イ・ウンピョの存在
仁祖反正関連。ネタバレ注意。
先頃、執筆中の『亡霊は、鎮魂歌を唄わない―仁祖反正異聞―』にてヒロインの名前を変更しました。多分、これが最終的な変更になると思います。
それに際して、「名前の響きがかぶってる」とか、前からの名前が変更後のヒロイン名とかぶることになったキャラ名を一新することを決めました。
ヒロイン以外で名前の変更を予定しているキャラは、以下の通りです。
◆イ・ウンピョ
◆ハヌルの母、姉…彼女らはハヌルの名前に合わせての変更です(特に姉たちは、変更しないと姉妹の中でハヌル一人だけ名前の傾向が外れてしまうので)。
◆ヒョン一家…全員『ハ』で始まるので。
◆パク・ハテ
◆ファン・ハヨン
◆キェの字(=ハンイル)
並べてみると、ハヌルの家族以外が全員『ハ』で始まるのがお分かり頂けると思います。
『ハ』で始まる名前が響き的に好きなのか……それにしても我ながらかぶり過ぎです(汗)。物理的に登場キャラが多くなったのも一因ではあると思いますが、設定時にちゃんと考えないといけませんね。と反省。
ところで、この中で「別に誰ともかぶってないじゃん」と思われたキャラがいませんか?
そう、表題にもある『イ・ウンピョ』です。
ネタばらしになりますが、彼女はそもそも史実上(先日まで実在確実と認識していたので、敢えてこの表現で)では男性でした。それを女性に脚色して、名前だけ実在の者として描いていました。歴史がテーマの物語ではよくある話なので、別段気にせずに。
しかし、ある史料で少し気になる話を目にしたことと(詳しくは言いませんが)、ほかにも考えるところがあり、作中で『イ・ウンピョ』としてきた女性はまったくの架空キャラとして描いたほうがいいのでは、と思い始めたのです。
それで、ヒロインの名前を最終変更するのを契機に、まずは『イ・ウンピョ』という人物を洗い直しました。
しかし、日本語訳版の実録には名前が載っておらず、首を傾げました。
「自分は果たしてどこからこの『イ・ウンピョ』を引っ張り出して来たのか?」
「何を根拠に『実在』と思い込んだのか?」
と……。
実在と思い込んだ以上、その根拠は必ずどこかにあるはずなのです。
メモを取った記憶もあったので、執筆を始めた頃のノートを漁ったら、幸いなことに出典史料までメモってありました。
その出典史料はここでは伏せさせていただきますが(どの史料か分かった方は、黙って続きをどうぞ)、その史料には『イ・ウンピョ』はチョン・ハンの下で別将をしていたと記されており、永昌大君の暗殺にも関わったことになっています。
ですが、その後『イ・ウンピョ』を漢字、ハングル、カタカナすべてでググりましたが、まったくヒットしませんでした(サッカー選手はヒットしましたけど……)。
ネットにアップされている実録のハングル訳版にでも名前があれば引っ掛かるはずなのですが、それすらありません。
前述した通り、日本語訳版にも名前はなし。
つまり、あくまでも私が個人的に、『イ・ウンピョ』は実在であろう、その人物は永昌大君の暗殺にも関わったと認識した史料は、名が載っていたその史料のみなのです。
唯一、同姓同名でヒットした史料は、同年代だったのですが、イ・スンシンの下で壬辰倭乱の際に海で戦い功績を挙げたという『イ・ウンピョ』、生年は一五五五年、没年は一六一一年で、永昌大君の暗殺に関わろうにも関われません。その前に亡くなってますから。
ヒットしたその史料には漢字記述はなく、私が見た史料にあった『イ・ウンピョ』と同一人物の可能性があるかどうかの確証も持てませんでした。
同じ時代の著名人で、同姓同名がいる訳がないと断ずるのも早計ですが、ひとまず踏ん切りが付いたので、拙作中に登場する『イ・ウンピョ』としてきた人物は、『イ・ウンス』というまったく架空の人物へ修正することにしました。
その後、どう名前を変えるかで随分頭を悩ませましたが、ハヌルに合わせて彼女の母親が『ウンス』だったのを『ミニョン』へと変更したこともあり、『ウンス』となりました。
始めは『ウンソ』としようと思って、漢字バージョンまで考えてあったのですが、これだと実在の人物『パク・ウンソ(漢字は違いましたが)』と丸かぶりなので。
で、これに合わせて一応チョン・ハンも調べ直しました。
今頃になって詳しい史料が出て来てショックを受けた人物がほかにもいたのは記憶に新しいので……ハングル版ウィキだと家族の名前まで載ってたりしますし。
しかし、チョン・ハンは同姓同名、漢字も同じのまったく違う人物しかヒットしませんでしたので、ウンスの設定もそのままにすることにします。今後の展開を執筆する間に何か出て来たら、今度こそ修正はしません(というかできません、という開き直り←)。
ちなみに、漢字も同じ同姓同名の人なのに、今現在ヒットしている人物が違うとなぜ断言できるかというと……そのヒットした『チョン・ハン』は、生まれた年が一〇八〇年だからなのでした(それなのに、なぜか『永昌大君』の日本語版ウィキの『チョン・ハン』の名前からリンク繋がってんですよね……なので一瞬ヒヤッとしましたが、跳んでみてホッとしてガッカリ←何)。
仁祖反正で描いているチョン・ハンは、名前だけは実録にも載っていますが、生没年は不明です。けれど、生きた時代が五~六百年も違えば流石に別人でしょう、ということで。
©️和倉 眞吹2019.
[参考資料]※敬称略
朝鮮王朝実録【改訂版】 朴永圭著、神田聡・尹 淑姫共訳 キネマ旬報社
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