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プロローグ

 皆さんはこのような事を体験した事はないだろうか。

 漆黒の羽根が背中にある女の子と純白な羽根を背中にある女の子が自分の隣で寝ていると言うことを。

 そう、”それ”を今まさに経験しているのが僕――最上 るあ(もがみ るあ)である。女の子みたいな名前だが正真正銘の男だ。

 ただ名前のせいなのかは分からないが、女顔でソプラノボイスだ。そろそろ現実逃避するのはやめよう。

「なんで、隣に女の子が寝ているんだっ!?」

漆黒の羽根がピクッと動いた。

「るあに会うために地上界に来て疲れてるんだから静かにしてなさいよねっ!」

疲れるなら来なければいいのに、と思ったがやめた。きっと心が読めるにちがいない。

 だって、妙に露出度が高い服を着ていて背中には漆黒の羽根がついてるんだよ。絶対に人間ではない。

――まあ、僕もやろうと思えば羽根を出せるんだけどね。

「るあ。私どうしてもやりたい事があるの。分かる?」うん、嫌な予感がしてきた。

「ふみふみ、させて」

「ふみふみ……って、僕を踏もうとしてるの!? たとえ踏んだとしても何もでてこないよ!」

「ドキドキして身体が熱くなるの。だめ?」

「だめに決まってるよ!」

「ん。人が寝ているというのに周りで騒ぐなんて、いじめ?」

「マリアが起きるのが遅いから悪いのよ」

「アリアは寝る子は育つって知らないの?」

「貴女は育ちすぎなのっ! 私のだって自信があったのに貴女のを見たら自信無くしちゃうじゃない。えいっ」かけ声とともにマリアの胸を鷲掴みした。

「あんっ。――アリア、痛い。それに私の胸を触って良いのは、るあだけ」

「そんなことは知ってるわ。私もそうだもの」

 そんな会話が僕の前で繰り広げられていた。ここから逃げようとしたが、魔力では無い"なにかの力"で拘束(レジスト)が掛けられていて動けないのだ。――きっと悪魔っ娘の仕業にちがいない。

「二人とも僕の前でそういう会話は遠慮してくれると嬉しいんだけど」

「るあの前だから話しているのよ」

「アリア、るあの拘束を解いて」

「嫌よ。――るあならこのぐらいの拘束を自力で解けるでしょ?」

たしかにこのぐらいの拘束は解けないこともないが、魔力の半分以上を封印している今の僕にとっては不可能と言った方がいいだろう。

「アリアが解かないなら私が解く」と言いながら純白の羽根を持つ女の子――マリアが自分の顔を僕の顔に近づける。

「わかったわよ! 解くから抜け駆けはしないでっ!」

「そう……。残念」とマリアが心惜しそうな表情を浮かべ僕から離れた。そして拘束(レジスト)が解けたことを身体で感じる。


 僕はふう、と息を吐いた。――その吐息には柔らかくて暖かい色をした粒子が含まれていた。

「封印の1%ぐらいが解けてる……」

 僕の自動魔力封印の解除要素としては二つある。一つは人間より強いものと接触した時。もう一つは封印している時の魔力より多い人間と接触した時だ。

「そうみたいね。私たちと接触したから封印が解け始めてるのね」

僕はアリアの一言を聞いて思わず身構えてしまうがあちらに敵対意識が無いのでといた。

「私たちが持っている魔力と神力をも遙かに上回る量を持っているわ」

「るあは最高神の子供だから」

「そんなこと、ないよ……」やばい。よく考えれば人間とは思えない身体をしていたっけ。


 あれは、僕が幼稚園児だった時の事だった。信号無視をしたトラックが僕に向かって突っ込んできたのだ。

 僕はあまりの事に動くことが出来ず跳ね飛ばされる寸前に、父さんが来て僕を抱きしめて宙を舞った。あれだけの事だったのにも関わらず打撲だけですんだのだ。

 あの後、魔法を使えるようになってから一度だけ解析魔法を掛けてみたけれど解析できなかったのだ。


 そんな思考をしていると爆発音に近い音がした。

「……やっと見つけたぞ。最高神の子をな」と女性は歓喜の笑みを浮かべる。

「マリア、気付かれたわよっ!」

「ん。でもその原因の半分以上がアリアでしょ」

「きゃ……! なにこれっ!?」僕の身体に触手のようなものが絡んでしまって身動きが出来なくなってしまった。

「るあ! るあを放しなさいよっ」

「そう言われて放すとでも思っているのか? そうならばアレだな、ただのアホだ」

「そ、そう。貴女が言いたいことは分かったわ。覚悟はできてるよね?」

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