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第39話「前監督」

今年の2月

南東京高校に激震が走った。


選手たちに告げられたことはただ一つ。


監督が他の学校に移籍するということ。


監督は教師ではなく特別講師という形で参加していた為、

本人の意思で今年で契約を終了し、来シーズンは違う高校の指導にあたることになった。


監督の名前は神崎ホセ三都主(サントス)


日本に帰化後、日本代表CBの闘将として君臨。

W杯でも活躍し、昨年所属していた埼玉FCにて現役引退を選択。

縁があり、南東京高校の指導者に就任していた。


就任1年目、東京都ベスト16にチームを躍進。

その現役時代と変わらない熱量ある指導が評価され、

今回強豪校へとステップアップを遂げる。


南東京高校サッカー部員への挨拶は手短だった。

もう気持ちは次のチームにあると誰もが感じずにはいられなかった。

この時のショックが、次の監督である鳥海を苦しめる原因につながる。



そんなことをまったく意にも介さない神崎が向かう次のチームは・・・



コンコン

校長室とかかれた重厚な扉をノックする神崎。


「失礼します」

中からの返事が届く前に豪快に扉を開けた。


そんな神崎を迎えるのは、東京都サッカー協会の理事の一人でもある

この学校の理事長の黒鉄哲夫(くろがねてつお)と校長の2人である。


「神崎くん、よく来てくれたね」

何回か面識があった黒鉄理事長はフランクに神崎を迎え入れる。


「いえ」

神崎ももう慣れているようでそっけなく対応する。


「座ってくれたまえ」

その言葉に神崎含め3人がソファーに腰を掛ける。


「我が校、修王学院(しゅうおうがくいん)の監督就任おめでとう。

今日から早速監督業に取り掛かって欲しい。

そして君に期待したいことは、インターハイ・冬の高校選手権への出場だ」

簡潔に要望を伝える黒鉄理事長。



そもそも修王学院とは、

東京都においてスポーツ強豪校の一つ。

野球部もバスケ部も全国レベル。

ことサッカー部に関しては、東京四天王に数えられる学校だ。


ただ、近年ではベスト4に甘んじることが多くなり、

それが神崎招聘のきっかけになった。


「まかせてください。

私が就任したからには、すぐ全国の舞台に修王学院を連れていきますよ」

二つ返事でかえす神崎。


「よろしく頼むよ。

都立の学校をベスト16にまで躍進させられたんだ。

うちの戦力は比にならないからね。」


「それにあまりに全国から遠ざかると

私のサッカー協会での立場も危うくなるからね」

こちらが本心なようだ。


「わかっています。

では早速グラウンドに向かいます。」

そう言うと神崎は校長室から退室した。



「理事長、本当に彼で大丈夫だったんですか?」

さっきまで一言もしゃべらなかった校長が心配そうに話しかける。


「大丈夫だろ。

仮に全国に行けなくても彼を招聘できたという事実だけで私としては合格点だ。

これで来年には生徒数も増えてよいことだらけではないか。」


「さすがは理事長」

ごまをする校長に


機嫌をよくする理事長であった。


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