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Doubt common sense ~名選手が必ずしも名監督とは限らない~  作者: ぷやっさん


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18/72

第18話「旧友との再会」

神奈川県西部。

山の上にそびえる巨大なキャンパス。

関東大学と併設された関東大瑞穂高校は、

まるで“サッカーの城”のように静かに構えていた。

大学サッカー部と共同使用の人工芝グラウンド。

アウェイチーム用のロッカールームまで完備された設備。

南東京高校の選手たちは、

そのスケールに圧倒されていた。

「ここが今日の試合会場だ」

鳥海が声をかけると、

選手たちは口を開けたまま周囲を見渡す。

「監督……これ、どっかのプロチームと試合するやつですよね」

宮本が苦笑いしながら言う。

「そうだな」

鳥海は、自校の土のグラウンドを思い出し、

思わず苦笑した。

その時――

「すいません」

背後から声がかかった。

振り向くと、見慣れないジャージ姿の少年が立っていた。

「今日はお越しいただいてありがとうございます。

関東大瑞穂サッカー部1年の志波と言います。

ロッカールームにご案内しますので、ついてきてください」

礼儀正しく、落ち着いた声。

南東京の選手たちは思わず姿勢を正した。

「ありがとうございます」

鳥海も一礼し、

選手たちは志波の後ろについて歩き出した。


■ <関東大瑞穂視点>

「監督。今、南東京高校の皆さんをロッカールームに案内してきました」

志波(弟)が報告する。

「おう、ありがとう。

じゃあ準備に戻ってくれ」

志波が戻っていくと、

栗林は隣に立つアシスタントコーチ――志波(兄)に声をかけた。

「お前の弟、礼儀正しくなったじゃん」

「まぁ、あいつもそれくらいはできるよ」

兄としての照れが少し混じる。

「ところで、今日なんで俺が指揮するんだ?」

志波が尋ねる。

栗林は少し笑いながら答えた。

「さすがに鳥海も、俺が指揮したらしんどいだろ。

あいつとは、もし勝ち上がってくるなら“もっと上のステージ”でやりたい。

だから今日は任せる」

その言葉には、

鳥海への敬意と期待が滲んでいた。

「そいつはいいけど……俺がやっても負ける気はないぞ」

志波は負けず嫌いだ。

「当たり前だ。

相手に失礼だからな」

栗林は真剣な目で続ける。

「今日お願いしたいことはさっき伝えた通りだ。

それ以外は自由に修正してくれ。

ただ――負けることは想定してない」

志波は力強く頷いた。

「お前が注目する鳥海という男……見極めてやるよ。

まぁ、負けるつもりは毛頭ないけどな」

そう言って、志波は選手たちのもとへ歩いていった。


■ <南東京高校・鳥海視点>

「鳥海監督」

宮本が声をかけてくる。

「なんだ?」

「そろそろアップを始める時間ですよ」

時計を見ながら言う宮本。

キャプテンとしての自覚が滲んでいた。

「おう。

その前に話したいことがある。聞いてくれ」

選手たちが鳥海の前に整列する。

「今日の相手は、一軍ではないが実力的に格上だ。

最後まで走り、気持ちで負けないことは大事だ。

だが――まず頭は冷静に。

事前に決めた約束事を忘れるな」

鳥海の声が、静かに、しかし強く響く。

「そのうえで、ピッチでしか感じられないことを

自分たちで考えて修正してくれ。

いいな」

「はい!」

選手たちの声がグラウンドに響く。

「じゃあアップを始めてくれ。

宮本、頼むぞ」

「みんな行くぞ!」

宮本の声で、選手たちはロッカールームを飛び出した。

鳥海はその背中を見送りながら、

静かに呟いた。

「さぁ……俺も準備するか」


■ 旧友との再会

ピッチ状態、ベンチの位置、風向き。

監督として初めての試合。

鳥海は細かく確認していた。

その時――

「よう。久しぶりだな」

振り向くと、

そこには中学時代のチームメイト、栗林が立っていた。

「出た。イケメンが」

思わず中学時代のノリで返してしまう。

「相変わらずだな」

栗林が手を差し出す。

「今日はありがとう」

鳥海はその手を握り返した。

「いや、大したことはしてないさ」

栗林は軽く首を振る。

「ところで今日は、お前が監督しないのか?」

アップを指揮しているのは志波。

鳥海は気になっていた。

「俺が監督やったら……試合にならないだろ?」

栗林は笑いながら言うが、

その目は本気だった。

「そうか。

まぁ、練習試合を受けてもらってる身だからな。

まずは――彼を倒すとしよう」

鳥海は志波の方を見た。

“ボスの前に中ボスを倒す”

そんな感覚だった。

「じゃあ、またあとでな」

栗林は手を振り、去っていった。


試合開始まで――あと5分。

南東京の挑戦が、いま始まろうとしていた。

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