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占い師と龍と

全員が其々の理由で困惑している時


この問題の大元になった人物はと言うと……


「さあさあ、お待たせ!地龍君入って良いよ!」


……………貴女はまず周りを見ることを覚えようか?


今この場所がどうなってるかを把握して周りの人に声をかけられる程度にならないと貴女いつかとんでもない目にあうよ?


まぁ、かく言う俺もできてはないけど、此処にいる奴らの顔見てみ?


全員安堵したり真っ青だったり、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていたことくらいわかるだろう?


たくっ、ソレくらいわかってくれよ?


と心の中で考えていると


「………あり?もしかし無くてもなんかあった?」


コクリと一回頷いてから苦虫を噛み潰した様な表情をすると『テヘッ』みたいな表情をするので顔面を殴り飛ばしてきたくなってきた


「ああ、コレのせいでそんな大変なことに……君も大変だったね〜」


たくっ他人ごとみたいに言いやがって……元はと言えばお前がこんな意味わからん布を暗幕の垂れ布に使うから全員が興味を持ってソレに苛ついた白が掴んだから起きた事故で…


「お前がこの布についてどう言う物かを説明してくれたらこうはならなかっただろうな……」


そう皮肉めいて言うと


「いやー、ごめんごめん!まぁ、今回は本当にやっちゃったなって思ってるから特別に"副業"二つ取得する機会を君に与えてしんぜようではないか!」


…………………えっと…?


頭の中で意味の反芻を繰り返してゆっくりと相手の言葉の意味を飲み込んでこう言う


「え?何言ってんのお前……そんなことできるのか?」


そう言うと占い師は、その恵まれた胸元を盛大に張りながら


「ふっふっふ、私を誰と心得る?私こそこの国で……」


「あーはいはい、じゃあお願いします」


「ちょっ!?人の話は最後まで聞こうって親に習わなかった!?」


そう言われてもこう言うタイプに自慢をさせると簡単に一時間近くは続きそうだから尺の都合もあるし巻きで


映画監督みたいな気分でそんなことを考えていると


「ちぇっ、わかりましたー、じゃあ今から貴方の副業を決めていきます……準備はいいですか?」


何だろう、一瞬で気配が変わった……そうだな簡単に言うと纏う雰囲気が今まで見せていたおちゃらけていた占い師のソレでは無く完全に仕事に入っている時の大人のソレになった……此方からしてみればまるで今まで目の前にあった山が実は川でしたみたいな状態?


いや、何言ってんだコイツって思うかもしれないがそれ程までに変化が顕著すぎたのだ、もしコイツが先刻までとは全く違う人物だと言われても俺は全然驚きはしないんだよなぁ、コレが


と言うか、副業って一体全体何があるんだろうな?


………うーん、何だろうこの疑問とても大事な奴な気がしてきたし一旦質問するか?


けど…なあ、此処でもし


『準備の邪魔するなぁ!!』って怒られても嫌だしな……けど、このまま悩み続けても嫌だから質問しちゃおう


「あの、副業ってどうやって選択するんですか?もしかして副業一覧から自分で探して選ぶとか?」


副業って幾つあるんですか?と聞いても良かったが、それだけでは他の聞きたいことが聞けなくなってしまうので此処は敢えて他の質問をメインにして、ソレに隠す様に本当に聞きたいことを質問すると


「そうですね……まずは副業の数ですが……コレは実は誰にも把握されていません」


おういきなり驚きの事実が飛んできたな………


と言うか、随分あやふやな言い方をするな……何と言うか確証がないみたいな言い方をしているが、もしかして知っているやつも居るかもしれないってこと?


「そうですね……もしかしたらこの世界を生み出した『混沌』ならば全てを把握することすら簡単なのかもしれませんが………ただの人間である私達に神の御技を模倣することはできたとしても完全に再現することは不可能です」


そう言われても


「不可能?」


そう思わず問い返してしまうが、自分で言っといて愚問だなとわかってしまった


何でか?ソレは……


「ええ、不可能です、何故ならこの世界の神は何よりも尊く、そして強大であるが故に我々に模倣するのを禁じたのです、その為に神の言いつけを破り天罰を下された人類の数は計り知れません」


そう言われると気になってしまうのが人間であるが、命を賭けてまで神様の模倣をしたいとはとてもではないが思わない……まぁこの世界の住人はどうかは知らないけど


「そして、此処からが本題では有りますがこの世界には多種多様な副業があるのでは無く……その人物に特化した副業が幾つもあり、我ら占い師はソレの選別と選択の可能性を広げる『手伝い』と言う認識が世間一般だと常識的です」


なるほど、つまりこの世界には元々副業なる物は存在せず、存在するのはその人物の可能性を広げる副業だけと……なるほど…何と無くは理解してきたが……もし、万が一自分に全く合わない選択肢しかなかった時はどうするのだろうか?


「勿論、自分に合わない職業しかない時もあります、けれどソレもまた運命……やり直すことは不可能です」


うわぁ、不安になれる言葉しか聞こえなーい、多分俺そんなに副業の選択肢なさそうだわ……と言うか副業を自分で選べないって言うことが一番怖い……


「まぁ、余程のことが無ければ副業は十数の数が存在します」


少し安心できる情報がようやく出てきたけども……ソレでも多少の不安は残るよなあ……どうしようかなコレから


まぁ、副業選択は時の運ってことでしょ?要するに


で、コレタイミングをミスったら…


最悪な結末しか見えないんだけど……


「此処で悩まずスパッと決めてしまうのが男だと思うんですが?」


あ、はい逃げるなってことね?わかりましたよやってやらあ!!


そう心の中で気合を入れたのは良いのだが……


此処からどうすん?


「では、気持ちが定まったようなのでコレから副業選択について説明させていただきます」


そう言って枕の上に乗っかった水晶に手を翳すと水晶の中の煙が一瞬で青色に光ったように感じだが瞬きの間に元の色に変わってしまった


「今見たように、この水晶は手を翳した人物によって色や特徴が変わるという性質を内包しており…副業選択の際はコレは必須の道具となっております」


心の中で「へえ」と呟いた、やはり異世界…その人物に合わせて変化する素材があると言うことはそう言う


『その人物によって変化する武器』という面白い武器も存在する可能性があると言うことか……ソレなら刀に変化する可能性もあるかもだ


そう考えていると絶望が投下される


「一応言っときますが、この世界には『人物によって変化する道具』が多種有りますが、ソレはあくまでも内部に限った話です、外部に影響を及ぼす道具というのは絶対数が少ない上にこの世界の道具以外には変化できません、なので貴方が求めいるものにはなり得ないと思いますが?」


おうおう、やっぱりこの世界の住人はデフォで読心術を手に入れてる可能性があるな……そうで無ければ俺の心を悉く読んでいる説明がつかない……いや決して俺が心を読みやすい存在だからとか言う理由では無いはずだ……


そうでは無いと信じたい……そう信じたいんだ!


〈………私は何も言いませんよ…〉


何だろう、時々ノアに凄い馬鹿にされるのは何でだろう?


と言うかコイツ絶対俺のこと尊敬してないよね?だっていっつも


『まーた、コイツよくわかってねーな?仕方ねーな私が特別に教えてやるかあ〜』


みたいに上から目線で此方に物を教えてる…そんな気がしてならないのは何で?


まぁ多分どこと無くそう思ってるのは間違いないだろう、なんせ俺馬鹿だし


「そう……ですか」


何だろう、目の前の人物と心の中のノアにダブルノックアウトされて気絶しそうなほど精神が削られたのは何で?


あー今日はよく疲れるなあ


現実逃避……もとい弁論させて頂くと


まずはまだアザトースとの戦闘や様々な行事の疲れが体に残っている


そしてもう一つは朝から色んなことが起こりすぎて精神力がエグいくらい抉られてる


もし許されるなら此処で寝るぞ?


まぁ流石に節操なさすぎて怒られそうだが………


せめて副業を選ぶまでは寝ないようにしよう、そう考えながら


「じゃあ副業お願いします」


と一言言うと


「わかりました」


そう簡潔な問答で、慣れた手付きで水晶に魔力を送り込んでいく


え?お前アザトースに魔力封印刻印を施されたんじゃないのか?って?


チッチッチ、あのさあ


『魔力封印刻印』と『魔力を感知できない』ってのは全くの別物だよ?


まず魔力封印刻印ってのは魔力の大元魔素と魔素を連結させていき魔力へと変換する……


まぁ、水素と酸素が結合して水分子になることに似てるね


で、魔力封印刻印はこの連結をできなくさせることに特化していて、俺もいまだに封印解除には至れてない、と言うか馬鹿真面目にやってたら数千年はこのままでいられる自信が俺にはある


はぁ、と心の中でため息を吐いてからノアに


魔力封印刻印の解除状況はどうなってる?と問うと


〈いまだに第一層すら突破できていません、コレはアザトースの叡智の結晶と言っても過言ではなく恐らく一千層からなる膨大な魔法結晶と技術結晶で成り立っています、下手に破壊しようとすれば逆に此方が廃人になる可能性もあるので解除には数十年……数百年、早くても数百年はかかると考えて頂いて構いません〉


ノアがこう言うならもうオワタ方式が確実に成り立っているんだよね……全く最悪だよ


はぁ、とため息を吐きながら、こうも考える


魔力感知の部分が封印されなくて良かっと、とも


そもそもそこの世界の住人には魔力感知の術がステータスや能力の他に『技術』としてある


この世界の住人は魔力の発生源である心臓から血管を通して全身に魔力を運び魔法を放ったり身体強化を行なっている


まぁ、新しく魔力の道を作り上げるより既存の道を使ったほうが効率が良いからな


けれど、コレには欠陥が存在する(別に血管だからじゃないよ?)


心臓から魔力を発するとどうしても魔力の隠匿が難しくなってしまう


ソレは何故か?


理由は至ってシンプルである……バレないように魔力で体をコーティングすると魔力が簡単に尽きてしまう上に下手に心臓を魔力で覆ってしまうと心臓が機能停止してしまう可能性があるからだ


そもそも心臓は魔素を生成して血液を流している間に魔素は魔力へと勝手に連結する


しかし心臓は魔力や聖気などに弱く下手に晒されると機能が下がっていき、そして『死』に至る可能性すら残している


けど、逆に心臓は『邪気』に異常な耐性を持っており


邪術を扱う存在は心臓を生贄に様々なモンスターを召喚するので、この世界の住人は火葬や土葬など、どんな葬別をするにしても必ず故人の体から心臓を取り出して灰にする、が、態々心臓だけを取り出すのも死ぬほど怠いので火葬がこの世界のスタンダードだ


と言うか土葬は刑罰に使われる場合が多い


何で?って思う人も多いかもしれないがコレには歴とした理由が確かに存在する


まず土葬というのは、この世界で言う手抜き葬儀である


何でか?簡単な話だ、この世界では心臓を残して葬儀をすると邪術を行う奴らに簡単に心臓を抜き取られて邪術の素体に使われてしまうからだ……


この世界では邪術は敬遠どころか絶対的な禁忌として見られている、勿論邪ソンは数百年、人類の守護者と言う大業を成し遂げたが故に人類から受け入れられているが……ソレ以外の人物は侮蔑と畏怖の対象でしかない、人類を滅びの危機瀕しさせた能力を人類であるのに使っている人物というのはそれだけで怒りと恐怖が湧いてくるのだ、まぁこの話は一旦此処に置いといて


で、土葬がどうしてどうして刑罰になるかと言うと


単に気持ちの問題だ


そもそも土葬になるのは一生を生きただけでは到底罰を贖えない人達が大多数で、たまに今まで生きたこの土地の糧になりたい……と願う人もいるらしい


釈迦が虎の親子に体を捧げたアレに似てるのか?


で、罪人は土葬にされるが横ではなく縦に埋められる


縦だ、足を下にして死んでも立たされて寝かされる


俗に言う


「死んでも寝かしてやらねえ!!死んでも立ったまま寝続けな!」


みたいな状況だ………………せめて死んだあとは灰にされるか横になりたいな………………

できれば縦はやめていただいて………………

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