ただいま
森の件があってから馬車に揺られて3日ついに王都が見えてきた。真上にはもう太陽が登っている。
「王都に入ったら屋台で何か食べよう。」
「はーい!」
「お肉がいい!お肉!」
シルとシゼはよだれを垂らしながらはしゃいでいる。他のみんなも王都がどんなところか楽しみにしているようでソワソワしていた。
王都の中に入る前に検問を済ませ、馭者に残りの代金を支払って夜達は徒歩で邸に向かった。邸に向かう途中あの串肉の屋台があったのでそこで人数分の串肉を買いみんなと食べた。
「この味懐かしいなぁ。噛んだら肉汁が溢れてくる。塩味と特製の果汁ダレがすごく合う!」
「美味しー!」
「美味美味!」
「この味是非教えて欲しい…。」
「美味しいです〜!」
「おいしい。」
夜が串肉をの味を堪能している横でみんなそれぞれ串肉を絶賛していた。
串肉の屋台があるここの通りは大通りになっていてすぐ近くには野営道具や生活品を揃えている店や服屋や武器防具を売っている店もある。新鮮な野菜や肉なども屋台で売られている。奥に進むと冒険者ギルドもある。
「邸に行く前に君たちの生活品を揃えていこうか。」
そうして人数分の食器や服この子達に必要なものを揃えて邸へ向かった。
だいたい1ヶ月ぶりかな…。
そう思いながら夜は邸の扉を開けた。すると誰もいないはずの邸の中から聞き覚えのある声がした。
「夜お兄ちゃん!おかえりなさい!わぁ!少し大きくなってる!」
「ただいま…って、リオ!?どうして??城に居るはずじゃ…」
「えっとね!ファーニルくんがもうすぐ帰ってくるって言ってたから!お出迎えしようと思って昨日から戻ってきたの!ね!ファーニルくん!」
「うん、おかえり主。」
「そうなんだ!ただいま、ファーニル!2人とも会いたかったよー!」そう言って夜はリオとファーニルに抱きついた。
リオは「えへへ。」と笑い、ファーニルは「苦しぃ。」と言いながら嬉しそうに頬を赤らめていた。
「そういえば、ガーディルはどこ??」
「ガーディルお兄ちゃんは冒険者ギルドに行ってるよ!昨日帰ってる途中でゴウゼフさんに会ってクエストを頼まれてたから!今日中に戻るって言ってた!」
「そうかじゃあ、ガーディルが戻る前に家の大掃除終わらせようか!その前にみんな自己紹介だね。まずこっちはリオとファーニル僕の家族だよ。あと一人ガーディルっていう男の子もいるからね。でこの子達が今日から新しくここで一緒に暮らす子達。まず獣人の子達からね!猫族の子達はシルとシゼ。シルの方がお姉ちゃんでシゼが弟だよ。ヤギ族の子はフェリテ。こっちは黒豹族のルクアだよ。 」
「よ、よろしくお願いします…。」
「お願いします…。」
シルとシゼは夜に隠れながら言った。
あれ?意外と人見知りなのかな、アリシアの時はそうでも無かったように思ってたけど。
「よろしくお願いします」
「よろしく」
フェリテとルクアも少し緊張してる?
ファーニルを特に気にしているようだった。
「次は人間の子たちだね。この人がジェイソン料理を作ってくれる人だよ。でこっちが庭師のロレンス。ショートの女の子がミア。髪の毛を一つにまとめてる子がシーナだよ。」
「ジェイソンです。これからよろしくお願いします。」
「ロレンスと申します。よろしくお願いします。」
「ミアです!お仕事頑張ります!」
「シーナと言います。精一杯お仕事に励みます。」
「はい!よろしくお願いします!」
「よろしくね〜。」
「自己紹介も済んだことだし大掃除を始めたいと思います!まず風魔法と水魔法が使える子達は部屋の高いところや屋根や窓の掃除をお願い。他の子は邸の1階に掃除道具を入れてある部屋があるからそこのものを使って掃き掃除と拭き掃除をよろしく。ロレンスは庭の伸びだ枝とかの剪定お願い。部屋の掃除がおわり次第ロレンスと庭掃除をして、ジェイソンは僕と料理ね。リーシアは個別で用があるから残ってて。よし解散!」
夜の指示の元、各々自分の仕事に取り掛かろうとしていた。
リオは「シルちゃんシゼくん行こ!!」そう言ってシルとシゼの手をとった。シルとシゼはお互い顔を見合わせて笑顔でリオに答えた。
「「うん!」」
「君たちも行こ」
ファーニルが珍しくフェリテやルクアに話しかけた。
興味を持ってるのかな?
2人は緊張してなのか頬を少し赤らめ高揚しているようだった。
「「はい!」」と2人は返事をしてファーニルのあとをついていった。まるで水鳥の親子のようで微笑ましかった。
「良かった仲良くなれそうだ。」
それを見ていた夜は安堵の表情を浮かべた。
「主様。用とはどの様なご用件でしょうか?」
「今日は歓迎会をするから外で食べようかなって、だから簡易的なものでいいから窯作りをお願い。」
僕が作れたらいいんだけどこの体色々不便だからな…この前みたいに魔力暴走して迷惑かけたくないし。この体が元に戻るまでは下手に魔法は使えないな。【編集】が使えたら薬の効果消して元に戻れるのに…このスキル持ってるのは僕とシーフェだ…け…。
ん?シーフェ…?
「そうだ!シーフェがいる!!リーシア今すぐシーフェをここに呼んで!」
「は、はいかしこまりました。」
リーシアは呆気に取られながら【通信】でシーフェを呼んだ。程なくしてシーフェが目の前に現れ、その場にいたジェイソンはいきなり現れたシーフェに驚いた。
「お久しぶりです主様、っていつの間にその様な愛らしいお姿に…ッ!」
「少し前はもっと小さかったけどね。シーフェ早速だけど僕に編集を…って聞いてる?」
「こ、この姿よりも幼い…戻ったら世界の記憶を見ねば…」
何やら考え事をしているシーフェを正気に戻し話を進めた。シーフェはすぐ編集を使って夜の薬の効果を消した。
「これで薬の効果は無くなったはずです。急成長するはずなので魔力を一気に消費します。ですから眠気が伴うはずです。なので主様はしばしの間お眠り下さい。」
そう言ってシーフェはどこから取り出したのかシーツを被せ夜を包み抱き抱えた。シーフェが言った通り夜は猛烈な眠気に襲われシーフェの腕の中で眠ってしまった。
「僕は主様を寝室へ連れてきいます。リーシア、貴方は主様が言い付けていた事をしなさい。それとジェイソンさん、主様の代わりに僕が料理をしますので手伝ってくださいね。」
「はっ!」リーシアは指揮官の命令を受けたように。
「は、はい。」ジェイソンは状況が飲み込めないままオドオドとした返事をした。
夜を抱えたシーフェは夜の寝室に着いた。
「少し埃っぽいですね。」そう言ってシーフェは自分を編集し指をパチンと鳴らした。すると部屋は瞬く間に綺麗になった。
シーフェはベットに夜を寝かせ服をぬがし今の夜には少し大きい元のサイズの物を着せた。眠っている夜は綺麗な人形のようだった。
夜の寝息が少し肌寒い部屋の中聞こえた。
シーフェは寝ている夜の手に自分の手を重ねた。
「主様もっと僕を頼って下さい…。魔力暴走の時深い穢れた精神の湖へ落ちていった時だって…僕を呼んでくださればもっと早くに助けられたのに…。僕は貴方が必要として下さらないと助けることが出来ないあの時だって声を届けるのが精一杯だった…。先程はとぼけましたがずっと見守っていたんですよ。今世では貴方をきっと見捨てませんから…。ですからどうか僕を1人にしないで…。」静まり返った部屋で苦しそうに顔を歪ませ小さく吐かれた懇願は静かに消えた。
数時間経って夜は目を覚ました。目を覚ました夜は体を触り元に戻った事を確認した。
「こんなあっさり戻るんならもっと早く気付くべきだった…。ありがとうシーフェ!っていない…てっきり起きるまでいてくれると思ってたんだけど、もう天界に帰っちゃったのかな。あれ、いい匂いがする。」そして窓の外を見るとシーフェとジェイソンが料理をしていた。それはもう華やかに、よく見るフライパンから火を出すような事もしていた。
「すごいなぁ。でもシーフェ料理したこと無いはずだけど…。編集でどうにでもなるか。」
シーフェはジェイソンと連携してテキパキと料理をしていた。まるで街中の芸を見ているような心躍るものだった。窓から見ているとシーフェがこちらに気づいた。
「主様!体の調子はいかがですか〜?!」
「うん!すごく良いよ!ありがとう!そっちに行くね。」
そう言って夜は窓から離れ自室を出た。部屋を出ると邸の中はとても綺麗になっていた。
「すごい綺麗になってる。みんなが頑張ってくれたおかげだね。ご褒美は何がいいだろう。」
そんなことを考えていると部屋の角から誰かが走ってきた。
「おっと。」
危うくぶつかるとこだった。
「ああ!すみません!」
「ぶつかってないから大丈夫だよ。ミア沢山掃除道具持ってるけど大丈夫?運ぶの手伝うよ。」
「な、なんで私の名前、い、いえ!これくらいひとりで持てますよ!」
「そう?でも半分は持たせて、大掃除して疲れてるでしょ?僕さっきまで眠っちゃってたから。」半ば強引に掃除道具を持ち夜はミアと廊下を進んだ。
「ミアしかいないけどこの廊下と窓一人でやったの?」
「はっはい!わ、私はこのくらいしか出来ませんので…。」
「謙遜なんてしなくていいよ!ほんとに綺麗になってるんだから!僕もみんなの主人としてもっとしっかりしないといけないなっ。」
笑いながら言うとミアはしばらく夜の顔をじっと見た。
「主人…ってえ!!ヨル様だったんですか!!?てっきり別の方かと……。」
「そうだよ。だから名前呼んだ時驚いてたのか。」
「は、はいぃ…。」
「それなら、ほかのみんなも僕って分からないかな。」
そんな雑談をしながら夜たちは1階に降りた。
1階の広いエントランスに着くとみんなが集まっていた。
一番最初に気がついたのはリオだった。
「あ!夜お兄ちゃん元に戻ってる!!」
階段の方をみるリオにつられみんなが夜を見た。
「ヨル様??」
「あれが元のお姿…」
皆がまじまじと夜を見た。
「そんなに見られると緊張するな。掃除どこまで終わった??」夜は階段をおりながら聞いた。
「邸の中はもうだいたい終わったよ!次はみんなでロレンスさんと一緒に庭をするの!」
するとリオが元気に色々報告してくれた。
「そっか、じゃ庭掃除が終わったらみんなで夕ご飯にしよう。」
夜の言葉に皆、目を輝かせ一目散に外掃除へ向かった。
「ミアもいっておいで。残りは僕が片付けておくから。」
「はい!」
そう言ってミアはみんなの後を追いかけていった。
邸と庭…あと何か忘れてるような……お風呂だ。そこは僕がしよう。」
夜は部屋に掃除道具を戻し、外のお風呂場へ向かった。
お風呂場の前に着くと夜は【鑑定】と【編集】で汚れている状態の部分を消した。
「これでお風呂は終わり。シーフェの所へ行こう。」
夜はシーフェとジェイソンの元へ向かった。
シーフェの元へ行くとスープを作っている最中だった。
「主様、お体の具合はどうですか??」
「うん、凄くいいよ。ありがとうシーフェ。」
パンを焼くような窯とコンロのような窯を使い分けテキパキと料理を作るシーフェとジェイソンを横にその間に夜は【創造】で大きな机と白いシーツを作り、机にシーツをかけた。
「今どこまで料理って終わってるの??」
「今できているメニューがこちらです。」
そう言ってジェイソンがメモを夜へ渡した。
「作り終わったものには丸をしてあります」
シーフェがそういうので確認してみると料理の半分は既に終わっていた。
「バックの中の物じゃ少し素材が足りないね。魚と果物。お昼買い忘れがあったからちょっと買ってくるよ。」
「承知しました。」
シーフェの見送りを受けて夜はテレポートで街へ向かった。
夜は大通りの路地へテレポートした。
「良かった正常に使えてる。よし!買い忘れた材料早く買おっと。本当は【創造】で作ればいいけど国にお金を落とす事も大事だからね。」
夜は雑貨屋でジェイソンたちの分の食器や、あの時皆が遠慮して買わなかった櫛、髪飾りやリボンをいくつか購入した。
「あの時皆が買ってたのは下着や服、靴とかだったから仕事用の服は僕が作るとして。今度他に何がいるか聞いてみよう。あとは食材だね。」
そうして夜は果物や足りなかった食材、補充しないといけない食べ物を買い込んだ。
色んなお店をハシゴしていると道端で女子がバスケットに沢山詰めた花を売っていた。
「いかがですか〜。鉄貨1枚です。」
それを見てもほとんどの人が通り過ぎていった。
なかなか売れない花を見ながら女の子は泣きそうになっていた。
「お嬢さん、お花をくれませんか?」
その言葉を聞いて女の子はゆっくりその声の方を向いた。
「実はパーティーをする予定なんですけど花を仕入れるのを忘れてしまって。お嬢さんが持っているその花はとても綺麗だ。全部買い取るのでまとめ買いということで銀貨11枚で如何でしょう?」
「え、そんな、多いです!このバスケットの中には50本しかないのに…」
「それほどその綺麗な花が欲しいってことだよ。」
そう言いながら夜は女の子に銀貨が入った麻袋を渡した。泣きそうな顔をしながら「っ!ありがとうございます…!」女の子は花を渡して走っていってしまった。
「机に飾る花はこれで調達できた。次は魚だけどここは大陸の中心寄りだから新鮮な魚はすぐ売り切れちゃうんだよね。ちょっと王都の外出ようか。」
そう言ってまた夜はテレポートを使った。
夜が来た場所はアルカナの森の近くの滝だった。
「ここなら人もいないしいい魚が取れるかも。」
「水ノ籠」
夜が魔法を唱えると川の水がザッと音を立てて上へ登っていく空中に水のたまができるとそれは直ぐに細かい網状に変わって余分な水を落とした。
上から見ると中には沢山の魚が入っていた。
その中に一際大きい魚と一匹珍しい魚が入っていた。
「あれっ、これって…暴れ魚と幸運の魚だ。普通の魚もちらほらいるね。とりあえずアイテムボックスに入れたいから電気流しとこう。電撃。」
そう言って夜は電撃で魚を気絶させアイテムボックスへ収納し邸へ戻った。
「ただいま。材料集めてきたよ。」
「主様、おかえりなさい。こちらもほとんどの料理と下ごしらえは終わりました。」
「じゃ、残りの料理も作ろうか。」
そこからは怒涛のスピードで夜・シーフェ・ジェイソン達は料理を作っていった。作り終えた料理は全て魔法鞄に収納された。
後は果汁水や簡単なサラダの盛り付けだった為、ジェイソンにみんなを呼んでくるように伝え、残りのものを急いで作り終えた。そして会場の準備をした。魔法鞄にシーフェ達が入れた料理を机に並べ少女から買った花を花瓶に入れ机に飾った。日も暮れてきた為温かな灯火という魔法を使い空中に発光体を作った。それは浮遊しながら優しく光っていた。机から離れたところに焚き火を作り土魔法で土台を作って椅子も作った。
「これで寒くもないだろう。」
会場が出来終わるとリオが一目散にやってきた。
「あ!シーフェお兄ちゃんもいる!」
「リオ、お久しぶりです。」
シーフェの元へ向かったリオは聞きずらそうに
「あ、あの、シーフェお兄ちゃんお父さんたちって…」と聞いた。
リオはまだ子供だ。1ヶ月だっても死に別れた家族が恋しいはずだ。そんなことを思いながらシーフェの回答をまった。
「安心して下さいお2人とも今は私の元で働いてくれています。貴方のとこをいつも見守っていますよ。いつもあなたの事がすごいんだと自慢されています。」そう言いながらリオの目線に合わせてシーフェはしゃがんだ。
「ッ!!!」リオは驚きその隣では夜も驚いていた。
「てっきり転生してるのかと思ってたよ。」
「はい、転生していますよ。今はオルフェスとラルフェスの補佐役になっています。」
まさか2人が天界と魔界に転生してるとは思わなかった。
「あ、そうでした。こちらお手紙です。」
シーフェが手紙を渡すとリオは今にも泣き出しそうに手紙をぎゅっと握りしめた。
「シーフェお兄ちゃんありがとう…ございます…。」
そんなリオを夜は抱き締め目でシーフェにありがとうと合図を送った。
続々とファーニル、リーシア、シルとシゼ、フェリテやルクア。ミアやシーナ、ロレンスが会場に集まる。
みんな会場の華やかさに驚いていた。
皆とは別方向から声が聞こえた。
「ただいま。」
振り返るとガーディルがそこにいた。
「おかえり!ガーディル!」
ガーディルは大きな麻袋になにやら入れている。
「お土産。」そう言ってガーディルは夜に麻袋を渡した。
「ありがと、ガーディル。」そう行ってガーディルの頭を撫でた。久しぶりに撫でられて嬉しそうにガーディルは尻尾を揺らした。
夜はガーディルから少し漂う匂いに顔を曇らせた。
「血の匂いがする怪我してるの??」
「違う。返り血だ。」
「怪我してるわけじゃないんだね。今綺麗にするから。洗浄。これでよし。みんな集まったしご飯にしよう!みんなそこの飲み物を取って。」
みんな各々好きな飲み物をカップに入れ手に持った。
「それでは新たな住人に乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
みんな一通りの食べのを美味しいと言って食べていた。
「シーフェ、ジェイソンありがとう凄く美味しいよ。」
「それは良かったです。」
「ありがとうございます。」
「それと、シーフェ2人で話したいことがあるからちょっといい??」
「はい分かりました」
「少し場所を変えよう。ファーニルちょっとバッグを貸して欲しい。」
「うん?わかった。」
そうして夜はシーフェと一緒にあの真っ白な空間まで戻った。
「ここなら良いよね。」
夜はそう言いながらシーフェに向き合った。
「地上に降りて1ヶ月ちょっと、気づいたことがあるんだ。自分がどれ程愚かか、途中で神としての仕事を君に押付けてあっちへ逃げた。でも逃げた先で自分が何をすればいいか少しわかった気がする。人間達なら貧しいものと裕福なものの落差。魔物たちなら人間や獣人エフルや他の人族が邪悪な気持ちになって生まれる穢れで狂い出してる子達がいるのも。自分から放り出して今更だけど少しづつでも神としての仕事を教えて下さい。」そう言って夜はシーフェに頭を下げた。シーフェは夜にゆっくりと近づいた。
「前にもリーシア達が言っていたように貴方は貴方がしたい事をすればいいのですよ。それが経験となりその経験を経て神として成長する。神が成長するということは世界の成長へと繋がります。例えそれが初めが不純な動機でもです。こうやって貴方は成長して神としての責務を果たそうとしてくれています。ですから、貴方が頭を下げる事は無いのですよ。」そう言ってシーフェは夜の頬に手を添え上を向かせた。
シーフェは笑っていた。微笑むように愛しいものを慈しむように笑っていた。
そんなシーフェの顔を見て夜は自分の愚かさを悔い慈悲に甘えた。
それから夜とシーフェはこの世界の問題点、改善点を紙にまとめた。
「だからこの世界の穢れた魔力を集めてそれを還元か何かできないかな?」
「還元はできるか分かりませんが、集めてほかのものへと変えることは出来ます。ここに降りてきた日に渡した本を出してください。そこに今から書き込みましょう。」
「わかった。」
夜は本を取りだした。
「こちらをご覧ください。」そう言ってシーフェはとある欄に指を指した。
「これは、ダンジョン迷宮…?」
「はい、そうです。それは主様の魔力を糧として作られるものです。構成する場所を地図にピン留めしてそのピンに規模と構築する形をイメージして魔力を流してください。例えば塔型や洞窟型などですかね。全ての迷宮に穢れた魔力だけを吸収するように設定してその迷宮の一番奥に目には見えない装置を作ります。その装置はあそこにある道具で作りましょう。」
そう言って指さしたのは転生して一日目に見たガラクタの山だった。
「あれ。使えるんだ…。」そう思いながら色んな場所にピンを挿してダンジョンの規模を考え構築していく。今作ったのは全部で48。
「シーフェ、作ったよ。」
48種類のピンが地図にささっている。
「今はそのくらいで構いません。次はあの道具を使います。対になっている48コのピンをその道具の中に入れてください。」
ピンを道具の中に入れるとホログラムのようなものが48本分現れた。
「次は1ピンずつ魔力を込めながらそこに発生させる魔物、鉱物、植物。襲われないセーフティーエリアや万が一の脱出陣を置く階層を作ります。主様が以前していたゲームのように魔物を倒した時のドロップアイテム等を考えるのも忘れずに。」
「ダンジョンが穢れた魔力を吸ってその魔力がダンジョンの維持、ダンジョン内の魔物の構築をします。倒した魔物の大半は綺麗な魔力となって地上に戻り後のものはドロップアイテムアイテムとなるので貧しいものがこれで救われるといいのですが…。」
「とりあえず全部終わったしこれで暫く様子を見てみよう。オルフェスたちの時のように神託も出さないといけないね。気づかれず魔物が溢れたらいけないし。」
「それは僕が代わりに出しておきますね。」
「うんありがとう。神託ってどうやって出してるの?」
「それは、あちらの電話で神殿に電話をかけているだけですよ。」
「そうだったんだ…。まさかの電話…。」
「今のところ問題点は解決出来ましたし、主様はリオを立派にするという役目もあります。早く地上へお戻りください。」
「そうだったね。また来るよその時は他の仕事も教えてね。」
「はい!」夜は地上へ戻りシーフェはそれを見送った。
「行ってらっしゃいませ…」シーフェの声は白い空間に響いた。
夜が邸へ戻るとみんなはまだご飯を食べていた。ご飯の量を見るとあまり時間は進んでいないようだ。シーフェが配慮してくれたのだろう。
そうして飲んで食べて歌って踊って演奏してあっという間に一日は終わった。




