異世界人にトラブルは必定
マジでバレるのはやすぎん?
何か言い訳を考えなければと焦れば焦るほど言葉喉から遠ざかっていき僅かに呻くように声が絞り出されるだけだ
そしてなんとか声を絞り出そうとすると
「ああ、言いたくなければ言わなくて結構だよ、そもそもプライベートに口を突っ込むなんて野暮なことはしませんよ」
そう言って柔和な笑みを浮かべるダンディなおじさんの顔を見て一気に肩の力が抜ける
久々に根こそぎ精神力が持ってかれたわ
たくっ、この人勘良すぎだろ……ソレも異常なまでに鑑定してみるか?いや、下手に鑑定して敵対行動と見做されて此処にいる三人は論外として蒼に迷惑をかけるのは些か問題ありだな
元々コイツには迷惑掛けすぎてる節があるだからせめて問題行動を起こしたくないんだが…この世界の常識を測り兼ねてるのが現状だ
恐らく傀儡の世界線と同じであると睨んでいるが時々よくわからん祈りを捧げる謎集団をチラホラ見かけるため、もしかしたら何時迄も拭えない
結局今も何が正しい行動なのかと言うのを測り兼ねてるのが悩むのが一番正しいのでないか?と思ってしまう自分を歯痒く思うだけで行動を起こせていない、本当に自分が情けないよ
そしてそうやって悩んでいると
「もしかして私のステータスが気になりますか?」
ビクッと体を僅かに震わせてしまった
まただ、此方の考えを見透かすようにピンポイントで当ててくるしかも此方が一番嫌なタイミングに…スキルを使われた気配はしない
何故断言できるかと言うと、俺の【ノア】はスキルや魔法を発動されると完璧に察知できるのでスキルや魔法の不意打ちを防ぐことができる、が、今回はソレが発動してないと言うことは素で此方の考えを見抜いて言い当ててると言う恐怖の事実が浮かび上がってくる
全くやりにくいったらありゃしない
そう珍しく降参気味の思考を展開していると
「では、鑑定していいですよ?」
デフォルトで鑑定持ってるの当ててくるなんてこえーわ、やっぱ見た目がダンディなおっさんでも異世界だと油断ならねえ御仁なんだなと感じてしまう、まぁムカつくから一矢報いる為に全力で鑑定するけど
種族名:人族種
名称:グランツ・クロウ Lv.126
Status Point
HP:72000
VIT:7500
ST 10000
AGI
瞬間的:12000
継続的:5670
MND:36543
MEN:14097
MP :126780
HIT:100
INT:234098
DEX:error
STR :23456
LUK:236
スキル
【天照の担い手】
服を作る際に神聖をどれだけ込めるか、粗悪にするか、品質を良くするか自身で決められる
【心眼・神眼・輪廻眼】
人の本質を見抜く眼、相手が邪悪か善良か見抜くことができ能力を見抜くことができる
転生者や特殊な出生を見抜くこともできる
近い未来を予知することも可能
【神に授けられし糸】
糸を扱う際絶対的なアドバンテージを手に入れることができる
【魔導の極地】
魔法・魔術の極地に至れた人物に贈られる称号
効果 魔法を扱う際絶対的な補正が入る
【神の宣告】
自身に訪れる危機や転機を神に宣告してもらえる
【隠蔽者】
スキルやレベル全てを完全に遮断できる
skill point,6300
ッッ!!強い!果てしなく強い!俺なんかソレこそ舐めプしても三回は殺される勢いで強い!
どんだけ力を隠してんだこの爺さんは?
こんな老獪絶対服飾より前線にいた方が良いだろう…
と言うかレベルとスキルポイント偽ってるだろコイツ…隠蔽者を隠す気もなく見せやがって完全に舐めてるのか?
いや、敢えて見せたという捉えることも案外できなくもないのか?
この人は敢えて俺に能力を晒すことで俺に何かをして欲しいのか?
ん?そういや他の奴らとは少し違うところが…あ、この人『格名』がねえ!
勿体無い……『格名』があったらもっと強くなれるのに……いや、逆か
『格名』をつけてもらう前から強すぎたからつけれる人がいなくなったって話か?
そう考えれば格名が存在しない理由にも納得ができる、けどソレがなんの理由になる?
もしコレが事件絡みなら他に何か言ってもらわないとヒントにならないし
俺に格名をつけて欲しいってなら俺は完全に実力不足のペーペーだ、色々とおかしくないか?
けどコレしか考えられんし………
えーい、どうなっても知らんぞ!
「ねぇ、グランツさん?」
思考を一時的に遮断して採寸をしているグランツに質問をする体を装いこう言う
「俺が授けようか?」
一見すると何言ってんだコイツ?と思われるかもしれないが『格名』を授けると言う法則があるこの世界ではコレは複雑な意味を持つ
ただ単純に『格名』を授けると言う意味合いと名前をやるから下につけ、力をつけろ
意味合いが本当に千差万別に捉えられる
俺の授けると言う言葉には
『授けてやるから服を無料にしてくれね?』
と言うおかしな意味合いが含まれているがソレでも服まで蒼に持ってもらうのは些か俺の良心にクリティカルヒットしすぎる
そして考えれば考えるほど迷惑をかけたなと良心の呵責が起きるので此処らでどうにか恩を返せないかと、できなくてもどうにか感謝を伝える術がないかなと考えた時に、この人に名前を授けて強くして能力値が大幅に上がれば結果ソレは蒼に還元されるのではないか?と考えて言ってみたら
「ふむ、出来るのですか?」
試すような目つきで此方をみながらテーブルに置いてある糸を摘み上げる
この行動はスキルを見てない人からしたらただ単に糸を持ち上げたと言う不可思議な行動に移るかもしれないが俺からしてみれば恐怖を湧き上がらせる最悪な行動だ彼ほどの達人であればスキルの効果で糸を仕事の飯に出来るほどの服飾になれるが糸を操れると言うことは締め殺すことも勿論可能と言うことだ
しかし、彼は自分の仕事に『信念』と『誇り』を持つタイプであろうからそう言うことは無いと信じたい
しかも彼は何故か隠蔽者で隠していたと思われる威圧系スキルを此方に惜しげもなく使用している
そのせいでアザトースの時ほどでは無いがかなりの緊張感が此方にもたらされている
いや、此方の方が幾分かやばいかもしれない
アザトースは言うならば多趣味のメンヘラ
一つに熱中するのは速いが同時に冷めるのも速い
しかし此方は完全にねっとり纏わ立いてくるタイプのメンヘラで一度標的にされたらソレこそ息途絶えるその瞬間まで虎視眈々と此方を狙ってくるだろう
部類としてはこっちの方がかなりめんどい
と言うか関わりを全力で遠慮する部類だ
まぁ逃げようと思えば方法がないわけでは無いが
此処でこの人相手から逃げる?
ははっ、無理だあ
時に人はやる前から諦めるなと言う
けれどソレは時と場合による、確かに最低限の悪あがきは出来るであろう、けれどこの人とこの場所でソレを叶えようとした場合……この地にどれだけ馴染んでいるかがミソになる
今日この地に来て全く土地勘のない俺は勿論交番みたいな場所は知らないしギルドの場所も知らない、なんらならどこに何があるのか全く把握していない、と言うかマイ◯ラの歩いたら広がる地図欲しいアレあったら今まで来た道を記憶しないでも普通に大丈夫だろ、まぁ、男性脳は人に言われたことを忘れやすい傾向がある代わりに地形把握能力が高いって言われているはずなのにな…
うーん、自分で言っといてなんか悲しくなってきたわ
まぁ他にも問題がある
もしこの人と戦う羽目になると、俺がこの人を仕留めきれずに逃してしまった場合社会的にそして物理的に殺される可能性が大である
何故かって?信頼度が段違いだからだよ
恐らくこの人かなりの期間此処で店を構えて信頼されている、そうでなければ蒼が此処を行きつけにするはずない
なら一撃で殺せば良いのでないか?と言われても一撃で殺せる自信は皆無であるし、ソレに避けられる未来しか見えない、と言うか未来視相手持ってるし、どこぞの主人公みたいに
『未来を超えて勝ってやる!!』
みたいな痛いセリフは死んでも吐き捨てられない
と言うか言った瞬間終わる
と言うわけでやる前から負ける気満々ですわ
まぁ、タダでこの命くれてやるつもりは毛頭ないけどな
そう思ってアザトースから拝借した二振りの短刀をゆっくり空間収納から引き出そうと決意した瞬間に
「ふふっ、やはり予言の通りであったな……まだ青く、若く、そしてよく考えている……君になら残りの余生を預けてみるのも一興かもしれないね。」
………………一瞬何を言われたのか理解できなかった、と言うか脳が理解する前にオーバーヒート気味だったのも影響はしているのかもしれない
そして戦闘であれば完全なる隙ではあるが数秒の逡巡の後
電光が頭の中を駆け抜けて全てを理解した
「もしかしてアンタ俺が来ることを知ってて敢えて怖がるような事言ったり、混乱すること言ったり鑑定させて名無しってことを確認させて名付けをさせようとかしてたのか!?」
そう半狂乱になりながら一気に詰め寄って相手にそう問うと
「ああ」
いっそ清々しいまでの宣言にこめかみをピクピクさせながら噴火寸秒前で止まったことを誰か褒めて欲しい
だってこちとら死ぬことすら一瞬覚悟したのに実は俺の何かを確かめるためだけの猿芝居だったって急に言われて混乱しないやつ居るかぁ?
と言うか本当にブチギレ寸前案件なんだけど…
あーあ、なんだろう急にやる気がなくなってきた……
ドスンと大きな音を立てながら椅子に深く腰掛ける
「なんで俺に猿芝居なんてしたの?」
答えが分かりきった質問を敢えてすると
「答えは既にお分かりなのでは?」
と完全におちょくられてると分かっていながらソレ以外の行動をできない自分に苛立ちを覚えながら
「【神の宣告】…か」
そう呟くとグランツが満足そうな顔で一回頷く
そうこのオッサンは何時から俺のことを認知していたのかは知らないが、スキル【神の宣告】で俺が此処に来る日を予知して俺のことを待ち伏せすると言う嫌らしい戦法を取ったのだ、だが不思議思うこともなくはない
「どうして貴方が生まれた時に行かなかったのか?ソレはですね私が宣告されるのは私に関連する未来だけなのですよ、ですから私と貴方がまだ出会う前だと予知が出来ないのがこのスキルの難点でもありますね」
自分のスキルの弱点もしっかりと理解している分、より害悪だな……もう関わってしまった手前今後一切関わりを持たないことは殆ど不可能である、なんせ相手が此方のことを追いかけてくれば自ずと未来もソレに関連した未来になっていき何処でもかしこでもイタチごっこが起きてしまうと言う魔のスパイラルが出来上がってしまうのだ
だから逃げるか殺すかと言う極端な思想になってしまうのだが……
「一つ質問する」
なるべく隙を見せないように簡潔に尚且つ分かりやすように質問をする
「どうぞ、なんでもお聞きください」
と嬉しそうに聞いてくるので一瞬警戒心を抱いたが完全に手遅れであると逆に諦めの境地に至り
「お前は俺に格名を授けさせて何がしたいんだ?」
自分で言った手前、名前は与える、がそこから一体何を成そうとしているのかソレを理解しないともしかしたら俺は化け物を世に解き放つ羽目になって最終的に首と胴体が泣き別れになる上にとんでもない辱めを受ける羽目になるかもしれない……『格名』を与える与えないだけでとんでもない気力を使っているのはなんでだろう?
「世界征服♪」
んな!?と思わず口から溢さなかった俺を誰か褒めくれ……一瞬僅かに楽しげな笑顔を浮かべたかと思うと一瞬でとんでもないことを言い出した……やはりコイツは、
「と言うのは冗談で……本当は私が使えるに相応しい主人を探していたのです」
一瞬驚きはしたが異世界では自分の店を持つだけではなく誰かの庇護下入ることもとても重要な案件ではあるのかも知れない、なら
「勿論貴方が今はなんの権力を持たないのは勿論知っています…が私は未来が見える上に貴方の性格にとことん惚れ込んでしまいましてな……貴方は何かと騒動に巻き込まれやすい人ですから仲間は大いに越したことはないのではありませんか?」
言ってくれるなあ、俺がこれからどれだけ騒動に巻き込まれるのか一瞬で想像がついてしまった……と言うか完全にヤバいよね?
俺もしかしたら未来変わって◯んどる可能性すら浮上してきたぞ…
こりゃあ強く……けどなあ
まず地龍は強くなろうとしてもほぼ無駄だろうし
と言うか傀儡の知識は二の次くらいに頼りにしないと…
何でかって?だってこの世界全然傀儡世界と違うもん!
蒼なんていないしグランツなんていないしクイーンズブレイドなんて知らないし、鈴山、音山、白なんて聞いたこともないし、ファブニールだってもっと違うところで出てきてるし、あとアザトースとリュエルと変な武人みたいな人誰あれ?
マジで知らないことだらけで知っている人の方が多いが知らないことや、人、展開が続々過ぎて頭痛がしてくる、と言うか疲れた…
俺の人生どうなっちゃうの?
頑張ってね!
私は君に困難を授けるから!
『いらねーよ!』




