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第50話「違和感の正体」

前半も残りわずか。


北川学園は一層守備的になるわけでもなく、

相変わらず川辺と佐治に周りが振り回されている。


南東京高校もその雰囲気に少しずつ引き込まれ、焦りも加わり

雑なサッカーに付き合ってしまった。


鳥海は後半に向けての準備を始める。

まだ違和感の正体はわかっていない。

だがこんなところで負けるチームでないことは自分が一番わかっている。


「がちゃん」

なにかがぶつかる音がした。


「大丈夫か」

どうやら味方同士でぶつかったらしい。


「気合が足りないな」

ぶつかった川辺がぶつかられて倒れている相沢にそう声をかける。


「う~」

ぶつかられた相沢はまだ立ち上がれない。


「担架をお願いします。」

主審が待機していた医療班に声をかける


相沢が担架で運ばれて医療班の手当を受けている。

すぐに担架から起き上がる様子を見ると軽傷のようだ。


試合は再開。

北川学園は相沢が治療中の為、一時的に一人少ない状況だ。


南東京高校はボールをすぐ水樹の元に集める。

相変わらず対峙するのは川辺。


「???」

ボールをトラップして顔をあげた水樹から見える景色が

今日初めて変わった。


一人少ないのが原因からか。

それにしてもあきらかに相手守備陣の位置がバラバラだ。


うるさい川辺をなんなくかわした水樹は、

そのままドリブルを続ける。


後ろでごちゃごちゃ川辺が声を出しているが、

DF陣がそれを聞いているようには見えない。


「うん?」

ドリブルで進んでいる俺を見ないといけない状況なのに

なんかDF陣が俺を見ずに今一瞬右を見たぞ。


それにつられて左を見てみると、

そこにいたのはグラウンドの外で治療を受けていた相沢だ。


なにやらハンドサインを送っているようだった。


「そうか。そうだったのか!!」

水樹は理解した。


なぜ川辺を抜いても守備陣形が崩れなかったのか。

そして2点も取られているのか。


「それならこの状況で絶対1点取らないといけない。」

理由が分かった以上、絶対このチャンスを逃してはいけない。


ドリブルのギアを最大限に上げる。

その姿は圧倒的だった。


次から次へと来るDFを抜き去り、

最後のDFが立ちはだかる。


「そうだよな。

この試合であいつと連携を取っていたのはお前しかいないもんな。

ゆえにお前がディフェンスリーダーだな。」

あきらかに先ほどまでとは違う雰囲気で

最後のDFとしてSBの軽井沢が立ちはだかる。


「ここで止める」

あきらかに水樹をファールで止めにくる軽井沢。


「絶対にここで決める」

水樹はユニフォームを引っ張られるのを気にせず

そのまま軽井沢を抜き去る。


相手GKまでかわして、ゴールを奪う。


6人抜き。


相手ゴールに決めたボールを手に取り、

喜ぶ間もなくセンターサークルまで戻り始める水樹。


その途中で、ある人物に向けて右手で指をさす。


「早く来い。

からくりはわかった。」


その右手の先にいたのは、

川辺でも佐治でもない。


治療を受け終えてグラウンドに戻ろうとしていた相沢だった。


「おまえが北川学園の中心選手だ。」


違和感の正体。

前半終了を告げるホイッスルとともに南東京高校は気づくのだった。

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