第40話「再始動」
GW明けレギュラー組とサブ組の紅白戦後、初めての練習日。
鳥海監督は、選手の気持ちの切り替えが必要と判断。
5月のGW期間の1週間を休養日に変更し、リフレッシュを促す。
選手各々は、充実した顔でこの日を迎えていた。
鳥海がすでに集合している選手たちの前に姿を現した。
「今日から南東京高校サッカー部が再始動する。
準備はできているな。」
声をかけたが返事は聞くまでもない。
「では、ミーティングから始める。
場所を変えよう。」
選手たちと映像が見ることができる場所へ移動した。
「今日は、主にレギュラー組に俺のサッカーのコンセプトを伝えたいと思う。
それとこの前の試合の解説もしていこうと思っている。」
「まずは、この前の紅白戦から解説する。」
レギュラー組が前のめりで聞き始める。
「レギュラー組の弱点を3つ挙げさせてもらう。
①水樹の不在 ②サブ組への慢心 ③個人戦術理解度の低さ
この欠点を突く練習をサブ組は一生懸命取り組んだ」
「今から失点シーンを見ながら解説する。」
すべての失点シーンのどこをサブ組が意図してやったかを説明する。
レギュラー組が真剣に聞いている。
そしてなぜ負けたのかを納得しているようにこちらからはそう見えた。
「次に6月から始まるインターハイ東京都予選にむけて、
改めてコンセプトを説明する。」
ここからはサブ組も真剣に聞き始める。
「当たり前のことだが、攻撃時は選択肢をより多く持てるように。
守備時は相手の選択肢をより少なくできるようにする。」
「具体的なことは毎日の練習で落とし込む。
うちは戦術をしっかり用いて戦わないと勝てないレベルのチームだ。」
簡単なキーワードだけ何点か説明し、話を続けた。
「気合や根性は大事だ。最後には気持ちの強さが必要だ。
だが、その前にやらなければならないことは山ほどある。
俺は、その言い訳に根性や気合を使うことは一切ない。」
「やっとここにいるみんなとサッカーができる喜びに満ち溢れている。
インターハイ東京都代表になって世間をあっと言わせよう」
目標は高く。時間はないが、挑戦することは自由だ。
「最後にこのチームのキャプテンを決めて終わりにしたいと思う。」
選手たちには一切言っていなかった為、ざわつく。
とは言ってもミーティングが始める前に2人の選手には事前に説明はしていた。
「キャプテンは宮本、副キャプテンは森山に任せる。」
お~っという声がサブ組からあがる。
事前に聞いていたのはこの二人だった。
宮本は驚きの顔を森山は納得した顔でこの話を受け入れた。
「では、二人から就任の挨拶をしてもらい、練習を開始しよう」
宮本・森山が前に出る。
「キャプテンに就任した宮本です。
まずは、自分自身が一番驚いてます。
今回の紅白戦でもキャプテンとして何かできたとは思ってないです。
ただ、監督のサッカーを理解し実践したいと強く思っているし、
そのために一番走りたいと思っています。
そんな自分の後ろ姿についてきてもらえるように頑張っていきたいと思います。」
話が終わると盛大な拍手で迎えられる。
「副キャプテンに就任した森山です。
自分はまさかみんなをまとめる役割を監督からお願いされると思っていませんでした。
だって、監督に反抗したのは自分です。
でも監督からは、自分が信じた道を疑わず
一生懸命努力することは素晴らしいと言ってもらえました。
そしてその進むべき道を間違えないようにするのは監督の仕事だと。
ここまで言われたらやるしかないないです。
宮本とは違って思ったことを声に出し引っ張っていけたらと思います。」
森山にも盛大な拍手で迎えられる。
「二人ともありがとう。
今回この二人にチームを引っ張ってもらう役割をお願いしたが、
選手みんながリーダーシップを持つ必要は当然あるからな。
切磋琢磨していってほしい。」
「では、練習を開始しよう。
東京都を取りに行くぞ!!」
「はい!!」
やっと始動した南東京高校サッカー部。
東京都サッカー界を驚かすまでもう少し。
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