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第38話「決着」

『サブ組宮本ダメ押しの4点目だ!!

あ~っとここで試合終了のホイッスルが鳴り響きました!

4対0でサブ組が見事下剋上を果たし、

南東京高校は鳥海監督の指導のもと再始動することが決定しました!』


試合終了の笛が鳴ると、

サブ組は歓喜の輪が、レギュラー組には落胆の表情が浮かび上がる。


「宮本」

勝利で沸くサブ組の中心にいた宮本に声がかけられる。

声の主は森山だ。


「どうだ強かったろ」

勝ち誇った表情で宮本は応える。


「たった1か月でこんなにも変わるとは。俺らが間違ってたわ」

1か月前まで強気な発言をしていた森山だが、

あまりにも差をつけられた現実に事実を受け入れざる負えない。


「やっぱり凄いのか鳥海監督は」

もう経歴で判断する森山はいない。


「もちろん!

前監督よりもずっとな」

サブ組の躍進が証拠だった。


「そっか。」

そう言うと森山は、レギュラー組のもとに戻っていった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「長峰さん、正解だ」

俺の問いの解答をしたその瞬間に3点目がまさに森山の弱点から生まれた。


そして4点目もまた森山のところから。

当てて当然とばかりに表情を崩さない長峰さん。


「ちなみに森山が失点に直結するってなんでわかったの?」

ますます興味がわいてきた。


「森山くん、去年から見ていたのですが

ボールウォッチャーの癖が全然直っていないんです。」


「去年の負けも森山くんのマークがズレたことが原因だったんですけど、

前の監督はまったく修正できていなくて。」


「気合だ~とか

そこで足を出せるかが重要だ~とか

そもそもマークがズレてるから気合や根性じゃどうしようもないのに」

手厳しいな。


「直っていないのは今日の試合もわかったんですけど、

はっきりと狙われていると感じたのは、

後半からシンプルなクロスがサブ組から上がるようになって。

それにあわせて加藤くんの動きが

森山くんの視野の広さを確認しているように見えました。」

ほうほう。


「選手たちだけでできる戦術じゃなかったので、

これはもう鳥海監督のゲームプランだと気づきまして。

その状況で次の得点状況を聞かれたら、もう解答は一つじゃないですか。

4点目までは予想していなかったんですけどね。」

完璧です。あっぱれです。


「長峰さん

マネージャー兼分析官として手伝ってもらえますか?」

深々と頭を下げる。


「ありがとうございます!

宜しくお願いします!」

満面の笑みでそう答える長峰さんだった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「みんな」

森山がレギュラー組のメンバーを集める。


「みんなも感じたと思うが俺らの完敗だ。

俺はすがすがしいぐらい差があったと思っている。」

周りを見渡す森山。


「これから鳥海監督に謝りにいこうと思う。

そして改めて南東京高校のメンバーとして活動したいと伝えにいきたい。」


「みんなはどうだ?」

メンバーに問いかける。


「俺は賛成だ。」

玉木が答える。


「対立してるつもりなんて自分にはなかったすっけど」

佐々木が少し不満そうだ。


「おれらも異論はない。」

残り全員も同じ気持ちみたいだ。


「みんなありがとう」

森山はレギュラー組のメンバーを連れて

鳥海監督のもとに歩き始めた。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「監督」

水樹と長峰さんと話していた俺に声がかかる。


「森山か」

レギュラー組全員もそろっているみたいだ。


「水樹も見てたのか」

隣にいる水樹に気づいたみたいだ。


「まぁ~ね。

これからサッカー部に復帰しようと話していたところだよ。」


「そっか」

森山は少し安堵したような表情で水樹を見た後に本題を伝える為、

改めて鳥海監督を見る。


「鳥海監督、

今までの非礼申し訳ありませんでした。」

レギュラー組全員で頭を深々と下げる。


「今日のサブ組と対戦してみた正直とても強かったです。

こんなにも成長しているサブ組がうらやましいぐらいでした。

監督自身の経歴なんて関係ありません。

自分たちを強くしてもらえる人に指導してもらいたいです。」


「今更ですが、改めてレギュラー組全員ご指導のほど

宜しくお願いします!!」

全員から迷いのない表情が見える。


「当たり前だ。

俺は南東京高校を強くするために監督を引き受けたんだからな。」


「ありがとうございます!!」


まさかレギュラー組のみんな、断られるなんて思ってなかったよな。

すごいほっとしてる表情だぞ。


「じゃあ、森山。

南東京高校サッカー部全員を集合させてくれ」


「はい!!」

森山はとても良い表情で返事をした。


全員が集合し、ミーティングが始まった。


「今日の結果はサブ組が勝ったわけで、

なんとかこれからも南東京高校の監督を続けることができました。」

冒頭にそう言うと、レギュラー組がなんとも言えない表情をしていた。


「冗談はここまでとして。

明日から全員で夏のインターハイに向けて動きだしたいと思う。

そこで二人を紹介する。」


「まずは、今まで幽霊部員だった水樹だ。

みんなはびっくりすると思うが、南東京高校は水樹を中心にチーム作りを行う!」

サブ組はある程度知っていたが、レギュラー組はみなびっくりしていた。


いつもならここで森山からクレームが来るのだが。


「監督がそう言うならもちろん従います!」

森山はきっぱりそう言う。

キャラ変が凄すぎる。。。


「ありがとう。

それとマネージャー兼分析官として長峰さんにもチームに加わってもらう。」


長峰さんが一歩前に出る。


「長峰です。宜しくお願いします。」

深々とおじきをする。

さっきまでのキャラはどこに行ったのだろうか。


「よし!

これで新生南東京高校サッカー部

インターハイ東京代表を目指して頑張っていこう!」


「はい!!!」


1か月にもおよぶ南東京高校サッカー部の騒動は終わりを迎え

やっと監督として受け入れられた鳥海であった。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!

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