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第4話 中級レベル『虎ノ門ダンジョン』


 その翌日は幸い土曜日であった。

 昨晩は『虎ノ門ダンジョン』に出現する5種類の敵についての情報を脳みそに叩き込んだ。

 

 準備は万端。

 俺は昼過ぎに虎ノ門駅へと電車で向かった。


 矢印の書かれた案内板に従ってダンジョンへと向かう。

 いつもならば土曜や日曜は大勢の人間が集まっているはずだ。

 しかし今日は人っ子一人としていない。

 

 虎ノ門ダンジョンは地下深くへと広がっている。

 洞窟のような入り口に一歩踏み入れると、入り口に薄い膜が多い、冷気が身体を包んだ。

 ここから出るのはクリア、あるいは死亡、リタイアした場合ときのみ。


 道は多岐にわたっており、マップ情報などを仕入れない状態で挑めば迷子になることは必至。

 しかし調べは済んでいる。


 ゴールへの最短距離を進んでいく。

 すると目の前に一匹のゴブリンが現れる。

 

 『レッドーゴブリン』

  

 その名の通り全身が真っ赤に染まっており、通常のゴブリンよりも凶暴だ。

 

「グァァアアアアアアアアアアア!!」


 叫びながらゴブリンが突進してくる。

 だがこいつが凶暴なだけで知能がないことは調査済み。 

 

 右にひょいとかわして背後から剣で斬る。


 だが、相手はまだピンピンしている。

 それもそのはず。適正レベルの半分程度の今の俺じゃ一撃で倒すのはムリ。


 攻撃を避けて斬撃。

 これを7回ほど繰り返すと相手は青い粒子となって消えた。


 レアドロップとかはなしか。

 まあゴブリンから出るアイテムはあまり価値がないからな。

 重要なのは『雨虎の皮』だ。


 それからしばらくすると今度は二つ首の鳥『ツインヘッド』に接敵した。

 

 こいつの攻略法も簡単。ぐるぐるとこいつの周りを周るだけ。

 すると目を回してぶっ倒れる。

 だがこいつが放つ炎の弾に当たると、多分即死。

 それを避けつつ周る。

 単純だが神経が磨り減る。

 なにせ一度死ねば一週間の遅れ。

 この時期の一週間は後の数年、いや数十年の価値がある。


 ぐるぐるぐるぐる、俺は自分でも吐きそうになるほど周った。

 そうして敵がふらふらと落ちてきたところを斬りつけ終了。


 緊張こそすれど、まだ簡単。


 それからその2種類とはよく遭遇したものの、他の3種とは中々エンカウントしなかった。


 だが20分程経った時、そのうちの一体と遭遇した。


 透明ななまこのような姿をしたそいつは『レインスライム』見た目に反してかなり手強い。

 しかしこいつが今回お目当ての『雨虎の皮』をドロップする。

 ところでこいつの『皮』って一体どこなんだ?


 レインスライムは電気の攻撃に弱い。

 というより生半可な剣による斬撃が効かない。

 スライムの中央にある核に届かないからだ。


 俺がもつ唯一の電気属性の魔法スキルは『レイジ・ライジング』。

 中級程度のスキルだ。

 こいつを倒すまでに何発必要か。やってみなければ分からない。


 敵の攻撃は多岐にわたる。とにかく触れたらヤバい。

 全身の水分を吸われて死ぬ。ダンジョンで痛みは感じないが、かなーり気持ちの悪い気分になるらしい。

 

 先手必勝。

 俺は『レイジ・ライジング』を敵に向かって放つ。

 しかし見た目に反して素早く、壁に張り付いて避けた。

 そうして今度はこちらへ向かって突進。

 それを交わしてもう一度『レイジ・ライジング』を放つ。

 敵はかわしきれずに身体の一部が地面に落ちる。

 だがすぐに体にくっつき再生。

 

 核となる中央にクリーンヒットさせなければダメだ。


 俺はしばらく交戦。

 だが、相手の動きに付いていけず、MPが限界。


 次がラスト。

 

 例えこいつを倒しても、こりゃあクリア出来ないな。


 だが、せめてこいつ一匹でも。


 敵が高速で突進をしてくる。

 それを避けると、先程よりも弱っているのか、隙が大きい。


 これなら!


「レイジ・ライジング!」


 電撃が敵にクリーンヒットする。

 

 敵はプルプルと小刻みに震える。


 スライム種は核を壊すとそのまま消滅する。

 しかし目の前のこいつは、


「パンッ」


 という破裂音と共に爆発。

 つまり、倒せていないということ。

 これではまたコアに戻り、再生する。

 つまり、この飛んでくる細かな体に少しでも触れれば、死ぬということだ。

 

 しかしほとんどゼロ距離、避けることは出来ない。

 万事休す。


 眼前に、透明で綺麗な粒がやって来る。

 だが次の瞬間に青い粒子となって消えた。


「危ない所でしたね!」


 声の方を見ると、胸の大きい、世間体を気にするなら胸筋の立派な茶髪の女性が立っていた。

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