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幕間 束の間の冒険

君に平穏は訪れないよ?

さてと、ひょんなことから【傀儡】世界に転生してしまったが……

今は取り敢えずこのどっちつかずの状況をどうにかしないとな

どっちつかずというのは

行動するのかしないのか

今現在私は自身がいた卵の残骸の辺りをぐるぐる回ったり、座って無言で唸ってるの二つの行動しかしてないが

カレコレ二時間弱(体感)位悩んでる気がするのである

しかし、時間は有限である前に

ずっとこんな所で悩んでいると冒険者(Mob)が来て

「お、こんな所に雑魚地龍がいるじゃねーか!!」

とかなんとか言われて襲われて死亡エンドしか見えねー

と自分で考えて寒気がする様な思考を展開しつつ

頭の一部は冷静に生まれた場所を観察していた

自分が生まれた場所は魔境と呼ぶには穏やか過ぎ

人里と呼ぶには少々陰険な雰囲気が漂うどっちつかずな場所であると観察していてわかった

しかも、今の所魔物の魔の字も見えない

不思議だねー何でこんなところにカミサマは産んだんだろうね?

謎だわ、マジで謎だわ

うーん、こんな思考したくないが一生誰にも会えずに餓死する未来も視野に入れとかないとなー

めっちゃ嫌だけど

まぁ、今こうやって呆けて何もしないでいて襲われる方がなんかこえーわ


ちなみに余談であるが

彼…こと地龍がいた場所は何者かによる飽和攻撃によって跡形もなく消えた

そう、まるで地龍がいなくなる瞬間を見透かした様に………



そうとは露知らずに晴天の元元気よく闊歩している地龍

そして

(お、なんか魔物いるわ)

今は狩りの最中である

今現在彼が標的にしているのは極々普通の水竜のアクアサーペントである

特徴と言える特徴も無いが敢えて挙げるとするならば

全身に夥しく埋め尽くされている鱗に遠距離近距離の隙がないスキル構成

水場にいる限り初心者には討伐不可能とまで言わしめる機動力が売りだ

しかし、地龍は初心者などではない

まずは観察に専念することにした

(あの…名前わかんねーし蛇でいいか、あの蛇さんは水の中だと相当動きが良いんだな?けど、魔法をバカスカ撃つのは馬鹿としか言いようがないな、魔法の基礎すら知らないのか?いや、魔物だし当然か寧ろ魔物なのに人と同様の知識とかを持つ奴がいたらこえーわ、あ、私でしたサーセン)

と考えていると

「ウオオオオオ!!」

とアクアサーペントが咆哮を上げながら此方に威嚇してくる

いや、最弱種族に威嚇って、お前www

過剰殺害って言葉知らないのかい?

オーバーキルとも言うが

威嚇だけで死にそうなんだが?

そうボヤいてると蛇さんが

「うぉ!!」

と間の抜けた声を上げながら水の槍を回避していく

コレってヤバイな地龍は地属性、相手は水属性

そう、言うまでもなくアイツと俺の相性は最悪なのだ

と言うか、観察するだけして相手が弱った所で襲うってさっき決めたばかりなんですけど?

そう、それは数分前に戻る

「おお、此処が迷宮(ダンジョン)か!!」

生まれてからどうしようかなと、当てもなく歩いていると巨大な岩石の塊を見つけたのだ

最初見つけた時は隕石?と思ったが一周回ってよくよく観察してみると複数の入口らしき物を発見したのである中には地龍の体では大き過ぎて入れない物もあったが辛うじて滑り込んで入ってみるとそこは

迷宮の名に似合う異世界の浪漫があった

ほんのり薄暗い通路に複数の松明が灯されており、奥からは薄暗い声が所狭しに聞こえる嗚呼迷宮って素晴らしい

と考えてると

「キシャア!!」

と小さく威嚇の声を上げる存在を視認すると手のひらサイズの小さな蜘蛛が居た

おお、人によって差異がありそうだが可愛いなコイツ

そう考えてそーっと手を伸ばすと

「ガブゥ!!」

ノオオオオオオオオオオオ!!(コイツは馬鹿です)

頭撫でようとしたら噛み付く奴があるかあ!!(再度言いますコイツは馬鹿です)

しかも毒を注入…痛いってえええ

(大事な事なので三度言いますコイツは馬鹿です)

よし、テメェ食ってやる!!

そう怒りを心の燃料として噛み付くと

「うっ…」

と一瞬唸る、理由は蜘蛛を齧った瞬間に何とも言えぬ食感(あじ)が口の中に広がる

腐っていたのか?と一瞬考えるが

体の中に毒を仕込んどいて食われない様にしている生存戦略だと考えれば理由がつく

しかし、ソレでもこの不味さはどうにかならないのか?

とりま、今まで食った中で一番まずい味がするんだけど

はー、嫌になるわ

流石に一回食い始めた物を放り出す趣味はないから全部食べるけど…

と嫌だなと考えながら思考を停止させながらいつ終わるかわからない咀嚼をする

周りに誰もいなかったのも幸いして周りには自分の咀嚼音(哀しい音)しか聞こえなかった

中々奇妙な状況だなと考えながら……


そして、現在の心境に至る

しかし困ったな相手に手も足も出ない恐怖の状況になってはいるのだが…

ソレでも殴り合いに持ち込めれば…

そう考えて取り敢えず地龍のデフォルトに備わってるであろう大地魔法を行使するイメージを整える

イメージとしては大地に津波を巻き起こすイメージ

流動させて硬い物の柔らかい物も全てを飲み込み壊すイメージ

そして、水竜の直上の岩を崩落させる、更に周りに檻の様に何重にも張り巡らせた岩の柱を纏わせ相手の動きを封じようとすると

「へえ…」

感嘆と恐怖の念を抱きながら相手を見つめる

相手は自身の周りに水の鎧を纏い始め岩を巻き込みながら此方に突進してくる

単調でわかりやすいが当たればひとたまりもないと直ぐにわかる

そして、此方が取るべき最適解は

大地の壁を構築、直ぐ様に下に穴を掘って天井を大地に偽装

壁が壊される音を確認してから全体に飽和攻撃を開始する

すると、数分で完全に音が聞こえなくなるのでゆっくり顔だけ出して辺りを探してみると不自然な水溜りを見つけた

まさか

と一瞬嫌な予感がして直ぐ様に先程作った(便宜上シェルターとする)シェルターに逃げ込む

その判断は半分正しく間違っていた

まず、上で起きたのは水質化と言う水竜のエクストラスキルで一定時間自身の体を水に近い組成にして物理無効にすると言う厄介極まりない状態にするのだ

勿論デメリットもある

火に当てられ蒸発すればそのままお陀仏になってしまうのだ

まぁ、そんなことできない上にやろうともしないが

しかし、此処で想定と違ったのは水竜が地面に体を染み込ませていきなり体積を増やすと言う荒技を敢行したからである

水竜の通常時の体積を100とすると

水質化時の体積は大凡の10から3程度なのだ

もし、その状態から一気に通常時に戻ればいきなり戻る反動で一気にエネルギーが放出されてそこいらの爆弾より凶悪なエネルギー波が巻き起こるであろう

そして、本来知能を持たない水竜がソレを敢行した

どう言う風の吹き回しかありえない行動ではあるが別段不思議ではない

この世界にも特殊個体や特異点と言うのは存在する

しかし、コレは少し毛色が違う

敢えて告げるとするならば誰からか知識と技能を与えられた殲滅者

水神(アクア・サーペント)殲滅体(・ディザスター)

とでも言うべきか

元来の水竜よりも知能も技能も相当高い

本来では地龍には勝てない相手ではあるが

「よーし、コイツの血肉を喰らってやる!!」

完全にモードに入っていた

地龍の冷めていた部分もこうなれば止めは聞かないなと諦めて戦いに集中することにした

そして、両者同時に駆け出す

風すら置き去りに水竜が最初に出た行動は突進であった

幾ら進化しても体に纏っている水の魔法と自身の体の威力はそうそう変わる物でないと理解しておりコレは実に素晴らしい案であった

そう、地龍以外が相手であったら

地龍が最初に行ったことは

まず水を剥がすことであった

しかしながら、水を離すと言うのは並大抵のことではなく、なら此方の最強火力をぶつければ?と言う思考に至ったのである

そう地龍の最高火力というのは

元々地龍というのは大地を操り、大地に生きる龍のことをいうのである

だから地脈を操作してマグマ溜まりを刺激して引っ張って来るなど造作もないのだ

そして、いきなり地龍と水竜の間に最悪なマグマの壁が出現する

自分で引っ張ってきた地龍は露知らずと言う顔をして立っているが

水竜からしてみると悪夢のような物体が出現したのだ、なんとか折り返そうとしても突進の速度は慣性の法則でいきなり止まることは水竜に不可能であり、自滅覚悟で水の鎧を最大限に強化して突っ込む

そして、寸秒の静寂を当たりが包み込んだ後

「ウオオオオオ!!」

二度目の咆哮を上げながらアクアサーペントが体をマグマの壁から生やす

体のあちこちは傷だらけになり、水の鎧は完全に消滅しているが

ソレでも生きている

しかし、その疲労を見逃す地龍でなく

大地や天井から一気に岩の槍を放出して二度目の飽和攻撃を敢行する

すると相手はたまらず動けなくなる

けれど、動けなくなっている間も攻撃は延々と続くと言う最悪な状況に相手を陥れることに成功していたのだ

そして、そこからは只の作業であった

槍を延々と展開しながら

相手が逃げない様にガチガチに拘束するそして、マグマの放出量を微妙に調整しながら最後に完全に止めて止めた瞬間に水竜の頭を潰す

一瞬潰れた頭がグロいと言うかR-18に分類されるのでは?と言う考えが頭をよぎったが関係ないや

そして、水竜の死体を引っ張って

先刻は考えなかったが此処は一応腐っても迷宮なので食事中に襲撃されたらたまったものでないので

シェルターをもう一回作り出して中で食事をすることにしたのである

まあ、血液の臭いが充満して本来は食事どころの話ではないだろうが

そんなことを考えながら中々に噛み応えのある水竜の肉を貪っていく

そういや、レベルアップのファンファーレは聞かねーな

こんだけ殺してたらそろそろ経験値が溜まりそうなんだが

うーん、うーんと悩んでいると

〈この世界でのレベルアップの基準は『どれだけ限界を超えたか』です

地龍は一応上位種の龍に存在するために自身より上の存在を探すとなると更に困難です更にスキルも想定を超えない使用量だった為にレベルが上がりませんでした〉

スキルの想定内の使い方って何よ

普通に修練してレベルが上がるじゃ駄目なの?

〈解、別にソレでも良いですが、相当の時間がかかると見込まれます〉

めんどいな、と、またうーんうーんと唸っているといきなり人の話し声を聞こえてきてビクッと身構える

「いやー、この辺りにアクアサーペントがいるはずなんですけどね?」

と少し低音でおちゃらけた様な声が聞こえたと思うと

「よく見なさい、此処に何かが争った形跡があります、恐らくそう遠くない時間に戦闘が起こったと言うことなのでしょう。」

と綺麗な声で言う人がいて、そんなこと言ってどうするんだ?と考えながら肉をコッソリ咀嚼していると

「なるほど、アクアサーペントを討伐するとなるとソレなりに腕の立つ魔物でしょうからな今の内に討伐できれば僥倖ですな」

とドスの効いた声で言って来るので肉を落として音を立てそうになるので慌てて前足で掴んで安堵のため息を吐く

しかし、此方の困惑など露知らずに上にいる人物達は着々と地龍こと俺の討伐準備を開始していく

「で、此処にいたのは地属性の魔物でいいのかしら?」

「ええ、大地を操った様な形跡とマグマが流れた後があります、上位の龍がマグマを操った時こんな風な後が出来ていたのを見たことがあります」

「それに、コレを見てみろ」

「コレは」

「お?」

「そうだ、四足歩行型の魔物の足跡だな、で、恐らく此方はアクアサーペントが戦う時に纏う水蒸鎧を地面スレスレで使った為に出来た跡だろうな」

「なら」

「ああ、コレを辿っていけば大元に辿り着くと言う寸法だ」

名探偵も真っ青な推察を次々に繰り出していくので此方の血の気は時間経過と共に悪くなっていく、どうしてそんなにわかるの!?

と叫びたくなるが肉と共に喉の奥に押し込む

そして、最後の肉を飲み込んで今度は骨をしゃぶり出す

「なるほど天井と地面から何かを放出してマグマ責めと二重苦にしたのか……こりゃあ魔物の罠というよりも知恵のある人間の罠みたいだな実に理にかなってる、コレなら相性的に悪くても延々と繰り返せばレベル1でも勝てるからな」

「そうですか?コレにハマる前に水竜が逃げ出すって考えは?」

「いや、恐らくだがアクアサーペントが水蒸鎧を纏った後に突撃するタイミングがあるだろう?」

「ありますね」

「ええ」

「その時にマグマを落とせば勢いに乗ったアクアサーペントは逃れられないと言う寸法だ」

「なるほど」

「そして、そこでまったりしている貴様!!貴様が犯人だな!!喰らえ大地粉砕撃!!」

といきなり声が上がるので何を言っているので何を言っているのかわからなかったが

天井に罅が入った時点で気がついたら

(ば、バレてただと!?)

そう考えながら頭上から落下して来る岩から身を捩らせながら避けていると

「俺の下でくっさい肉を喰らいやがって、こっちが黙って説明している間にいなくなるなら見逃しやったのだが…俺の手で殺してやる!!」

そう叫ぶので、あ、これ最初から気づかれてたやつだあ

と心の中で大いに混乱して、そして悔しがった

「グルルルル!!」

とソレっぽい唸り声を人の声で再現すると

「やはり血に飢えてるわね」

「ああ」

「ふん、叩き潰してくれる」

と冒険者らしき格好している…一人は聖騎士みたいな格好してるが、三人組がそう言うのだが…確かに戦いまくったけど血に飢えていたわけじゃあ?

うーん、わからねえ

そして、そのまま戦闘に突入になるかと思いきやそこで思わぬ横槍が入ることになる

いきなり体の周りに魔法陣が出現して鎖に巻き取られる

そして、意識が暗転して…

あー、此処からどう展開していこう…

小話

地龍を襲った冒険者たちは実は超初心者で一人だけ親から冒険のノウハウを教育されており強者ムーヴは『相手は所詮ザコ地龍が相手だから』

けれども今度彼らが地龍と対面する時彼らの反応は……?



ここで武具講座

まず一番最初に紹介するのは

『木材シリーズ』

お分かりだとはお思いだろうがこれは攻撃力、防御力共に最低ランク、他の素材とは交わり難く重宝されず鍛冶職人が自分の理想の形を作るときの練習台にされ不揃いなのが多いがギルドなどで研修を受けている初級冒険者たちには十分な武装

『石シリーズ』

これも『木』と比べると多少攻撃力や防御力が上がるがどこが変わった?

と誰もが疑問符を浮かべる武具である

『鉱石シリーズ(金銀銅鉄)』

これくらいになってくると多少値段が張って来るが、物によっては高レベルの破邪顕正や魔力伝導率を保持している可能性がある、ちなみに地龍一触即発の冒険者たちが持っていたのは見てくれだけの最低ランクの武具(詐欺られた)

『幻石シリーズ(オリハルコン、ヒヒイロアカネ、ミスリル)』

これらのレベルになると最早持っているだけでステータスになる、しかも高確率で破邪顕正や高レベルの魔力伝導率を持っていて、変質したものには『神剣』や『インテリジェンス・ウェポン』になっているのもある

『インテリジェンス・ウェポン』

神ではないが神に最も近い(神剣を除く)武具であり、これらは総じて知性と強力なスキルを持っているが主に二つの系統があるので紹介していく

先ずは『意識がしっかりしているが能力が弱いタイプ』

これに関してのメリットは、いつも見守ってくれるや仲良くなって楽しく冒険

デメリットは能力自体が弱いので簡単に壊れてしまうのである

二つ目は『力はあるが決まったレスポンスしか返さないけど壊れにくく、強い

『神剣』

特殊な金属や力を持っていることは前提条件として、他の追従を許さぬ程の圧倒的な能力を誇る



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