好しつー訳でも無いんだよ、
「何で、こんな、酷いことを……許さないぞ、貴様らあ!!」
とか言って激昂して目を光らせてバーサークモードに突入するほど此処の奴らに対して思い入れはないんだよなあ、うーん、逃げ出す方法を考える方が現実的だな、え?勝ち続ければ生きられる?
面白い冗談を言うね?地龍ってクソ雑魚種族だよ?種族を理由にする訳ではないが、総じて能力がロースペックな種族に戦闘力を求めるのは、馬鹿かギャンブラー位だよ、そもそも、先刻の咆哮の主、多分相当な実力者であるはずだ、もし、ソレが生きているなら此方の出番はまずないだろう、しかし死んでいるならギャーギャー騒いでも、即刻死刑台へ登る運命であるだろう、前門に虎、後門に狼ってか?
最悪、連れ出される所を見計らって大暴れするって言うのも一つの手だが……それは他の奴がやってるだろう、だから、と言う訳ではないが、此処は誰にもバレずひっそり消えるのが一番効率がいい気がするのだ、まあ、他の奴隷たちを扇動して、一大事を起こした方が、まだ確立がいいかもしれないが……でも、此方の事情を持ち込むと、コイツらの言葉がわからないかも知れない、何故か?コイツらは今の所ヒソヒソ話ばかりしているので、此方の聴覚に引っかからないのだ、もしくは檻の影響で隣としか話せない…なんてことがあるかも知れないが、そんなことは此方の知らない所ではある、
しかし、こんなことを考えてると
「このクソ畜生め、お前の試合は生まれたてを考慮して来月にしてあったが、今日にしてやる、来い!!」
……あらあら、まあまあ、何だってえ!!
マジで逃げたい気分だ、けれど出来ない、多分だが、アイツが鎖を握っている影響だ、恐らくではあるが……けれども厄介だな、力が……入らねえ、一瞬でも気を抜くと膝からヘタリこみそうになると言うか、何というか、うーん、コレも、鎖の影響か
〈否、コレは奴隷神紋が影響しております〉
え?奴隷神紋?何その、神々しさと邪悪さ混ざってる微妙に厨二心を擽ぐるダサいネーミングは
〈………奴隷神紋とは、人が1から、つまり幼少期から若しくは生まれたてから育て上げた存在に付く、神が授けし魔法陣です、コレが存在する限り、『奴隷』と決められた存在は主人を介して命令された人物に命令されると、主人の反抗、攻撃、逃走、命令違反が禁止事項になります、尚、破った場合には厳しい罰が下りますが、貴方は転生体と言うことで中途半端に奴隷神紋が働いております、拘束力は殆どありませんが、その代わり、力の搾取が起こります、本来の十分の一も身体能力を引き出せておりません〉
なんかすげー長い説明来たよ、つまり、掻い摘んで説明すると奴隷神紋は
主人の意思が介されて命令されると、命令された相手を擬似的に主人と認め、反抗や、諸々が禁止される上に
本当は思考能力を奪うんじゃねーかな、元々魔物に知能があるのか際どい所だが、鳥にも思考体があるって言うのが最近話題になっているから多少なりとはあるのだろう、そして、思考能力を奪って死地へと赴かせる……エグいな、けどまあ、俺は転生体である為、それが緩んでると、元々精神体が地龍と人間のハーフ?と言うか、ゴチャ混ぜのない混ぜになっているからな不思議なもんでな、コレが功を奏したのかも知れないな、まぁ、今になってはどうでも良い、このまま行くと適応は三時間で終わってしまうそうだ、つまり、時間を無駄にしてると俺も有象無象と同じになってしまう……って所かな?
まぁ、進化でもして抵抗力を上げれば大丈夫……になるのかな?知らんけど、
ふと、無理矢理引っ張られる力が緩められたので、チラリと視線を前へとやると
「ほら、見てみろ、アレが次の相手だ。」
とニチャア、と言う嫌な効果音が付きそうな汚い笑い方をするので
(キッモ…)
と心の中で絶句しておいた、しかし、相手の情報収集は鉄則だよな〜、だって相手のことを知らずに戦ってボコられて殺されたら終わりやんけ
そう考えてふと視線を前にやると
自身の憎悪と憤怒が燃え上がるのを感じた
自分にも正義の心があるのが驚きだ、偽善の心だとしても、コレは、コレはあんまりではないか?
目の前には、一人の人間が、一人の小さな仮面を付けた幼子を、わざと手加減しながら歓声を浴びている姿である、しかも、それは
(九露!?)
そう傀儡の主人公であるはずの、その人が、ああ、コレってもしかして、当たってほしくない仮説をふと立ててしまったが、思ってしまったが最後、罪悪感で潰されそうになる、立てた仮説と言うのは
バタフライエフェクト
俗にはバタフライ効果とも言う、コレは簡略化すると
Aという事象が起こりBという事象が起こる
しかし
此処にCと言う異物が放り込まれるとどうなるか?
全く違う方向に進むことがある、と言うのがバタフライエフェクトである、
つまり
この状況は、本来放り込まれることがなかった異分子……つまり、地龍が、俺がいるせいで起こっている、
人の心がない訳ではない、けれど合理的に動く方が、生きられる確率が上がる、そう、考えていた、けれど、自覚した瞬間には
倒れてる子供の前に立ち塞がり、大咆哮を上げてる自分がいた
目が覚めると木の木目が見えた、
つまり、そう言うことらしい、あの後何とか転生に成功したらしいが、まさか赤子からやり直せって言うの?
嫌ですよ、と言う反抗のつもりで、スキル習得へと移ろうとするが、最悪なのが、レベルボーナスでスキルポイントを入手して、スキルを解放しなければならないらしい、しかも、それを扱えるかは自身の適正次第だそうだ、全く嫌になってしまう、けれど、此処でめげている場合ではない、何とか、このクソみたいな赤子時代を終わらせて、あの意味不な輩を兄よりも早く殺さないと、
うううううううううううううううう
地の底から唸る様な声を心中であげる、何故か?其れを聞きたければ三回死んでこい、と言いたいくらい余裕がない、
漏らした
これ以上言わなくても理解してくれるでしょう、まさか中学生になってから、漏らす恥ずかしさを味わうことになるなんて……しかも、おむつもない為にかなりベタベタするし、気持ち悪いし、臭い、あー、嫌になる、
「う、う、う、」
と片言しか話せない、この体に不便さを全開に感じながら、イライラしていると
「はーい、ごめんね?今変えるからね?」
と言って母親が下の世話をする
死にたい…………しかし、少しおかしな点が
そう、額に愚直なまでに一直線に伸びる螺旋状の角である、コレはアレか、もしかしてそうなのか?
「我が一族の守り手もコレで安泰ね。」
決まった、コレは……東西南北、青龍・白虎・朱雀・玄武が其々守るとされる方位の中心に鎮座して、一族の繁栄をもたらす(確か)麒麟の一族だ……それにしても守り手とは?
わからないことが多いな、うーん、どうしよう、おそらく頑張れは情報収集も簡単なんだろうけど、しばらくは一人で動くのもなあ、
よし、決めた、しばらくは世話になろう
わからない、愚弟が何故アレほど木偶の坊共に執心するのか、元々は土から生まれ落ち、追放された者の末裔だぞ?
何が面白く完璧な地をひっそりと抜け出し女を見繕い、攫っていくのだ?
つまらない情に絆され自身の衰退に繋がる……とは考えないのか?
父を下しても奴には知恵が足らんな、
それに比べて私は……完璧に統治することを信条としているが、人間共の考えはわからないし、わかりたくもない、
木偶の坊共は私利私欲に動く、故に魂の質が落ちるのだ、我らが統治する此処は、人間の魂から力を奪うことで世界を循環させているのだ、もう少し此処の重要性についてわかって欲しいものだ、
しかし、
何故奴らは何故に、それ程に気に入った?
わからん、我ら生まれながらにして完全無欠な存在でありながら、狂ってはならぬ最強で完全な存在なのだぞ、我らは規律を守り、木偶の坊共の先導して安寧をもたらすべきなのだ、
それを奴等は………生かしておくには少々危険がつきすぎるな、
今度は私が赴いてやろう、
木偶……いや、人類、貴様らの存在意義を私が推測ってやる
竹が体に刺さって、一瞬気を抜いた瞬間に竹と一緒に凶器が抜けて大量出血して……
なんて風な夢を知り合いが見たらしいです
何で竹と一緒に凶器刺さってるの?