困難は割とポンポン出現する
「さーて、かのシンソ様と武術王が何故このような場所に?」
警戒心を孕んだ声で鷹揚に質問すると
「え?恩人様の手助けをしようと思ってこっちに来たんだけど覚醒者が居るとは流石に思わなかったからねー、まぁ、流石にヤバいでしょ?とっとと帰ってくれない?」
完全に面倒臭いと言う風に戦いを避けようとするのが完全に丸わかりであったがソレでも戦いは避けたいところであった
しかし、そんな思い虚しく
「ふむ、エサを此処で逃す道理がどこにある?」
確かにと思うと同時に微細な違和感を感じた
(なんだ……この違和感)
「ふむ、私達を見て逃げないところを見るに愚かとしか言いようがありませんね。」
ん?なんかこっちも違和感が……あ
口の開き方と発音の仕方が違う
なになに
(コイツの違和感に気づきましたか?)か
じゃあ
「そうだね、もしかしなくても大愚かと言いようがないねえ」
(コイツ存在が時々ブレてない?)
「全くそんな奴を私達が足止めしなければならないなど甚だ遺憾ですね」
(そうですね、まるでコレが本体ではないような…)
「たくっ、さっさとアンタを倒してアッチに加勢に行かせてもらうよ」
(どっちにしろ倒せばわかる)
武術王とは通り名であり彼女の力を正しく表した名である彼女は魔法が苦手であると同時に古龍の最上級種族である極大神龍に武術だけでいたり、彼女と戦える存在はこの世界だと極々限られた人物になる
しかし、目の前の相手は彼女の実力を持ってしても警戒をしなければ一撃で沈められてしまうほどであった
彼は元々この世界を生み出した混沌の第一配下の手下であったのだが
力を持たずして途轍もない技量、思考を持っていた為に万能錬成の能力を与えられた人物であり
万能錬成を与えられた影響か本人の了承なしに謎のシ人という種族に進化して擬似的な不老不死になる
そして、かれ気の遠くなる時間をかけて
『虚数』を解読し【虚数定理】を完全に我が物する
その二人が今睨み合いを続けている
最初に動いたのは武術王
予備動作を無くす独特の歩法を用いながら足を狙い下段に蹴りを繰り出すが
アザトースは軽やかに空中に飛び避けながら顔面に蹴りを繰り出そうとすると
地面につけられていた腕を器用に拳の前に持っていき流れるような動作で受け流す
空中に忘れ去られたように浮かされた足をさながら獲物を狙う蛇の様に動かしながら首の所まで不規則に動かしながら締め殺そうとすると
「ガン!!」
不可視の何かに防がれる
一瞬の逡巡の上拳で壊すことを決断両足に力を込めて軸を作り腰・肩・拳に流暢に力を流し込み
「『絶焉』」
一瞬の黒光の後酷く呆気なく不可視の壁破壊される
「……!?」
コレもさしものアザトースも驚くしかなく流れる様に放たれた拳を無防備に受け取ってしまう
「…………」
そして、武術王はというと拳を振り抜いた格好のまま僅かに固まって自身の拳を開いたり閉じたりを繰り返して、殴るモーションをすると、ソレによって巻き起こされる暴風で辺りが凶刃の風によって切り裂かれる
そう、コレが起こってない時点で
「全く、アイツは相当曲者だね。」
全く同じ見解に至ったという風にゆっくりとした足取りで此方に歩いてくる人物に渋々という感じで同意を示す
大量の粉塵が舞う中まるで
『お前は一体何をした?』という風な悠然な態度で此方に歩を進めてくる相手に確かに畏怖を覚えながら中段の構えを取る
しかし
「貴様は『武術』に関しては私が知る限り最強だ……しかし、それだけでは酷くつまらん」
顔を覆い隠す様に手の影が顔に落とされあと寸秒で地面に頭部を埋められる、そう考えて腕を隙間に滑り込まそうとすると
シュンという風切り音と共にアザトースが吹き飛ぶ
「え?」
一瞬何が起こったのか理解しきれずに硬直してしまったがすぐに周りを見ると犯人はすぐにわかった
片足を軸にしてもう片方の足を中くらいに浮かせながら腕を不安定に構えている人物がいるので否応無しにもわかった
すると
「やはり貴様は論外だな」
酷く嬉しそうにしながら先刻よりもさらに強大に魔力を迸らせながら此方にむかってくる
「ふん、貴方に褒められてもナーンも嬉しくないんですけど、もし楽しくて満たされたなら早々に帰ってくれない?」
嫌々戦ってる体を完全に崩さずというか、本当に帰って欲しいのかコレ?
「何を言う、楽しくなるのはコレからだろう?」
本当に、そう、本当に楽しそうに笑みを浮かべながら一本の刀を取り出す、そしてソレを上段に構えながら『受け』の構えを取るので軽く衝撃に襲われる
彼はどちらかと言うと『攻め』の型だと思っていたからである
「はぁ……アンタにはコレで十分でしょ」
そう一言溜息と共に吐き出すと指の先にあり得ないほどの魔力が集結し始める
大丈夫だとはわかってはいるが本能的に腕を顔の前に出して防御形態に移行していた
そして、結果的にコレは正解であった
彼女の『絶焉』は外界に出現した瞬間にその圧倒的なまでの暴力的な魔力で近くの物を巻き込みながらアザトースを喰らわんとしていた
そして、アザトースは同じ『絶焉』で迎え撃ち
相殺した
「チッ……」
舌打ちをしながら次なる手を考える為にシンソと呼ばれた彼女は距離を取る
そしてアザトースは彼我の実力差を冷静に分析しているのか動こうとしてない
そう、ある意味の膠着状態が完成してしまったのだ
そしてお互いに手を出せなくなった戦場の横で此方もまた別の理由で動けなくなってる人物がいた
「え、ファブニールを食ったの?」
いきなりすぎてわからなかったと言う風に問うてくるので一回了承の意味で頷き
「コイツ呪印を掛けられてたぽいっから一旦能力で喰らって呪印を解こうかと」
「「え?」」
「いや、二人して驚かなくて良いじゃん…」
自分の考えを言ったら二人に信じられない物を見たと言う顔をされた解せん
と、思っていたら
「ドッ!!」
体の奥底から湧き上がる狂気的なまでの魔力と情報がオーバーヒートのし過ぎで脳の処理が追いつかず機能停止にまで追いやられそうになるが
「ドン!!」
思い切り地面を踏み抜く動作をして何とか耐え切る
取り敢えず情報は【世界…ノア】に回そう
で、湧き上がる魔力の正体は?
探ろうと自身の胸に手を置いて探ろうとするとさほど時間は掛からなかった
「なるほど、コレはやりたがらないはずだ」
そう思わず呟くのも当然だ
この世界での解呪等々はまず最初に結界や封印魔法を理解して一番最後に結ばれた魔力の結合部分を順々に解いていき、一回のミスなくやらなければ二度と封印は解けないし酷い時には自分まで封印されてしまうのだ
と【ノア】が告げてきた
ノア曰くこの結界はずいぶん古い型に見えるがこの世で最も新しいとされる結界の数倍の耐久性と継続力を備えており
数万から数千万の結合部分が存在しており解呪への道のりは遠いどころか太陽と地球くらい離れていた
本当は今すぐにでも放り投げたい気分だが
一度やると言ったことを放り投げるのはポリシーに反する
だから本気でやりますか
そう思って手を伸ばす
後にこのことを仲間に話すと
「お前は怖い物知らずか?」
呆れたように、馬鹿に向ける目を此方に向けてくるのだ
あっれぇ〜〜?
そして目を閉じながらゆっくりゆっくり、正確に、間違いなく解いていく
この時俺は知らなかった本来であればこう言う封印は一度でも間違えれば二度と開けることはできないのだ
ソレを考慮した時この瞬間躊躇なくアクセル全開で解除に傾倒したのは幸運であった
(あ、なんかコレゲームみたいでおもろいな)
そう思ってどんどん結合部分を解除していくと
(あ、姿見えてきた)
ふっふっふっ、自分の才能が末恐ろしいよ
(うーん、こっから少しむずいな何だろう制作者の悪意と悪戯心を感じる…)
そう感じるのは本来縦横無尽に張り巡らされている結合部分が縦一列に並べ尽くされやりづらいところだ
(全く他のを触らないようにゆっくりゆっくり)
内心滂沱の汗を流しながら全力で集中する
(ん?なんか一瞬光ったような?)
あ、と思わず現実で声を出していた時にはレーザービームをくらい頭部を顔をあげすぎて無くなっても動くアン◯ンマンみたいになって
「うぇ!?」
「ふぇ!?」
二人が同時に驚くのをガン無視して
「たくっ…最後の結合部分を外したら回避不能のレーザービームを放つなんて趣味悪いぜ」
頭部をグチュグチュと気持ち悪い音を立てながら再生させながら一番奥底にある強く脆い魂を救出
そして、ソレに魂の力を躊躇なく注ぎ込む
助ける決めたなら躊躇するな
ポリシーというわけではないが中途半端に助けるのは嫌いだ
まぁ、そんなに強くないから守れるわけでもないし、何でもかんでも助けられるわけではない
「……よしっ、取り敢えず危険な所は抜けたぞ」
言うつもりはなかったが思わず…と言った風に口からこぼれてしまう
「よかった、じゃあ依代が必要か?」
今まさにどうしようかなと悩んでいたことをドンピシャで告げてくるのでエスパーか?と問いたくなるのをグッと堪えて
「じゃあ、よろしく今此処動けないから」
完全に丸投げすると
「別に人である必要性はありませんよね?」
コイツは何を言ってるのかな?
「人形の方が…」
良いのでは?と問おうとすると
「別に元々ドラゴンなのだから猪に入れようが何に入れようが文句ないとは思いますが?」
辛辣……この子辛辣
俺なら猪は嫌だよ?そう考えながら溜息を吐いてから
「せめて何に入れようとしているか、ソレは教えてくれない?」
せめてコレだけは聞いておこうと考えて何が出されるか怖くなりながらも質問すると
「ふっふっふっ、コレです!!」
無駄に尺を取りながら地面に手を突っ込んだかと思うと
「ゴゴゴゴゴゴゴ」
一瞬地震かと勘違いしてしまったが…違う
コレは地響きだコイツが魔法で何かを引っ張ってきている何かが地面と擦れ崩しているのだ
「……よし、コレです!!」
コイツは馬鹿だ地下からジャガーノートの遺骸を引っ張ってきやがった!!
いやさ、確かにお前に入れたジャガーノートの魂の波長に近いソレを探せば見つかるかもよ?
でもさあ、地下深くにある遺骸を引っ張ってくるなんて暇人か墓荒らしよ?
と言うかコレに入れるのか?
コレに入れたらアレが出てきそうです怖いんだが
コイツの見た目は四足歩行のワニの化石の様な格好である
此処まで言ったら私が何が出てきそうで怖いかわかる人はわかる筈だ
…多分
「いいから魂入れましょうよ!!」
このポジティブさは何処から来たのかな?
「うーーん…」
手の中で魂を転がしてると
「えい!」
「あ…」
あ…心の声と現実の声が重なってしまうほどに衝撃に襲われたのである
コイツやりやがった!
俺が躊躇ってるのに苛ついて自分で魂入れやがった!!
「ぐ……ぐ…ぎ、わ、我が、主よ」
うん、骨が周りの骨を寄せ集めて立っている光景
うん、ブルッ◯や漫画、ラノベキャラなら平気だけど、リアルでやられると骨の掠れ音や姿がホラーすぎる
と言うかコイツどうやって声出してるんだ?
怖くなって声帯の観察に移行しようと考えていると
「わ、私に『格名』を授…けて…はくれ、ませんか?」
ん?何じゃそりゃあ、名がついてることは名付けに近いイメージで良いのかな?と言うか俺が名付け親で良いのか?
「じゃあ、ノースで」
この、騒乱に塗れまくったこの日で後悔していることはコイツに何も考えずに名付けをしてしまったこと
もう一つは…
「ブゥン」
僅かなハウリング音が響いたと思うと三つの物体が重なりながら
絶賛理外の戦闘繰り広げている場所に落ちそうになるので大地魔法でキャッチしようと地面から槍を創造して飛ばしてキャッチしようとすると
「「邪魔!!」」
味方と敵両方に障害物扱い……
しかも衝撃波で三つの物体もとい人影が遥か彼方に飛び去って言ったけど?
(あの三人大丈夫?)
心の中で心配気に考えると
〈恐らく何もしないで落ちた場合絶対死にます、今のところ目覚める気配が致しません〉
……おわた
「ウオオオオオオオオオ!!」
うん、此処は一体幾つの事件を巻き起こせば気が済むのかな?
そう呆れ果てながら後ろを見るとノースと名付けた骨が龍人に進化を果たしていた
おいおい、流石に神速すぎるぜ?
「主よもしよろしければ私が空に行って取ってきましょうか?」
………正直かなり魅力的すぎる
けれど
「お前は進化を果たしたばかりだ、つまり、かなりきつい状況だろう?そこで休んでろ」
そう言うと、何とも言えない顔でどうしたら良いのか迷ってる、あー、こう言うのはあまり得意じゃないんだけどなー
「お前にはいつか別の役割を与えてやる今はしっかり休め、ソレが今の命令だ。」
そう言うと
「はい!」
こう言うやつは扱いやすいけど難しいんだよねー普段付き合いが
さてと、此処からどうするか…
まさか地面を大隆起させて落下時の衝撃を緩和させようとしたらここら辺一体を破壊されそうな気しかしない
特にチャイナ服の彼女とアザトースには警戒しないとな
ん?なんか今度は武器の生成……あれ?射程こっちも含まれてない?
「全員伏せろおお!!」
そう叫んで地面を液状化して地面にダイブする
すると頭の数ミリ上をスレスレに短剣が飛び越えいく
(こえー!!)
そう考えながら地面の奥深くに沈み込みながら壁に二つ浅く突き刺さった短剣に近寄って緋色に輝く刀身に見惚れて二本拝借してから
あ、あの三人どうしよう!?
そう考えると
〈貴方の中に残ってる魔物の残滓から魔法を作り出して扱うことが可能ですが、どうしますか?〉
ソレで助けられるの?
〈とある魔法を取得できれば確実に〉
じゃあ、やってくれ
〈【暴食者】を発動し今まで捕食した魔物を喰らいます魔法を構築…成功【操糸】【毒生成】【薬生成】【闇魔法】…一時的に魔法の操作権の譲渡をお許しください〉
構わん、そう宣言すると
「闇魔法 深闇の咆哮」
口が勝手に操られて身に覚えのない魔法宣言をさせられ、しかもとんでもない規模の魔法が発動する
闇の海とでも言うのか闘技場全体が真っ黒に染まり、完全に意識の外だったのかチャイナ服の女性やアザトースも沈んでる、すぐ出てきそうだ
そして、空から降ってきた三人は続々と闇の海に沈んでいき
〈全員の生存を確認しました〉
そして二つ目の後悔は
彼等に干渉しなければ元の世界に勝手に帰還したのに干渉してしまったので返せなくなったこと
シンソ
伝説を生きし彼の存在は今ここに友として立つ
武術王
「気取ってんなあ……」




