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え?こんなところに人住んでるの?

ノアのナビゲートに従いながら入り組んだ迷宮のような場所を歩いていく

「…全く…何でこんな入り組んだ場所知ってんだ?アイツ?」

そうぼやきながら歩いていくとやがて一つの明るく晴れた場所に出たが

同時に一番腐臭の強い場所に出た

人間の肉って腐るとこんな臭くなるんだ

「す、すみません!」

そう叫んでツチノコの口を大きく開いて周りの遺体を回収する

此処に来るまで数百の遺体を回収したが家の中までには手が回らなくなる

そして遺体の臭いに鼻を半分ほどやられながらも何とか立ち上がる

「…おーい!誰か居ないか〜?」

声の音程が半音ほど沈みながらも周りに声をあげるが誰にも反応してもらえない

え?全員死体だから反応しないって?

う、うっせーわ!

「おい!うるさいぞ!」

「え!?人がいんの!?」

「いるわ!!」

…何だろう何で顔も知らない奴と顔の見えなところで口喧嘩をしないといけないのか意味がわからない

そう思いながら

「ねぇ!何で俺たちこんな風に喧嘩しなきゃいけないの!?」

「知るか!ボケカス!」

おう…言うやんけ

「よーし!そこにいろ!直々に顔面を殴ってやる!」

「出来るもんなら!やってみな!」

よ〜し!ノア!

〈…此処から3区角先の赤い屋根の空き家です〉

3区角…昔は此処も整備された地域だったんだ

地図持ってないからわからないけど

あと…赤い屋根のお家…なんか語呂感がいいな

〈馬鹿やってないでいきますよ…彼……彼は気難しいからもしかしたら既に逃げているかもしれません〉

「…なら空から攻めるか」

そう言って地面を力一杯蹴り上げる

俺のことを執拗に追跡してきた王国の守備兵は簡単な陽動で簡単に騙された

この王国は麻薬の力で他国の戦力をスカスカにするつもりなのか兵力の素の力がとんと弱いのである

ソレを鑑みれば逃げることは割と簡単なのである

そして空中から屋根が赤い家を探し出して

「よし…見つけた」

そう言って大地を操作して柱にしてからソレを思いっきり蹴り付ける

死んでも死ねない体になってから無茶することは大分慣れてしまった

全く…慣れたくもないことであったが

ついでに裸になることも割と平気になってしまった

別に変態ってことではない

俺が戦う奴らは大抵力のベクトルが一段階も二段階もずれているので服が何処ぞの野菜星人と同じく一回の戦闘でボロボロになる方式になっているのだ

全く…異世界転生で毎回服をボロボロにするって…

どこぞのバトルファンタジーだ?

「…鬼さ〜ん!遊びま〜しょ〜!!」

そう言いながら赤い屋根の家に突撃をかます

すると中の埃が思いっきり舞いながら咳をしてしまう

「ゲホゲホ!?」

予想だにしない迎撃システムに(多分違う)思わぬ反撃を食らって涙と咳がしばらく止まらずにいると

階下で信じられないほど慌ただしい音が聞こえるので霞む目を擦りながら壁伝いに階段を降りていくと

「……アンタ…誰だ!?」

そんな大声が霞む目の最中にいきなり告げれるので相手に一旦待てのジェスチャーをすると勘違いした相手がいきなり戦闘態勢をとるので

「悪い!いきなり家に侵入してたのは謝るから…ちょっと本気で攻撃してこないで!?」

そう狼狽えながら叫んでいると相手も俺が本当に戦闘の意思を持ってないと判断したのか警戒を少し解いた

まぁ…完全に解いてないあたり俺のことはまだ完全には信頼されていないのだろう

そうして相手が一瞬警戒を解いてくれたおかげで椅子に座ることができた

正直先刻までずっと化け物三人組と戯れていたので休憩をしたかったが

王国の防衛兵に王国中追いかけ回されていたので正直此処で休憩できるのはありがたい

幾ら相手が雑魚集団の王国兵でも数という暴力は時に残酷である

一人の優れた将より有象無象の千体が勝ることも時にはあるのだ

そして、この世界には魔法という概念が存在するために質よりも量、量よりも質という矛盾している二つが成り立ってしまう現実が確かにある

そうして俺は目の前の相手をようやくしっかりと開いた眼で見てみると

一瞬で驚愕する

「あ、アンタも異世界人だったんだ!?」

そう言いながら体を大きくのけのぞらせる

「ああ…私がきたのはかれこれ五十年ほど前の話になるがな」

そういう彼の貫禄は最早カタギのソレではなかった

何というか…白や音山、そして鈴山とは違うタイプの威圧を持っている人間である

例えば…そう、この社会の裏を全て熟知しているヤク…

「…あ、あんたもしかしてヤク◯ぁぁ!?」

「…ふっ…人聞きの悪い、まぁ、確かに前世では頭張らせてもらってたが…もう昔の話よ…今はぁしがない町医者さ…この廃れたスラムのな」

…どうやらこの人の過去は俺の想像している数倍苛烈なものらしい

そうでならば見ず知らずの俺が色々苦労してきたんだなとわかるような顔をしていないのだ

そして…

「…なぁ、何でアンタは麻薬の毒牙にかかってないんだ?」

この場所では異常とも取れるソレを質問してみる

俺がいうのもアレなのだが…この国は完全に骨髄まで腐っている

その代表例が麻薬である

此処まで来るまでに数百という腐敗したソレを見てきたが

どれもコレもソレの奥に何か本能の奥を燻るような官能的な臭いを感じていた

「…俺が此処に来るまでにそれとなく似たような臭いを感じていたが…此処にいる全員は麻薬にやられたんだろう?」

「……どうしてわかる?」

そう告げてくる相手の顔には苦渋と取れる感情がありありと浮かび上がっていた

コレは…完全に無関係な人間ができる表情ではない

「…悪いが俺も遺体の腐敗した匂いなんて嗅いだことはないが…種族的な特徴もあるんだろう……ここら辺にあった遺体の奥から本能を燻るような官能的な臭いを感じていた…おそらくソレが国崩しの麻薬なんだろう?」

まさか…此処まで人を腐らせるなんて予想はしてなかったけどな

「…ああ…この国には、元々その麻薬があった…しかし、ソレはあくまで嗜好品として…一定量を超えなければ決して人体に害はない」

「本当か?」

俄には信じがたい…が、酒や煙草と似たようなものだろう

用法を守って適切な量を守れば大丈夫という代物だろう

「昔はこの国も美しかった……私が此処にきた当初守りたいと思ってしまった程に…」

「…なるほど…話は見えてきた」

椅子の背もたれにもたれかかりながら一瞬天井を仰ぎ見た

コイツの過去を簡単に表すとしたら…悲劇の騎士、なんてところか

「……王国の歯車が狂い出したのは……現国王のアイツが大臣に就任した頃だ」

「…まぁ…俺も見てきたけど…な〜んか嫌な雰囲気が出てたよね〜」

アイツが人間かどうか……ソレすら怪しい節が確かにあるが今現在ソレは問題ではない

今此処で問題なのは

「…アンタは……大臣に逆らったから此処に来たのか?」

「……ああ、此処に来てから私はこの国で様々な功績を打ち立てて聖騎士長に任命された…誠に嬉しいことであったが…彼を止められなかった…最早騎士たる資格も持ち合わせていない」

「………」

そうかな?俺から見てみれば…コイツほど騎士をやっている人間も見たことがない

俺が本物の騎士を知らないのも影響しているのかもしれないが

…此処まで理知的で誰かを助けるために感情的に動ける人物も早々いないだろう

俺からしてみればコイツこそ王様の器なんじゃないか?と思う

そう思いながら一瞬瞬きをして

「…続きを」

そう一言放ち続きを促す

「…ああ、かつて…私が聖騎士長であったころ…奴が大臣に就任した頃に…奴はこう言い放ったのだ…

『王よ!!我が国には素晴らしい産物がありまする!今や我らの王国の生活では不可欠なほど普及し回っているこの薬草、コレを国を起こして国の産業にいたしましょう!実際…この王国の気候にコレはあっています、よく日光に当てれば当てるほど育つ性質は我々にとっても十分です!』

と…当時の王は飢饉に財政難…様々な難題を抱えて首が動かなくなっていた……

だからであろう…そんな『弱さ』につけ込まれて奴に取り入れられたのは…」

完全にモノカルチャーに移行しようとしているな

…コレさ、このまま進んだら麻薬の生産だけでやっていこうとしていつか終わるパターンのやつでしょ

「……まぁ、よく聞く話だわな、実際人間は『欲望』につけ込まれると酷く弱い…欲望に負けて快楽に身を任せるのは酷く簡単だからな」

実際俺もVRで何度もチートやバクに頼ろうかと思ったことやら

なんせ…昔よく戦ってた世界ランキング一位のアイツ

アイツさ…容赦ってもんが全くねーもん、俺が本調子ならばいざ知らず

そうでもない時に全力でやってくるから俺の勝率一割よ?

一割とってるだけでも誰か褒めてくれない?

そう思ってしまう俺は強いのか弱いのか…この答えは多分誰にもわからない

そうして一瞬迷っていると相手がどうした?という視線を送ってくるので手振り身振りで何でもないと言いながら

「…まぁ、でも王様も嫌なところを突かれたね」

「…ああ、王は善良で民草を真に思いやる名君であったが…ソレにつけ込まれた

本来であればすぐにソヤツを追い出せば良かったのだが

国が傾いていたのは事実……誰も奴の甘言に騙されて夢を見てしまった

モノの比喩ではない

奴の能力は自分の甘言に騙した奴の魂を掌握する

完全に化け物である…

しかし…王は最後まで気高く抗った…しかし…

最後には……」

う〜ん…人間って本当に愚かだな

「全く…世界が変われど人間が人間にするのは結局同じか…いや…こっちの世界の方が目的が簡単で分かりやすい…」

俺の世界では力を持たない人間が大多数を占めた

時々神の声を聞くというジャンヌさんや

王の剣を引き抜いたアーサー王

などなど人類が美化して飾った

しかし…真実は歴史の時代の奥に埋もれてしまったソレがある故に全員が全員ただの人間であったかどうかは怪しいが

俺たちは力のない弱者

故に他者が怖く

昔の秦が中華統一をする前は秦の六代将軍のうちの誰かが数万人以上の人間を生き埋めにした…

人間が核爆弾、水爆なんて頭のネジが外れた平気を作った

ICBMなんていう大陸間弾道ミサイルなんてクソみたいなモンを作った

結局力があってもなくても人間は醜悪さは全く変わらない

「……はぁぁぁぁぁ…人間って本当に救いようのないほど愚かだよね…まぁ、人間の俺が言っても説得力皆無だけど」

「…すまん…私がもっと早く王を止められていれば…」

「あーあー、ソレは良いって…今は過去の懺悔よりコレからどうやってソレを贖罪して以下の方が百億倍大切だと思うんだけど?」

そういうと相手はハッとしたように顔を上げる

全く…コイツは…もう一つ指摘しなきゃわかりもしないのか

「ソレに…アンタは良い奴だってわかってたしな…俺のす……相棒が言ってんだ…この周りに呪術や祓え式、魔法とも違う不可思議な残穢が漂っている…そんな風にな」

そこから今まで話した内容を噛み合わせると

「アンタは…此処で麻薬の中毒者たちの治療を必死にやってたんだろ?いつ醒めるともわからない悪夢の中で…俺はソレで十分贖罪は果たせていると思うけどな」

そういうと相手はずっと保っていた何かが切れたというかのように地面に崩れ落ちて号泣する

うん…男の号泣みて感動できるのはドラマやアニメの中だけって今日初めて知ったわ

出来れば外で泣いてきてくれない?





「す、すまない…少し感情の制御が…」

わかってる…だから鼻をかんでくれ

「…まぁ、別に構わないよ…ソレにさ」

そういうと相手は一瞬何かを探るように此方を見てから

「何だ?」

「…アンタ特攻して死ぬ気だったろ?俺の見立てじゃ今日…いや明日にでも」

そう、この場所は異常に生活感がない

しかし代わりに思い出とも言えるような写真や絵が沢山飾られている

最後の思い出作りに此処にいたという方が幾分が納得できるが……

「悪いが…此処はお前の死に場じゃねえ」

「!?!?」

相手が驚いたように俺に告げてくる、声には出てないが

どうしてわかった!?という声がありありと顔に浮かんでいる

「……お前の死に場所…今暫く俺に預けねーか?俺がお前にとって最高の死に場を与えてやるよ」

「…そ、ソレは」

此処まで言えばコイツも流石に俺が言わんとしていることがわかるらしい

「元々俺は此処の王様を説得もしくは暗殺する気分で来ていたが…辞めだやめ!」

そう告げてから相手に向けてビシッという効果音が似合いそうなほど強く指す

「俺は…お前と革命を起こすぞ!!こんな腐った国…内部からこづいて変えちまおうぜ!転生者同士……楽し傾国合戦!報酬は……クソな王が占領している至高の玉座だ!」

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