他の心情
少しr15入ってるかもしれません(?)
(ふわふわする…なんだこれ…)
ぼやけた意識の中、夜は自分がスクリーンのようなものに写り森に魔法をかける映像が自分の頭の中で流れていた。同じ場面が何度も流れ魔法を使うと意識を落とす。という光景を何度も見た。
「ヨル様〜!朝だよー!」
「朝〜」
日が昇り朝だ朝だと騒いでいるシルとシゼの声で夜は目を覚ました。
「おはよう2人とも」夜はそう言い2人の頭を撫でる。それに反応して2人が夜に飛びつきもっと撫でてとせがんだ。
「おはようございます主様。」
「おはようございます。」
「おはよう…ございます。」
リーシア、フェリテ、ルクアの順で他の子達も次々に挨拶をしてくれる。そんなみんなに夜は笑顔で「おはよ」と言った。
みんなが夜の笑顔にキュンとなった事は言うまでもない。
ジェイソンが作ってくれた朝食を食べ再び馬車に乗る。
馬車に揺られて魔力を宝石に貯め、昼食を食べまた揺られて魔力を宝石に貯め、野営してそんな日を続けた。
「この調子ならあと2日で王都に着きます。……あと3日はかかるはずなのにな…」予定よりだいぶ早い到着に馭者は困惑しながら夜達に伝えた。
昼食を食べている時「あのっ!ラージア国ってどんなところなんですか…ッ?」茶髪が肩まで伸びた女の子が楽しみそうに聞いてきた。「……私も気になります…っ。」それに黒髪をひと束にまとめた子が同意して聞いてきた。
2人とも人間で10代の女の子だ。
「ミアとシーナはどんなとこだとおもうの?」
(ミアとシーナはどんなとこだと思うの?)
「美味しいものが沢山あるって聞きました!」
「食べ物が豊かで賑わっていると聞いた事があります。」
ミアとシーナが順番に話していく。
「まぁ、だいたいはあってるかな、おおさまじたいがしょくりょうめんにちからをれてるからね。ほかにもいろいろ…」
(まぁ大体はあってるかな、王様自体が食糧面に力を入れてるからね。他にもいろいろ…)
夜は話を聞いていたみんなに色んなことを話した。
馬車に揺られながら景色を見てるいと色んなものを横切る。森や崖や川、行商人や冒険者、動物や比較的攻撃的ではない魔物のスライム等、見ていて飽きないなと夜は思っていた。すると何やら前方が騒がしかった。
「お前らァ金目のモン置いて行きやがれェ!」
なんだと思い夜は馬車の荷台から前を覗き見る。いくつか前の馬車の前に盗賊がいた。
(おおー、旅で盗賊に会うなんて初めてだなぁ。)
呑気にそう思いながら夜は様子を見ていた。盗賊がでて夜達が乗っている馭者もフェリテ達も怯えている様子だった。
前の馬車の馭者は冒険者を雇っていて今にも交戦状態に入ろうとしていた。盗賊が15人ほど、冒険者は剣士2人、魔法士1人、大きい盾と大剣を持った人が1人弓使いが1人の5人パーティーだった。
剣士と盗賊が剣を交え金属の音が聞こえる。
お互いを切りつけ合い血飛沫が飛び、お互いによろめくが剣士は魔法士から回復魔法をかけてもらっていた。そしてしばらく戦いが続くと後ろにも馬車が止まった。その馬車の護衛の冒険者達が加勢し半分減らされたところで盗賊達は引いていった。その表情は何か焦っているように見えた。その時冒険者の1人が背中を切りつけられていたが回復ポーションを持っていたらしく命に別状はないようだった。
(あんなにあっさり引いていくのか)
夜は斬られて倒れている盗賊を見ながら考えていた。
(治して検問所に連れていく方がいいかも盗賊のアジトも見つかるかもしれないし)
「ちょっといってくるね」
リーシア達にそう伝え夜は馬車の荷台から落り、盗賊の元へ急いで走っていった途中転んだがなんのこれしき精神で起き上がりそれを見ていたリーシアはハラハラと心配していた。盗賊の元へ着き今にも死に絶えそうな盗賊を助けようと回復魔法をかけようとした。すると横から衝撃を受けた。その衝撃で夜はコロコロと転がった。「主様!」と遠くからリーシアの声が聞こえた。
転がった衝撃で膝や頬をを擦りむき衝撃が来た横腹が痛む。近くまで走ってきているリーシアを見て目で大丈夫と伝え転がった方向を見ると冒険者の1人が夜を蹴ったということがわかった。その冒険者は夜に近づき夜の髪を掴み目を見て夜に聞いた。
「おい、てめぇ今何しようとした。」
夜の髪を掴んだ冒険者の目は血に飢えた獣のように獲物に狙いを定めていた。
夜は髪を引っ張られ顔を歪めながら答えた。
「なおそうとおもって…かいふく…まほう…」
(治そうと思って回復魔法をかけようとした。)
痛みから上手く喋ることが出来ず途切れ途切れとなった。
「盗賊を治す?俺らの仲間を傷付けた盗賊をか!?」そう言い夜の顔を先程斬られていた魔法士に向ける。魔法士の背中は華奢で女の子だった。
「あいつはなぁ俺の大事な女なんだよ…分かるか??」
(意識が朦朧とする…頬が熱い…)そんな中夜は冒険者の話を聞こうと耳を傾けている。
「俺の仲間を傷付けた奴を治そうとするお前も敵だ。」
そう言い放ち冒険者は剣を抜いた。明らかな殺意を感じ夜は血の気が引いた。
(これはやばい。)
何だこのキチガイ野郎と思うと同時にそれほど仲間の事が大事なのだろうとも思った。
何故か力が入らず…。そして、剣先が触れそうになった瞬間その剣は空高く飛び、それとは逆に夜の髪を掴んでいた冒険者の腕が「ベチョ」と音を鳴らし落ちた。そして、代わりに氷のような透き通った水色の剣が横から見えた。空高く舞、3回回ったあと冒険者の剣は少し離れた地面に突き刺さった。時間がずれて「ああ”…あ”あ”あ”あっ!!」
と嗚咽が冒険者の口から聞こえる。痛みから体を丸めている冒険者に凍った様な視線を向けリーシアは言った。
「貴様…今…何をしようとした…。」
今まで聞いたことの無いリーシアの低い声に殺意と怒りを感じた。
(早く…)
まだ痛みから嗚咽を漏らしている冒険者にリーシアは言う。
「答えなさい。何をしようとした…ッ!!」リーシアは頭に血が上っており他のことなど眼中には無いように見えた。空気がピリピリと電気を流したように震えている。
(早く助けないと…)
早く助けなければあの盗賊が死んでしまう。朦朧とした意識の中夜はリーシアの裾を引っ張りそれに気づいたリーシアに「は…や、く…た……けて…あ、……いと…」(早く助けてあげないと)と言い浅く息をしている盗賊を指さし夜はゆっくりと落ちていく意識と遠くから聞こえるリーシアの声を最後に夜は意識を失った。
「主様…ッ…!」意識を失った夜を見て怒りの糸が途切れただただ夜を心配してリーシアは何度も夜に呼びかけた。
「んん”…。」
息をしていることにひとまず落ち着き、夜に言われた通りリーシアは盗賊を治した。腹の裂傷を治し心臓が止まれば、心臓に電気を流し血を吐き出したあと盗賊は静かにゆっくり呼吸した。
「これで一安心ですね。」
リーシアは夜の命令通り盗賊を治し縄で縛って肩に抱え倒れている夜を抱いたと同時に回復魔法で全ての傷を治し馬車に戻る。
「おい待て!どこに行く気だ!!」
冒険者の声を無視してリーシアは戻っていく。
「おい!!これも治せよ!!」そう言って自分の左腕を差し出した。
「しつこいですね。貴方のお仲間に治させればよろしいでしょう。」
リーシアは冷ややかにこう続けた。
「あなたが死のうが私にはどうでもいい。ただあなたがしようとした事は絶対に許さない。命を奪わなかったことだけでも感謝して下さい。」
それでもまだ吠える冒険者にリーシアは嫌気がさした。
「ああ、もう、うるさい」そう言うとリーシアはスキルを使った。
そのスキルを受けた瞬間冒険者は急に黙り込み腰を抜かし身体を震わせ恐怖に満ちた顔をして失禁していた。
それを見ていた周りは唖然としていた。
リーシアが使ったスキルは―威圧―自分の強さを恐怖に変えるものだ。強ければ強いほど威力は強くなる。そんなスキルだった。
そんなスキルをリーシアから受ければ普通の人は失神、精神の崩壊すらしてしまうだろう。冒険者が失神しなかったのは冒険者が多少なりとも強いという証拠だった。
そして黙り込んだ冒険者を後ろにリーシアは馬車に戻った。夜を抱いている時夜の体温が高く、じわじわと熱が伝わってくるのを感じたリーシアは馬車の荷台に夜と盗賊を下ろし、夜の顔を覗いた。頬が赤く、息が荒い夜の額を触り体温を確認をした。
「…!!何ですか、この高熱…!」
リーシアは体温の上がった夜の体に驚きすぐさまステータスを確認した。
症状:魔力暴走、高熱
「魔力暴走…っ!急がないと!」リーシアは慌てて夜の手を握り魔力を吸い出した。だが吸い出しても吸い出しても夜の魔力は収まらない。30分経ったくらいだろうかやっと夜の魔力は落ち着いた。リーシアは流れた汗を腕で拭い冷ました布で汗をかいている夜の体を拭いた。
「これでひとまずは安心ですね。魔力も呼吸も落ち着いています。」
すぐ近くで見守っていた奴隷達も安心したように脱力した。
そして、夜より先に助けた盗賊が目を覚ました。
「なっ、なんだお前たちは…!………お、俺は生きてるのか…。」盗賊は混乱していたが次第に状況を理解した。
死に際の薄れ行く意識の中見聞きしていたのであろう誰が自分を助けようとしたか盗賊はちゃんと理解していた。
「そうだそこのガキが俺を…おい!大丈夫なのか!?」
目の前の頬を真っ赤にして荒々しい息をして横になっている夜を見て盗賊は心配そうに聞いてきた。
拘束されて何をされるか分からないのに主様の心配をするのかとリーシアは思う。
「今は魔力を落ち着かせただけに過ぎません。」
そう言って立ち上がりリーシアは「今日はここで野営をします」と馭者に伝えた。少し空いたスペースに野営テントを張り、ジェイソン達は料理を始め、少し離れて捕虜となった盗賊は心配そうに夜と夜を抱くリーシアに付き纏った。
片手で夜を抱き抱え、木の棒を地面に押し当て何かを書いているリーシアは書く手を止めることなく盗賊に尋ねた。
「貴方は随分とこの方を心配してくれますが、何故ですか。」
それはとても純粋な質問だった。盗賊が素性の知らない子供の見た目をしている夜のことを何故こんなに心配して気にかけるのか。不思議でたまらなかった。不思議だからこそとても警戒していた。そして、夜の盗賊を助けようという意思を無視してでもこの盗賊が敵の場合処分しようと考えていた。
俯いていた盗賊はリーシアの方を向いた。
「…それは、こいつは…、俺を助けてくれようとしてこんな事になったんだろ、つまり俺の責任だ。盗賊の教えだ。恩は返せって首領の…。」リーシアの目を真っ直ぐ見て盗賊は答える。そして最後の首領という言葉だけが異様に小さかった。そしてまた下を向いた。
「そうですか。……よし出来た…。そこ下がってください何が来るか分かりませんから。」さっきまで何かを書いていた木の棒を適当に投げ飛ばし盗賊に移動しろと伝えた。
「え…?」困惑している盗賊を横目にリーシアは手を斬り血をその召喚陣の中に落とした。
「おまっ!何して!!」手を切ったリーシアに驚き止めようと近づくが盗賊が近づこうとすると膨大な風と蒸気がその陣から発せられ盗賊は少し飛ばされ伏せているのがやっとだった。そして、リーシアは言葉を発した。
「…我が求めに応えよ。我は10柱が1柱リーシア・アルガ。我に下り我と共にせよ。我は汝を欲する者、………」言葉と共にリーシアの魔力が陣に注がれてゆく。ひと呼吸おいて「今一度求めよう。我の求めに応えよ!!」光の柱が魔法陣から眩い光を放ち現れた。光はだんだん狭まってゆき、中から出てきたのは鷹の顔獣の耳、獅子の体馬車を包めこめそうなほど大きな翼を持ち蛇のような長い尾に長い綺麗な体毛を生やした生き物がその陣から現れた。
『ソナタか、我を召喚したのは。…ふむ…良い、悪くない。ソナタに下るとしよう。』
それはグリフォンのような幻想生物に分類される夜が作った生物だった。
「グラーンですか、悪くないですね。」
お互い認めあい、そのまま契約を進めていく、互いに額を当て互いの名前を応える。契約を終え蒸気や風を飛ばしていた魔法陣が消え召喚陣から現れた魔物だけが残った。
「なんだ一体…。」
その光景を見ていた盗賊は目を白黒させながら、混乱していた。そんな盗賊を無視してリーシアはジェイソン達の元へ向かった。
ジェイソン達は突然現れた魔物に驚き、腰を抜かした。
「安心してください。この幻魔獣は召喚獣ですので貴方達を襲う心配はありません。私は少しの間ここを離れます。その間はこの幻魔獣が貴方達を護ります。そして主様の事をよろしくお願いします。」
リーシアはそう伝えグラーンが座っている場所に行き夜を横腹に寝かせ毛皮をかけ【テレポート】でどこかへ行ってしまった。
グラーンの横腹に持たれかける状態で夜はまだ眠っている。主に任された夜に戸惑いながらもグラーンはそばで夜を護った。そして不思議と夜の傍は落ち着いた。
『不思議だ。この者の傍は何故か心地良い。』
そう思いながら主の帰りを待った。
あのイカレ野郎は…個人的に狂ってると思うので好きではありませんね。




