第67話「無情に」
野球小説:ただ最強~春夏甲子園大会を5季連続優勝するまで~UPしました。
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<江戸山中央高校サイド>
ハーフタイム
江戸山中央高校の疲労度は凄かった。
戦術の修正は1つだけ必要がある。
前半はボールの取りどころがないのが原因なのはあきらかだった。
監督の清水は手短に修正を加える
「後半は同サイド圧縮をサイドから中に変える。
両サイドは相手SBのコースを切りながらCBへプレスをかけろ。
前に蹴るロングボールの角度を狭くする。
前半は逆サイドに振られることがかなりキツかった。
これでサイドに振られることを避ける。
あとは中央でしっかり押さえられるか。
それにかかっている。みんな頼むぞ」
江戸山中央高校は中央勝負のリスクを負っても取りどころをはっきりしたかった。
<帝東高校サイド>
ミーティングは短かった。
ただ一言「いつも通りやろう」
それだけだった。
『後半開始です!!』
江戸山中央高校からのキックオフ。
後ろに戻したボールを蹴ることはせず、
サイドから攻めあがる。
サイドからCF佐藤へ縦パスが入り、OMFの小早川へとボールを落とす。
前をむいた小早川からのパスをもらうために江戸山中央高校の攻撃陣は動き始める。
「よし」
前をむいた小早川はパスコースを探す。
ドン
小早川に何かがぶつかる。
ダンプカーにでもぶつかったような衝撃だ。
小早川はなすすべもなく転倒する。
「軽いな」
ぶつかったのは帝東高校の大黒柱MF松山だ。
正当なチャージでボールを奪うとそのまま攻めあがる。
小早川にボールが入ったため江戸山中央高校は前がかりになっている。
センターサークルまで松山を止めるものはいない。
「このままだとそのままいかれる」
江戸山中央高校の守備陣は混乱している。
両SBのしぼりもまだ間に合っていない。
「くそ」
両CBはリトリートを選ぶしかなくなり、ペナルティエリア付近まで徐々に後退する。
CFの高木とOMFの中村がいっせいに外に広がり、裏へ走り出す。
一瞬その動きにつられた両CBは中央を空けてしまう。
一番危険な存在のケアを怠ってしまう。
「シュート」
帝東高校応援団の声がかかる。
その声とともに松山は右足を振りぬく。
ゴールまで残り25M。
松山にとってまったく問題ない距離だった。
江戸山中央高校GK橋本は一歩も動けず、帝東高校は2点目をゲットする。
「まだだ」
2点を取られても江戸山中央高校はやるサッカーを変わらない。
相手CBへプレスをかける。
いつもならここでボールを蹴らせることができるが。
「くそ~」
相手CBから出るパスの選択肢は2つ。
MFの松山かCFの高木。
まったくと言っていいほどボールが取れない。
時間は刻刻と少なくなる。
そしてスコアの数字も着々と変化している。
『残りロスタイムのみです!!
現在のスコアは5対0
帝東高校の準決勝進出が濃厚です!!』
『ここまで差がつくとは思いませんでした。』
解説の栗林も驚愕する。
やっているサッカーはあきらかに江戸山中央高校の方がいいからだ。
スペシャルな存在。
帝東高校は王者の貫禄をマジマジと見せつけ
江戸山中央高校を退けた。
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