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空に届け4

空へ届けーーー

ふっふっふ、今回勝ち負けは正直どうでも良い

何と言うか……コイツとの戦いに決着をつけたい一心である

あれ?俺こんなに戦闘狂ではなかったはずなんだけど……まっ、良いか

そんなことを現実逃避気味に考えながら相手から降り注ぐ暴力に戦慄する



すいませんねえ、マジでS級冒険者って化け物しかいないんですか?

じゃなきゃ今、この阿鼻叫喚の地獄絵図は全く説明できないんだよねえ……そう考えながらどうやってこの状況を打破するかを考え、そして



「お前、【グングニル】を一つの剣にして振り回して雷と魔剣を飛ばしてくるのは反則って親に習わなかった!?」

そう叫びながら付かず離れずの距離を保つ

何やかんや言ってあの大剣が一番振りづらく、そして回避が一番やりやすいのはこの場所だ、パリィなんてしたら腕が壊れるわ

そう言い訳しながら相手との間合いを測り

「此処だああああ!!」

そう咆声を上げながら大剣をタメの構えで後ろにやっている相手に突っ込んでいく

此処なら!!

そう考えたのも束の間、相手は片手で魔剣を投擲、そして此方に肉迫して大剣を振り翳してくる

ヤバい……詰んだ




そう、お思いの方が多いだろう

だが、違う…俺は、この瞬間を心から待ち望んでいた

 

さて、ここで大きく話題は変わるが

『祓え式』についてご紹介しましょう

そもそも『祓え式』と言うのは

【攻撃型】【防御型】【撹乱型】【支援型】

の四つに分かれており、此処から憑依や召喚などが派生してくる

しかし此処で一番重要なのは『祓え式』は誰にでも扱える術式というのが一番重要なことである

そう俺にでも!!


「『祓え式』迷い地蔵」

そう言葉を発すると俺以外の全員が驚愕の色を示す、なんせ

相手の巨大な大剣が俺がいない明後日の方向に剣を振り抜いているだから

『祓え式』迷い地蔵

コレはタイマンで戦っていて、尚且つ相手が決めに来てないと効果を発揮できないショボい能力である

だが、その分不意打ちには上等だ

その能力は

『人間の体の一部を数秒操る』

撹乱型の能力であるが、講義をしていた音山たちも流石にこんなショボい能力は見たことがない……

と呆れ果てていた

けど、俺にしてみれば当たりの能力である

何せ数秒だけ『操る』ことに特化させることで抵抗を確実に突破できる上に相手の操りたい部位と対応した自分の部位を壊すか刺すかすると確実に操れる破格の能力だ

俺はどれだけ自分を壊そうが【命の源泉】で回復可能であり、そして……

「わかってるな?お前の切り札が不発に終わった今……ってうお!?」

雷と魔剣を忘れてた!




「あれは?」

そう妹さんが質問してくる、まさか見た瞬間に俺たちが内情を知っているって看破してくるって……背筋が冷える思いだわ、まぁ、味方になるとこれ以上なく心強い味方になるんだが

「アレは元々俺たちがいた世界で誰もが持っている『祓え式』っていうものです……簡単にいうと妖術や陰陽術に相似なものだとでも思ってくれれば構いません」

そう言ってから

あ、そう言えばこの人達の世界は特殊な能力が存在しない極々普通の世界なんだと思い出して慌てて更なる説明の補足をしようとすると

「つまり……魔法や魔術とはまた違った特殊な技能……見たところ一人に一つが大前提で、そこは貴方達と大差ない……そしてお兄がソレを使えていることを鑑みれば、おそらく『祓え式』というものは素質さえあれば誰にでも使用可能……更に言えば彼の今の所の『祓え式』の持続時間は十数分が良いところなんでしょうね」

この人はどこまで深読みすれば気が済むの?

ほとんどあってる、何せアイツは祓え式を目覚めさせてから俺達と持続化訓練を敢行させたが毎回十数分で音をあげてしまうのだ、もし気合いが足りないなどの腑抜けた理由なら殴ってでも立ち上がらせて戦わせたが

奴の祓え式を扱うために必要なエネルギーが物凄く少ない

俺たちが湖程度の量だとしたら、奴は辛うじて桶一杯程度の量であるのだ

奴の能力自体が燃費の良い撹乱型の能力であったことが功を奏して使い所を間違わなければそう簡単にエネルギー切れはあり得なくなった

だが……どちらにせよ余り大衆に晒さない方がいい能力である

何でか?

「けど、あの能力は余り大衆に晒さない方が正解だろうね」

妹さんがすぐさまその答えに辿り着いているのに再三恐怖する

全く、この人は……今さっき知ったことをどれほど、何処まで理解している……!!

道理で地龍が

『妹?アイツは誰よりも信頼できるが、誰よりも怖い奴だ』

と言ったわけだ、どうやら裏切る心配は皆無らしいが、この頭の良さはいっそ全てを知っていると言われた方が安心できる薄気味悪さが存在する

けど、仲間を疑っていては何も行動できない

「確かに……奴の『迷い地蔵』は初見殺しの性能であるのが些か否めない」

まず、一番の問題が対処のしやすさである

指定した場所の部位を操る

確かに強力で驚く、が、操ると指定しただけでは操りきれないことも多く、尚且つ『自分の体の部位を壊す』と絶対操れるという能力も一度看破して仕舞えば、壊した部位から操られる場所を見抜き、別の場所で攻撃して仕舞えば万事OKなのだ

今回は一瞬の隙を奪えればいいや、という地龍の思惑から発動されたが……アイツ雷と魔剣を忘れていて結局円柱状にくり抜かれた壁を走り抜けている

器用だなアイツ……

と呆れているのも束の間

「おいおいおい!?最早呆れるくらいヤバいな……アイツに魔力って概念はないのか?」

そう言いながら今なお生成され続ける新たな【グングニル】に確かな恐怖を抱きながら、ただ地龍の身を案じることしかできなかった



「って、マジかよオイ!?」

そう叫びながら今更止まることのできない空中で驚きをあらわにする

ようやく雷と魔剣の嵐から解放されたかと思えば、今度は三回目の【グングニル】が待ち伏せしてるとか、どんな悪戯ですか?

全く俺はこんなに清廉潔白な人物なのに……こんな苦行に放り投げて何が楽しい!?

「まぁ……こんなこと考えたってどうしようがないことくらい自分が一番わかってるんですけどねえ」

そう口に出しながら

「……………」

無言でグングニルを睨む時間すらなさそうなので妹に視線を飛ばすと

「…………………」

無言で好きにすれば?と言うように目を閉じているので心の中で感謝の意を伝えながら壁を蹴り飛ばして、敢えて闘技場の中心に身を躍らせる



「……………」

闘技場の中心に身を踊らせた地龍を無言で見つめながらコレは罠かそうではないかを考えながら一瞬でソレらの思考を分断する

罠であるならソレ以上の力で捩じ伏せれば良いだけのこと

罠でないなら此処で引導を渡してやるまで

相手には聞こえないだろうが……コレだけは言っておかないといけないな


「楽しい戦いだったよ……君程の相手に今まで会ったことはないよ」


たくっ、もう高みの見物か?勝負の運命に愛された戦士さんよ?

けれど…………安心するには早すぎるんじゃねーか?


「来いよ?全力で叩き潰してやる」


そう憎まれ口を叩いたのが確かに聞こえた

おかしいな……戦い始めて二十分も経過していないのにな……アイツとずっと戦っていて、気心の知れた人物の様な感情を抱いてしまうのは果たしていけないことであろうか?

いや、そんなはずはない

地龍よ……遥か昔にこの地を守り衰退した一族よ、君程の実力者と手合わせできたことは私の誇りだ


まさか雑魚だと思っていたS級冒険者に此処まで手こずることになろうとは誰が予想できた?

いや……今はどうでも良い……最後は貴様の最強の技を砕いてやる……だから


「「コレで决めきる!!」」

グングニルが一気に射出される

が、ソレを足場に虚空を駆け回る

「一度ならず、二度までもコレを見てるんだ、その速度のままで俺が捉えられるとでも考えたか?」

多数から来る剣を避けながら何とか相手との間合いを詰めいく

しかし相手も馬鹿ではない

「舞えグングニル」

そう宣言するとグングニルを形取っていたグングニルが摩訶不思議な挙動をし始める

「くそ……俺の足場を奪うつもりかよ!?」

と悪態をつくと、上から

「『貴様』のではない!私の武器達だ!」

そりゃそーだ……さて此処からどうやって上に行こう…

〈告げます、暴食者の能力で周りの空気を排出してジェットエンジンの様に使うのはいかがでしょうか?〉

お前はそんなことを……はいやりましょう!!

「絶対に落下死とかは勘弁!」

VRゲームで時々ビル群の上から一本背負いやら何やらを喰らわされたことがあるからわかるけど

落下死は恥ずべき死に方だ!

〈何か格好よく言っていますが、結局は落ちて死にたくないってことですよね?〉

身も蓋もなく言ってくれるねえ……まぁ、否定できないけど

なんせ落下死と失血死だけは一生なれないからな

『すべての死因を体験しよう!』というコンセプトの発禁のVRゲームを間違えて摑まされたことがあってクリアするまで絶対にゲームを終われない拷問ゲームをやらされたことがあって、途中で妹がVR機器を破壊してくれたおかげで(損害は馬鹿にならなかったけど))何とか辞められたけど

途中ま……オエ

その時のことを思い出したらすっげえ気持ち悪くなってきた




「テメェ!!何を思い出させてくれてんだあ!!」

と本人は全く身に覚えのないであろうことを叫び散らかす

「………?」

と困惑している、まぁ、当然であるが、ソレを理由に攻勢を弱める理由にはならないな

予測のつきづらい動きをしながら舞うグングニル達を紙一重で躱し続けながら、垂直に壁を駆け上がる

「さて………此処から決めに行くには…」

そう考えながら状況を少しずつ整理する



「秘技『無限抱擁』」

………あれえ?君は一体幾つの手を隠しているのかな?

そう言いたくなるのも仕方ないだろう

というか今からでも棄権しても?

あ、審判が場外に……と言うか俺の顔見知りと他の強者しか観客席にいないのはコレいかほどに?

流石にこの程度で結界は…

〈最初のグングニルで早々に壊れてましたよ?〉

オウジーザス……流石にヤバいねえ……

此処からどうやって相手の顔面に攻撃を喰らわせるか

其処が問題だ

「ん?グングニルが?」

どうやら敵さんは俺のことを放っておけないらしい、複数の武器が分裂しながら此方に突進してくる

うん、殺す気か?

こんな狭いところで分裂しながら飛んできたらソレこそいつか満杯になって押し潰されわ!

そう心の中で叫びながら暴食者で分裂する剣を喰らうと

〈告げます……内部が破壊されています、今の所は無視できるダメージですが、これ以上の捕食は此方危険です〉

クソッ……コイツ何処まで俺の弱点を突き回せば気が済むんだ?

そう考えながら手のひらを開いたり閉じたりを繰り返す

もし俺が想定している技を放つなら多少の余力を心に残しながら腕だけは残し切らないといけない

ソレは何に変えても

けれど相手の無尽蔵の武器はソレを許さないと告げている

思考が緩慢になっていく

相手の動きもゆっくりになっていく

そして世界は反転する

まるでその光景は全ての色に白色をぶちまけ、白色だけに黒を、与えたみたいな光景である


随分と久しぶりである

この状態に陥るのも

何でそんなに落ち着き払っているのか?簡単である、この状態を俺は知っているからだ


昔、とんでもなく大きいVR大会があって、其処で世界ランク一位の相手を相手取っていた時もこの状況に陥った

他にもとんでもない数のモンスターに囲まれた時や

自分で絶対に倒すと決めた相手と戦っている時

世界の色は反転して、世界は緩慢になって、相手が自分の何処を狙っているのかわかる

言葉として『何処を』狙うのか現れる

本来であれば解析すら難しいが、この世界は俺も相手も速度は同等に遅くなっている

だから、ソレを一瞬で読み解いてからでも十分に対応可能である

えーと、今は

『斜め四十五度』『左後方』『直上』

斜め四十五度に関しては自分が向いてる方向を十二時として其処から『◯◯時方向に敵影!』みたいなことを言う奴を基準にしているので、およそ十時から十一時位の方向から攻撃が飛んできて、後は左後方と上から攻撃が飛んでくると言うことである

コレの厄介なところは時々表現方法が変わってくるので、その度に自分の頭で考えて回避しないといけないのだ

コレを世界ランク一位にやった時は解析中に攻撃がめっちゃ飛んできたので途中からノリで避けて攻撃をしていた

その結果知らずにジャイアントキリングを成し遂げていたわけだが……

まぁ、コレは相当役に立つから結果としてはあって良かっと心の底から今では思っているけども


Q.地龍は何で『攻撃が見える方法』と『鑑定』を使わないの?

地龍の攻撃が言葉として浮かび上がるアレは実はただの脳の演算処理が生み出す能力なので其処まで便利なものでない上に、使うと頭が痛くなる能力なので本人はあまり好き好まないが【ノア】があるおかげで何となかっている

鑑定に関しては使いすぎると他国に情報漏洩をする為にやっていると思われて逮捕されてしまうので鑑定はあまりしない様にしている

本当は鑑定して能力を暴きたいが

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