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怖い布?

……さてと少し話が(かなり恥ずかしい方向に)ズレてしまったが、結局この布は何だ?

そうやって悩んでいると

「別に気になるなら触れ……!!」

…………白って最初期の頃無表情の不思議キャラかと思ったけど意外と表情豊かだし意外と馬鹿だと言うことが最近の調査結果で判明してきた

と言うか見るからにアウトな布に何の躊躇も無く触れる度胸は認めるけど腕を……腕を…吹き飛ばし、て

「おい、お前何やってんだ!音山今すぐ回復の準備を!ノア!俺の能力の恩恵をコイツに流すことは可能か!」

元々能力の隠し立ては得意では無いのであまり気にはしないが、ソレでも自身の能力にする相談を大声でしたことはない、ソレほどコイツらがいつの間にか大事になっているってことか……たくっ、ウザくて仕方ねー奴らなのになあ

〈可能ではありますが個体名『音山』と強力した方が後遺症が残る可能性が限り無く低くなります〉

流石ノア必要な情報を即座にくれ、そして更に最良の案をすぐさま提案できる、コレが敵なら絶望的だが、仲間であると言う事実がとても喜ばしく思える

そしてこの計画を聞いて

「音山!俺がコイツに回復のエネルギーを垂れ流すからソレを制御して腕を治してくれ!」

本来であれば暴食者で傷を喰らって無いことにすれば良いのだが……彼女、白はそんじょそこらの一般人では無いのだ

音山達が居た世界では正しく『最強』の称号を手に入れており、歴代最強とでも言うべき理外の天使の能力

もし暴食者が彼女の内に眠る高エネルギーの塊を喰らい尽くし彼女を殺してしまう可能性すらある

「わ、わかりました……」

そう言って音山は白の隣に座り込んで手を虚空で三角形の形にして此方に聞き取れないほど極々小さい音で『何か』を唱え続ける

そしてその間に白の腕を消し飛ばそうとした布を睨みつけながら

(やっぱりコイツはやるな……腕が吹き飛びそうになった瞬間自分で腕を斬り落とした、もしそのまま腕を布に押し当ててたら……恐らく闇が体内に侵入してきて体を壊してた……全く一体全体この不気味な布は何なんだ?)

全く安心できない状況下で考えできるほど甘く無い状況と言うことは確かにわかっているのだが、どうしても考えてしまうが、一瞬思考を鈍らせてしまったからと言って特に問題は無いが、一瞬、ほんの一瞬見せてはならない『緩み』を見せてしまった……

コレを後に後悔することになるのだが今の俺はまだ知る由もない

「よし、何とか佳境は超えたな……」

肩で息をしながら何とか終えたと言う安堵感の元、強張っていた体の力を一気に抜く

人が死にそうになる場面と言うのに遭遇するのは実は初めてではなかろうか?

確かに白露やファブニールなども死にかけてはいたがアレは死にかけ方のベクトルが違う

言うなれば純粋な悪意のもと故意に起こされた事件で人死にが出そうになったと言うのは

コレがもしあの占い師の策略ならケジメ案件である

そしてもう一つ問題がある

「おい、音山!」

そう言って安心しきって体から力を抜いて白の手を握っていた音山は思わずと言った風に手を後ろに回して

「な、な!何!」

と慌てすぎて碌に呂律が回らない状態で喋りかけて来てるのでクスクス笑いながら

「いや別にそんな警戒しなくても良いぞ?」

と言外に体の力を抜けと言うと、ソレを理解したのかどうかはわからないが、落ち着いた雰囲気を取り戻した

「で、で、何の用なの?」

そう、音山が問うと鈴山が眼光鋭く此方を睨んでくる、恐らくアイツは今でも俺のことは完全に信頼できてないんじゃないかな?

まぁ、俺もコイツらを今の段階で100%信頼して背中を預けられるか?と問われると微妙なラインに立たされるのが事実だ

ここ最近でコイツらの人となりはソレとなく理解したし、共感もできる、けどお互いの命を預けるには少々時期尚早すぎる……と言うのが俺の見解だ、勿論ソレしか道がない時は迷わず背中を預けられるが早々そうなることも簡単には想像できない

そして、鈴山はかなりの慎重派だ、何よりも音山達を守ることに重点を置いており、まるで過去の贖罪をしていると言われても納得が行くほど過保護にあの二人を保護して、一定のラインから飛び出させようとしない

最悪自分が汚れ役を買うことも厭わないと言うか雰囲気すら滲ませているのだから、その覚悟は本物だろう

……少し長くなったな…結局何が言いたいのかと言うと『お前…俺はまだお前を完全に信頼してない、もしコイツらに何かをしようとするならブチゴロスゾ?』

って言うやばい雰囲気を全開にしながら此方を睨んでいる鈴山の視線は…ソレこそ下手な刃物の数倍痛い

まぁ今回は音山の為になることだから言っておこう

「あれさ、お前自分の能力何だと思ってる?」

最初は敢えて遠回しに、かつソレを意識させる様に誘導することを意識する、此処で下手に刺激しすぎると鈴山のSEC◯Mが発動してしまうので、そこら辺はギリギリを見極めるべし

「?……えっと人を炎で包んで相手の体の再生能力を向上させたり、傷を塞いで再生したり…とか?」

そう何処か困惑気味に返してくるので、一応は此方の考えは伝わっている様だ、なら此処からが大変だぞ

「そう、炎、お前の能力は炎の回復能力だと、俺も思ってた……けどソレは誤解であった」

そう言うと鈴山は俺が言わんとしていることにいち早く気づいて此方に視線を飛ばしてくるので一回ゆっくり頷き返してから

「お前の能力は『大地の恩恵を顕現すること』決して炎で人を回復するって言う能力じゃない」

そう言うと音山本人はあまりピンと来てない様な顔をしているので

「何がわからない?」

そう言うと、音山は一瞬悩む素振りを見せ、そして自信満々に

「ごめんなさい、俺の能力とどう違うのか説明してください!」

恐らくこうだと思った、どうしてわかったかって?そりゃあ自分の胸に手を当てて考えてみろ?自分が今まで頑張って努力して来た能力が実は全く違うものだと言われたら?そりゃあ誰でも混乱する俺も混乱する……いや、現在進行形でしている何せこの考察に至ったのが俺では無く【ノア】だからな

______〈主様一つご報告したいことが〉

「まず、俺がこの可能性に至った理由についてだが…」

つい先刻【ノア】に言われるまで想像すらしなかった事象について今まさに俺が話していると勘違いさせるためにロールプレイングする

俺は今この瞬間だけは

何処か抜けていて時々根性を見せて、そして偶に鋭いことを言う役を果たす

______〈先刻、個体名『音山』が能力を使った瞬間、今まで疑念に思っていた仮説が線となり、そして一つの答えに至りました〉

「まず俺はお前が能力をしっかりと使った所をこの目で見たことは無かった、けど先刻までずっと喉の奥に引っかかっていたことがあったんだ」

此処は俺のオリジナルで本心も含める

「何故か俺と近しい気配をお前から感じるんだ」

音山と鈴山が同時に息を呑む、よしペースを掴めて来てる、このまましっかりペースを握ってっと

「まず俺はお前が俺と同じ地龍なのでは?と言う考察を打ち立てた、けどその考察はすぐに打ち捨てられた、何故かわかるか?」

そう鈴山に教師の様に投げかける

「………俺達はこの世界とは全く関係のない、全く別の理で動く世界だからだ」

よし、理想的な答えが出て来たぞ

「そう、お前らの世界は『穢れ』や『祓え式』って言う摩訶不思議な理が存在する世界ではあるが……残念ながらこの世界とは別系統のルールで動く世界だ、此処で【音山地龍疑惑】は完全に潰えた、と言っても良いだろう、けどさ、こうなると次なる問題が噴出する」

今度は音山に手を向ける

「え?あ、何で近しい気配を感じる…か?」

困惑しているが、元来コイツも頭は回る方らしい

「そう!けどさ、此処で問題なのは『この世界とは全く違う理で生活していた』そして、闘技場に来るまで『お前らはこの世界を知らなかった』この二つがとてもネックだ、俺単純に俺の気のせいだと思い込むことにした……けど今日お前の能力を見て疑惑は仮説へ仮説は確信へと至った……」

そうして、大仰に音山と鈴山に手を向けてから

「どうしてだ?」

そうすると鈴山は完全に沈黙して音山は何か引っかかってそうな顔をしているがまだ出て来てない風である

「……貴方が地龍だから……違う?」

そこで助け船が出て来た、今まで眠っていた……いつから起きていたのかは全くわからんが白は何処からか聞いて音山達より更に早く答えに辿り着いた、いやはや脳筋かと思ってたが思いの外理知的じゃないか

「そう、そうだ!俺は地龍で尚且つ【ガイアの申し子】と言うスキルを持っている、以前邪ソンはこう言った

『古龍種は邪神との戦いで力の殆どを失い絶滅の危機に瀕した』と、そして、古龍達のほとんどはファブニールの結界で守護されているはずだ!ならば古龍種たる俺がどうしてあの場で産まれていた?そう、ソレこそが今回の話の肝だ!」

出来るだけ引き込む様に、そして俺が台本通りに動いてることを悟られてはならない

「まさか……」

と白が僅かに溢したのを皮切りに他の二人も俺が言わんとしていることを察して答えに辿り着いた

「そう、確かに……地龍は古龍種ではある……けどソレ以前に大地の使徒である俺達は大地から生まれる、ソレこそ神の……ガイアの体からな」

そう、コレなら俺がガイアの申し子とマーリンを持っている理由を説明できる

恐らくだがガイアの申し子は、ガイアの体から生まれる地龍の一定数に与えられるスキルで、マーリンは転生者で尚且つ地龍として生まれた特典?であるとは思う、けどコレに関してはマジで謎でしかないために全てを説明できる様になるのはま…まだまだ先になるかもしれない

そして此処まで言えば奴等もわかるだろう

「ガイアの体から生まれた俺は大地の波動を他者より鋭敏に、そして確実に感じるとることができる……だから魔力が封印されようが大地魔法はそれまで通り扱えた、そう地龍だからな、そして音山、お前の本当の能力も感じ取れた……コレが答えだ……そして俺の誠意だ」

最後の言葉には

『コレから仲間になるならコレくらいの情報は簡単に明かしてやる』という含みを持たせている、コレに気づかない鈴山じゃあ…ん?

「ねぇ、じゃあ、俺も戦えるの!?」

そう音山が半泣きで縋りついて来たのだ………うーん?

「此処からは俺の単なる憶測だけど話して良いか?」

と後ろの二人にも向けて声を放つと二人とも同時に頷き返した、たくっ、コイツら仲間の音山のことになると随分ガードが緩いな……

「多分だけど、大地の恩恵……つまり今までお前が使っていたのは火が齎した様々な恩恵を『回復』と言う形で顕現させていたんだろう……けど、大地にある炎は祝福だけでは無く災禍を齎す物や絶望を齎す物も数多くある、ソレにコレは炎に注目した場合のみの話であって大地には他にも様々な物が跋扈しているから……お前が全ての能力を引き出せた暁には其処の二人を超える逸材になるんじゃねーか?お前白と一緒に穢れを祓う瞬間まで立ち会ったんだろう?一級品の戦闘記憶は幾億幾千とあるだろう?」

そう、コレはあくまで憶測尚且つ仮説であるが……

限りなく答えに近い仮説だと俺は確信している

何でか?そりゃあ俺が今まで肌で危険を感じ取っていた存在は……お前だからだよ音山…

いや、まさかあの布が周りの存在を引き立てる能力を有しているとは思わなかった……ソレに鑑定が弾かれたのは【ノア】の奴が周りを警戒しすぎで鑑定の精度を著しく下げてしまったせいで、落ち着いてもう一回鑑定してみた結果、簡単に内容を見ることができた

そして記憶を完全再現してから白が腕を布に触れた瞬間をよく見てみた結果

『白の腕は内部から破裂していた』

コレが重要だと言うことは俺でもわかった、俺は最初白は外から攻撃された結果腕を吹き飛ばされたと勘違いしていた

もし外から攻撃されてああなったのなら、白の異常なまでの防御力をいとも容易く突破する能力があの布にあると言うことだ、そしてソレを持つアイツは……と警戒してしまうが

コレが自爆だとするなら話別だ

少し離れた距離でも音山の能力を際立たせ、俺に警戒心を抱かせる代物だ、もしセンスと戦闘能力特化の塊である白が触れた瞬間どうなるか?

簡単だ暴れ回る自身の能力で自爆してしまう

たくっ、何でこんな簡単なことに俺も白も鈴山も音山も気付けないなんてな……

全く久しぶりに本気で恥ずかしくなって来たよ

………あれ?副業は?

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