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第3話 金儲け

 よれよれと家へ帰って改めて作戦を考える。


 ネットでは様々な憶測が飛び交っているようだ。


『ダンジョンの王かなんかが目覚めたんじゃないか』

『いや、知らず知らずのうちに誰かが最終ダンジョンをクリアしたんだ』

『誰かのユニークスキルかも!』

『鶴留豪の仕業だ!』

 乱雑な意見の中に、正解はある。だがその意見に気を止める人間などいない。


 ネットサーフィンをして更に驚く意見を見つけた。

 その内容は、リセットされたのがステータスだけであるということだ。


 これはつまり、ユニークスキルや獲得したスキルはそのまま維持されているということだ。

 これだと結局強いユニークスキル持ちはすぐにまたレベルを上げる。

 俺はこれを見てかなり現実に引き戻された。

 

 しかし驚くべきは次の記述だった。


 『なにより面倒なのは、レベルアップまでの経験値はリセットされてないってことだよな』


 これを読んだ瞬間に衝撃を受けた。

 

 次のレベルまでの必要経験値がリセットされない……?

 つまり、1億レベルだったやつは、レベル2にすらなかなかなれないってことだ。


 平等という言葉が脳裏に浮かんだ。

 強いユニークスキルを持つ奴も、弱いユニークスキルを持つ奴もみんなほとんど同じ程度にレベルが上がっていく。才能はほとんど無視され努力がものを言う。

 

 俺が望んでいた形。

 しかし実際に目の当たりにすると恐ろしい。

 言い換えるとこれは、言い訳が聞かないのだ。

 才能のせいにすることが出来なくなってしまったからだ。


 だが一方で興奮している。自分の本当の力、人間として本質的な才能、言うなれば意志の力を試す時がきたからだ。

 

 この世界で一番の冒険者になる。

 夢が正夢になりつつある。

 むしろ『ステータスオールリセット』を使用した俺は圧倒的に有利。

 今のうちに差をつけて、まずは当初の目的通り金を手に入れよう。

 

 そのためにもまずは情報収集だ。


 俺はそれからインターネットを様々巡った。 

 インターネットオークションを覗いてみると、昨日まで数百円で売買されていたアイテムが十倍の数千円で取引されている。高難易度のダンジョンで手に入る素材を使用した武器や防具に至っては、当たり前のように数百倍の、数千万円で取引されている。

 

 驚くべきはそれを買う人間がいるということだ。


 しかし考えれば理由は見えてくる。

 レベルが低い時点でスキルやユニークスキルはあまり意味がない。そもそも発動するための魔力がないからだ。そうしてそんな軟弱はスライムにぶつかったら死ぬレベル。 


 だが武器や防具はステータスにあまり関係なく恩恵が得られる。

 筋力によって使用できない武器や防具があるため、現状は軽い素材の武器防具は超高額で取引されている。


 今なら中級ダンジョンで手に入れられる素材でも数万円、ものによっては数十万円で取引できる。

 

 まずはこれだな。

 俺は、アイテムによる金儲けをすることに決めた。

 理由は二つ。

 まず一つは簡単だからだ。アイテムを手に入れて売るだけ。分かりやすい。

 二つ目は安全だからだ。『ステータスオールリセット』が明るみに出れば俺は殺されるかもしれない。大袈裟ではなく俺は、他人の努力を奪ったのだ。当然そうなる可能性は高い。

 今この段階でレベル600なんてことが知られる訳にはいかない。だからこそ目立たずできるインターネットオークションは便利なのだ。

 

 ここで問題になってくるのは、一体どこのダンジョンでアイテムを集めるのか、だ。

 俺がいつも行っている『立原ダンジョン』は初心者向けでアイテムもしょぼい。

 その上、今都内に住む冒険者が押し寄せて三時間待ちとの話もある。


 となるとやはり中級レベルのダンジョンに行くしかない。冒険者の言う所の中級はレベル1000である。つまり俺はその6割程度しか達していないのである。


 だが、やるしかない。幸い大量の情報がネットにはある。現れるモンスターの情報をすべて把握してから挑めば何とかなる。足りないレベルを脳みそでカバーする作戦!! 勉強はそこそこできるし何とかなるだろう!!


 ここだ!

 そうして決めたのは「虎ノ門ダンジョン」

 出てくる敵の種類が少ないため対策がしやすく、なによりここで稀にドロップする『雨虎あめふらしの皮』が70万円で取引されていたからだ。『雨虎の皮』は『アメフラシの杖』に使用される素材であり、これは文字通りダンジョン内に雨を降らす杖である。雨と言っても聖水で、これが炎系の敵が多いダンジョンでは重宝されるのだ。


 という訳で行ってきますか、「虎ノ門ダンジョン」!!


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