第71話「因縁」
<修王学院サイド>
修王学院
東京四天王に数えられるも近年その中では力不足を感じさせていた。
しかし今年は、監督に神崎ホセ三都主を招聘し、全国の舞台に返り咲こうとしていた。
修王学院のサッカーは個人のスキルに依存するやり方だ。
強豪私立の為、選手集めに力を入れている。
今年のキーマンはトップ下にいる10番の山内だ。
J1強豪の東京FCのユースに内部昇格できずに修王学院にやってきたが、
そのスキルは圧倒的だ。
この山内を中心としたサッカーで危なげなく勝ち上がってきた。
さらに監督神崎へのリスペクトが選手たちにある為、最後まで走り切れるいいチームになっていた。
事前のミーティング。
神崎は選手たちに向かって明日のゲームプランを話す。
「明日は奇しくも俺の前チームとの試合だ。
まさかここまで勝ち上がってくるとは思っていなかったが、
選手の質は都立にしては抜き出ていたから驚くほどでもない。
うちは質では圧倒的に勝っている。
明日もいつも通りやればまず間違いなく勝てる。
いいな」
「はい!!!」
選手たちも負けるつもりはさらさらない。
そんな修王学院だった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
<南東京サイド>
「ついにきたな」
前日ミーティングの開始第一声はこれだった。
「強い表現で申し訳ないが、
うちのチームを捨てた張本人との闘いだ。」
鳥海は全員を見渡しながら言い放つ。
「修王学院はいいチームだ。
選手の質は高い。
だが、はっきり言ってチームとしては未熟すぎる。
トップ下の10番の山内が中心だが、今までのチームは対策を行わな過ぎている。
彼を自由にしてはいけないのは当然だが、バランスを崩してもしょうがない。」
「うちがやるサッカーは・・・・・・」
話を聞いた選手たちは相変わらずだなと思う。
「森山」
鳥海は声をかける。
「はい!」
前監督に一番リスペクトを持っていたのは彼だ。
「明日のスコアはいくつだ?」
真っすぐ森山を見る
「6対0」です。
森山は悩む間もなかった。
「当然でしょ。こんなチーム」
後ろから声を出したのは、水樹だ。
「鳥海監督が前監督に負けるわけないでしょ。
あの人の見る目のなさをしっかりわからせてあげようぜ!!」
水樹の声に周りも反応する。
まったく相手を見ていない修王学院と相手と向き合っている南東京高校。
勝つのは果たしてどっちだ。
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