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世界を創った神様は人界で隠居します。  作者: ヒカゲ
人界にて
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薬の調合

リーシアはテレポートで深い洞窟の入口に来ていた。

月明かりで微かに見えるが周りはとても暗い。

「1つ目の素材は恐らく…」アイテムボックスから短剣を2本だし腰に装備した後、リーシアはその洞窟に静かに入っていった。暗い洞窟の中を進んでいくとずっと奥から微かに甘い匂いが漂ってくる。

しばらく進んだ先にようやく見つけた。

地下水が洞窟の奥で滝のように流れている。そのひんやりとした温度と飛ぶ飛沫で苔が成長し、壁を覆っている。その苔から瓶のよに透明な皮の中に金色の蜜が入っているコケミツミという植物。実から垂れた蜜が水溜まりになり、そこから金色の木が何本も伸びていた。

「まずは、1つ目。」

コケミツミと木の枝を切って【アイテムボックス】に入れ、リーシアは別の場所へ移動した。


テレポートした場所は極寒の雪山だった。

リーシアは【火護り】のスキルを使用し身体を保護した後とある魔物を探した。

その魔物は雪山の最上部にしかおらず、滅多に見ることはない。いつもは雪の中に潜っているからだ。


「少し手荒いですが…」

リーシアはそう言って頂上に拳を殴りつけた。

徐々に振動は大きくなり雪崩が起こった。あたりの雪は一気に雪崩落ち、雪の中に隠れていた魔物が姿を現している。その魔物達はいきなり起こった出来事に混乱し近くまで降りてきたリーシアに攻撃をした。

「手荒な事をしたのは申し訳ないと思っています。ですが緊急事態なのです。すみませんがあなた方の背中から生えている薬草いただきます。」

突進して来た魔物を片手で受け止め魔物の角を持ち上げ背中から雪に叩きつけた。魔物は雄叫び気を失った。

リーシアはその間にその魔物の背中から生えている薬草を採った。その薬草は葉が分厚く、小さな赤い花を付けている。その薬草には解熱効果と魔力を安定させる効果がある。


「3つ目は恐らくこの山の麓…」白い息を吐きながらそう呟き飛行魔法を使い麓まで一気に下った。



「まだ時期としては少し早いですが芽さえあれば…」


リーシアは麓に生えている草を掻き分けた。自分の手が泥まみれになり途中葉で指を切り、それでも必死に探した。1時間ほど過ぎた頃。


「あった…!」


それは普通の雑草にしか見えない小さな双葉の芽。

リーシアはその芽を辺りの土と一緒にアイテムボックスに入れた。そしてリーシアは王都の邸へ飛んだ。


「ファーニル、ファーニルどこですか。」

リーシアはいつもファーニルがいた木の下へ行き呼んだ。

「…リーシアどうしたの??」

リーシアに気づいて木の上からファーニルが眠たそうに顔を出した。小さな姿でパタパタとリーシアの腕へ降りてきた。リーシアは先程採った小さな双葉の芽を「これを成長させて下さい。」と言いファーニルへ差し出した。

ファーニルは眠たそうにしながら小さな双葉の芽に吐息をかけた。するとその芽はぐんぐんと成長し真っ白な実のような花を咲かせた。


「これでいい…??」


「はい、ありがとうございます。」

成長した花をアイテムボックスへ戻し腕につかまっていたファーニルを木の枝へ移した。

「あと数日すれば戻ります。他の者たちへ伝言を頼みます。」

そう言ってリーシアは邸から姿を消した。


「んー、わかったぁ…」

ファーニルは返事をしてまた眠りについた。




リーシアはテレポートで夜達の元へ戻った。

突然現れたリーシアに奴隷達は驚いた。


「戻りました。主様のご様子は…?」

「先程苦しそうにされていましたが今は落ち着いて眠っています。」ジェイソンは夜の頭に置かれていた濡れタオルを変えながら伝えた。

「そうですか、ジェイソン鍋と包丁を少し借ります。」


そう言って、リーシアは包丁が置かれている台の元まで来て先程採った薬草を出した。

「まずはこれから…」


コケミツミの実の皮を剥いで蜜を取り出し、鍋の中に水と蜜を7:3で入れ沸騰させる。別の鍋で魔物から採ったロマリーの葉と麓で採れたツロティツの葉と根を入れ煮る。煮立たせたお湯の色が赤色になったら火を止め細かく砕いたツロティツの花弁を入れる。色がオレンジ色になったら先程の沸騰させた鍋とまた7:3で混ぜる。

黄金色になったら、ロマリーの花を入れて少し温める。

覚ましたら完成だ。

瓶に入れそれを夜の元まで持っていった。

「主様、これをお飲み下さい…。」

そう言って夜を抱き口元へ瓶の中に入った薬を流し込んだ。

夜は少しずつ飲みまた静かに眠りについた。

「鑑定」

リーシアは夜のステータスを確認し状態異常の部分に異常がないかを確認した。


「これでもう大丈夫です…。」

リーシアは安心して夜を寝かせた。

それを聞いた奴隷たちも安堵した表情で夜を見た。


「あ、グラーン貴方は帰って良いですよ。」

淡々とした表情で言うリーシアにグラーンはショックを受けたように元の場所へと帰って行った。


遠くから縄に巻かれている盗賊もほっとしたような表情をしていた。

寝静まった夜、それを見守るように月が暖かく当たりを照らしていた。


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