鯨の血は有毒です(地球は知らないけど)
鯨(人型)から視線を外さずにいると
相手に僅かに変化ぎ起き始めた
最初は筋肉の収縮か?と思ったが…どうにも様子が違う
簡単に言うと内部から溢れんばかりの肉が逆流しているかの様な…
そう考えていた俺の思考は半分正解で半分間違いであった
相手は一瞬僅かに硬直を見せながら此方を見つめてきて
あり得ない笑みを見せる
まるで勝ちを確信したかの様な
此方を侮蔑するかの様な視線
ソレのおかげで気づいた
コレは無視して良い行動ではなかった!!
ソレがわかり相手に突撃をかまそうと思った瞬間に
視界を埋め尽くすほどの白い物体が相手の体から放出された
こ、コレは…
「チッ!どうにも攻撃の手が緩いと思ったら体の機構を治してたのかよ!!」
そう愚痴ってしまうほど相手の職種の機能は厄介と言わざるを得ない
相手の職種は柔軟性と剛の性質を併せ持つ
斬ろうと何度も刀を振ってもゴムの塊を切り付ける様な
繊維が絡まりすぎてるセーターを鋏では斬れないような
不毛な感触がするのだ
正直コレは言語化が難しい話であるので一瞬割愛させてもらう
そうして相手が触手を叩き込んできたことで
俺も問題児の能力を発動しなきゃいけなくなった
この刀…どうやら『口』があったんだが
ソレは俺の感覚的なものであり、簡単に言えば口らしい装飾品があり
俺の予想が正しければ……
「…【暴食】…」
そう呟いて刀を一閃すると
空間に僅かな歪みが生まれて横一閃に全てを喰らい尽くす
しかし、流石に相手の体はくらえない様で
触手の幾分かは弾け飛んだらしい
一応触手は体じゃない判定らしい
まぁ…俺の判定がアレは本当に体の一部なのか?
本来の体の形のそれよりもキメラに思えて他ならないのである
まぁ…相手からしてみれば自分の種族を勝手に決めるな!って思いであろう
そして相手は一瞬確かに警戒感を強めながら体をまたもや膨張させていくので
「【闇炎】」
今度は確かに声を出して刀に炎をエンチャントする
どうやら…というかコレを送ってきた相手が相手なので絶対何かあるとは思っていたが…
この炎はどうやら闇と炎の性質を併せ持っているらしい
闇は相手の体力を奪う能力
炎は延々と燃える金の炎
この二つを組み合わせることによって凶悪なまでな能力を発揮することとなる
まぁ…俺からしてみれば体に触れない様にしなきゃってシロモンだけど
そして一瞬刀を振り上げると
相手は即座に闘争の気配を見せるので今度は
「フン!!」
俺が大地を改造する番である
地面を思い切り踏み抜いて四方八方にヒビを入れる
そしてヒビの先にできた巨大な岩の柱はお互いの隙間を埋める様にドーム状に囲い始める
相手はあまりの規模に衝撃を受けて固まっている
しかし…地龍はどうやら大地魔法に関して能力は無制限に使えるらしい
まぁ…ソレがなければ地龍は本当に雑魚種族になってしまうからな
そう考えながら振り上げた刀を一気に相手に突き刺そうとすると
相手は図体に見合わない速度で走っていく
コレに関しては本当に慣れない
だって…相手地面に根を張る様に細い管を地面に張っているん…だ、ぞ……
あれ?もしかして俺アイツの本体の場所わかったかも
「……大地魔法【燦々凶光】」
一瞬大地のドームの上に穴が開く
流石に鯨も違和感を覚えたらしく即座にソレを塞ごうと触手を大量に放出するが
即座に黒鉄の槍が覗かせる
「俺の能力が大地を操るだけのチンケなソレだと思っているのか?」
そう一言こぼすと
此処にはいない鯨モドキの顔が歪んでいる気がした
そして上空から黒い悪夢が降り注ぐ
「ざでざでざーて……俺の目論見が…ッッ、正しければアイツは相当大ダメージを負っているはずである」
さて、皆さん…何で黒鉄の槍を降らせた俺がダメージを負っているかお分かりですか?
鯨が外に逃げそうだったので全力で羽交締めして槍を身体中に受けたのです
いつか脳味噌の重要機関をぶち壊そうで怖いんですけど
まぁ…体をぶち壊す前提でしか戦えない雑魚だから…仕方ないと言えば仕方ないんだよね
そう考えながら相手の行動を逐一しっかりと見つめる
僅かに痙攣していた体は完全に沈黙しており
…コレは勝ったと言っても良いのか?
そう考えようとした思考を一瞬で蹴り捨てる
何故か?
ソレは相手の体を見てから言って欲しい
相手の体は先程の正しい膨張とは違い(正しい膨張とは?)
不規則に体を大きくさせながら口を大きく開ける
どうやら鉄の槍に無作為に穿たれ過ぎたらしく
思考を司る部分すらも槍で貫いてしまったらしい
全く…やりすぎるってのも考えものだな
そう思いながら刀を握って闇を揺らめかせる
こうなってしまっては完全に相手の息の根を止めるまで止まらない
そう思いながら刀を構えるが相手は
全身から無数の触手を出しながら揺らめかせ
そして目を妖しく光らせている
全く……俺からしてみればお前が一番論外だよ、と言いたくなる様な姿に進化しており
正直暴走を止めるにしたって核を探し出したほうが楽だと思われるが…
正直、こんな図体がでかいやつからソレを探し出すのだけで一日を軽く消費してしまう自信がある
……本当にコイツは、人の時間を消費させるのが好きだな…
と本人からしてみれば言われのない文句を一人で言っているが
コレは…アイツらを叩き起こした方が良いかな?
一人でやれるのも限度っていうのが存在する
…まぁ、王城に流れ弾が飛ばないって自信は皆無だから言いに行きたいが
…今此処で背中を見せれば多分…
本当にコイツは、少しくらい油断や隙を見せてくれないかな?
そう思いながら相手の顔を見つめていると
一瞬体をブルリと震わせてから一気に体を水の様に形態変化させていく
まるで街全体の瓦礫を取り込もうとするかの様に
「いや…待てよ…お前、ソレはやば過ぎんだろ!?」
そう叫び出しながら一気に周りの瓦礫に【闇炎】をエンチャントしていく
死ぬ気でエンチャントしていっているが
触手が他の瓦礫を取り込んでいく方が速い
おいおいおい…お前元々筋肉がやばい鎧みたいな性能しているのに
天然の鎧を着込もうとしてんじゃねーよ!!
そう心の中で理不尽を叫び散らかしながら大地も操っていく
地面を大きく外側に回転させながら取り込まれそうになっている瓦礫を被害も考えずに吹き飛ばしていく
正直コレが外に出ていけば被害は倍以上の話ではないので勘弁して欲しい
そう思いながら相手の吸収を着々と阻止していく
しかし、やはり全てを吸収させないということは不可能であり
相手は僅かに吸収した瓦礫や武器などから自分の体を武装していた
まるで巨人の戦士の様な風貌になっているソレは
正しく『災厄』であった
本当に…コイツは
もう背中云々カンヌン所の話ではなくなってきたので背中を見せつつ
顔は後ろに向けて、野球のフライを取る様な格好で王城に向かって走っていく
ある程度の距離を稼いでから
思い切り地面を踏み抜いて大ジャンプをかます
本来なら割れた窓ガラスから王様の間に直接飛び込みたかったのだが
…上の高級感と寂れた感が満載のステンドグラスに頭から突っ込む
本来ならかなりシリアスな光景で、俺も心の中で何やってるんだー!!
と余裕かましながら突っ込みができたであろう
しかし…今現在に関しては全く余裕がないので無視させてもらう
どう考えたって今ふざけたら完全にフラグだもん
下手に死を選ぶなら、俺は真面目に戦って生き残りたい…と思っている
まぁ…此処から生き残れるのかは非常に微妙だけど
そう思いながらスッポリハマったステンドグラスから体を引き抜く
途中体にガラスが刺さって朱線を描いたが
今は気にしない
そして何度かもん取り打って地面に着地すると
俺が飛び出した時と変わらぬ姿勢で幸せそうに眠っている二人がいた
「おい!!」
俺が外で悪夢みたいな奴と戦っているのに随分呑気に寝ているな!!という意味合いを込めて軽くこづくと
「!?!?」
不人は即座に起き上がる
まぁ…前世からの職業柄夜襲というのもあるにはあったのだろう
しかし、隣の軍人(?)は現役のはずなのに何処か腑抜けた表情で夢の世界にダイブしている
「……チャキっ」
静かに刀を構えるが
「ちょ、ちょっとストップ!!気持ちわかるが!」
不人に全力で邪魔をされたので一応諦める
正直不人に止められてなければ普通に斬りかかっていた
だって…俺が外でどんだけ大変な戦闘を繰り広げていたと思うんだ?
…まぁ、今日のところは許してやる…けど
「…起きないと串刺しにして馬の餌にするぞ?」
軽く脅しをかけておく
今後何かしでかしたら本気でそうするという意味も込めて
少し声のトーンを抑えていうと
「!?!?」
顔面を蒼白にして悪夢から目覚めたという表情をしている
召喚士が起き上がる
「…たくっ…ワンコールで起きろっての」
そう言いながら体をほぐしていく
先刻まで激しい動きをしていたのに一瞬しゃがんで話し込んだので
頭の方に血が回らずにクラリとした
恐らく文字通り血液が不足している
だって…どう考えたって血の流しすぎだと思う
体にいろんなもんが突き刺さって血が流れて…
正直今日だけで何回致命傷を負ったのか数えてないし
数えたくもない
そう考えながら一瞬ため息を吐いていると
「…えっと、もしかして呑気に寝ている間に状況がすごいことになってる?」
と今更気づいたかの様に召喚士が言ってくるので襟を掴んで城から飛び出す
そして、一瞬の間を置いた後…少し力を加えただけで倒壊しそうであった城は
完全に崩落した
「…本当ならあれは残しておきたかったんだけどな〜」
そうボヤくと不人は
「…いや、あれは最早修復不可能なくらいにダメージが入っていたからどちらにせよ取り壊しはあったぞ?」
「逆に言うが、お前らはそんな城の中でグースカ寝てたんだぞ?少しは愛着もてや」
そう言うと二人はハッとした表情で城の方を見つめる
いや…まず最初に
『なんで…なんでそんなところに放置したんだ!』
って怒るところでは?
そう思ったが、実際問題俺はあそこからアイツらを動かすことなんて考えなかったし
考えられないほどに戦闘に集中せざるを得なかった
まぁ…ソレを言ったら…まず最初に気絶したお前らが悪いんだから文句言うなよ?っていう話である
まぁ…もう少し丁寧にやれば良かったかな?とも時々思わなくもないのだが…
ソレとこれとではまるで話が違う
まぁ、過去のことをいつまでもクヨクヨ気にしてたら死ぬ気配が濃厚なので
さっさとアイツをぶっ飛ばしてゆっくり寝よう
そう思いつつ今回の敵を見据える
相手は全長300メートル以上の体を誇っていたが今ではソレの三分の一以下の減っている
しかし、ソレでも100メートル遠大な体を再展開してきていると言う恐怖が確かにある
奴の体は今現在に激しいエネルギーの損耗でその姿を著しく減衰しているわけではあるが…
正直言うと最初より更に気味の悪さが象徴される様になった
剥き出しの筋肉と、崩壊が止まらない姿
…最早生物としての尊厳を全て捨て去り、生きることだけに執着した生物
個人的には、そんな生物は最早生きてるとも言わないのだが…
まぁ…そこは個人の判断に委ねられるところである
そして…此処からが問題なのが
俺は相手の能力の全容を今だに知り得ていない
体を触手に変化させたり、体を携帯変化させたり
様々な不思議事件簿を見せられたが
常時に言うと本気の能力を見ていない
俺が見せられたのはどれも一発芸が頭に据えられている様な能力で
本気で敵を殲滅するために構成された様な能力ではないと思っている
そして、相手からしてみても俺の刀は少し危険な匂いがするらしい
俺が刀を僅かに動かせるだけで相手は体が暴走して意識が薄れていっているというのに
体を大袈裟に揺らしながら此方を睨んで来る
全く…そんなに暇ならもっと別のことに力を入れろよ
と文句を言いたくなってしまったが
相手は相手なりに本気なので絶対に言ってはならないと思って心の口にチャックを閉めておく
そして一瞬相手の目が此方をギロリと睨んできた様に感じたが
すぐさま別の場所を舐める様に観察していく
まるで、俺の姿なんて矮小すぎて見えないと言うかの様に
全く…こんな奴に舐められてちゃあ…俺の沽券に関わる
コイツは本気でぶっ飛ばして早く寝たい
そう思いながら右手を握りしめるが
相手はソレを見てケタケタと笑うかの様に体を左右に揺らす
いや…正確には体を横に振って体から赤黒い物体を吹き飛ばしているのか?
しかし…なんでそんな無駄なことを…
一瞬不思議に思いつつ相手の行動を観察しようとまっていると
赤黒い物体は地面に次々と着弾していき
そして結果として地面を溶かしていく




