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初期に書いたものより大幅に改稿しました。

思ったように文が作れず…かなり難産でした。


 着いた公園には誰もおらず、私達の貸し切り状態だった。

 私は周りに大人がいないことに対し嫌な予感がしたのだが、鏡花と白露が楽しそうに遊ぶためその考えはすっぽり頭から抜き去った。




 遊び始めてから5分程経過した頃だろうか。


 文代さんはそろそろ保育園に着いたころかな?などと考えていると白露が「手をあらいに行ってくる」と私に声をかけ、公園入り口付近にある水道へ向かって行った。

 私は念のために鏡花と砂場で遊びながらも白露の姿を目で追っていた。

用心するのに越したことはないからね。


 しかし、嫌な予感とは大体当たるもので…


 念のためと思って見ていただけなのに、私の視界に嫌なモノが映り込んだ。

 それは、公園の入り口から現れた人影だ。

 あぁぁ、何か嫌なフラグが立った気がするのだが、誰か気のせいだと言って。


 その人はヒョロリとした体形の男性で、何故かふらふらとした足取りで白露の方、もとい水道の方へ向かって歩いてきた。

 男性は水道の前で立ち止まり白露に話かける。


 私は眉を少し顰めると鏡花に砂場で待つよう声をかけ、一人で白露の元へ向かう。

 その瞬間、距離的に二人の会話は聞こえなかったため何が起きたのかわからないが男性が白露に向かって声を荒げた。


 何この展開!?

 そう思った私はすかさず男性に向かって叫んだ。


「すみません!!!」


 私の声に驚いたのか男性は白露に向けていた視線をこちらにやる。


 よ、よし。とにかくあの男性と白露を引き離さなくては。


「あ、あの。その子は私の預かっている子でして…。すみません、何かお気に触ることをしましたか?」


 なるべく挑発しないように言葉に気をつけつつ足早に歩き、何とか男性と白露の間に体を滑り込ませる。

 …ってくっさ!この人めっちゃお酒の匂いするんだけど!?

 何!?酔っ払いですか!!?今何時だと思ってるんだコノヤロー!!


 私はなるべくこの気持ちを顔に出さないよう男性に対峙する。

 キレられてもし暴力に走られても小学生の私じゃ対応できないし。何より絶対に負ける自信があるため、ここは穏便に話を進めたい所だ。


「ぁあん?…こぅのガキ、あんらの…ック、おろうとかよ?」


 呂律が回ってないんだけどこの人!本当にどんだけ飲んでんの!?

 か、え、弟?今預かっている子って言ったばかりなんですけど。

 無理ゲーすぎる、話し合える気がしない。いや、むしろ話し合いたくもない。


「いえ、今お預かりしているお子さんでして。あの、何かしてしまったのでしたら謝りますので…」


「何かしらもねぇよ!こいつ、俺が話かけれるのにちっろも表情変えないれよぅ!ムカつくったらありゃしねぇよ」


「そうでしたか。この子はあまり表情を変えない子でして…。ですが、感情の変化が無いわけではないんですよ?今も貴方に怯えていますので、どうか許していただけないでしょうか?」


 現に、あなたに怯えて私の腰に抱きつき震えているのが目に見えませんか?


「はぁ?どこが!?ちっろも泣きもしねぇじゃねえかよこのガキ」


 あぁ、駄目だ。話が全く通じない。

 そしてさっきからガキガキうるさいなこの人。まともに相手するのも嫌になる。


 私がイライラしながらも目の前の男の話を聞いていると視界の端に、見覚えのある犬の飾りが付いた髪ゴムとツインテールが映った。

 

 えっ?鏡花!?何時の間に!!?


「あぁん?何らよ、このガキ?」


 そう言って鏡花の方へ手を伸ばす男に思わず叫んでしまった。


「鏡花に触わるな!!」


 先ほどの白露に対する物言いからのストレスもあり、つい怒鳴ってしまったことに頭が一瞬にして真っ白になる。


 しまった。この男を怒らせたかも…と思ったのだ…が…


 男性と鏡花の間に、見たこともない銀色の毛並みをした巨大な犬が現れ男性を威嚇している。





 な、何事??


 突然現れた巨大な犬に茫然とする白露と鏡花、と泡を吹いて倒れている酔っ払い男。


 はじめは唖然としていた私だが、こちらを向いている巨大な犬と目があった瞬間に一つの答えが自分の中ですんなり浮かびあがった。





 ああ、これは私が授かった天からの贈り物ギフトであると。

 そして、どうやら私が授かった能力は自身の創造物を操るものらしい。


 このままにしておくわけにもいかないので白露と鏡花に男から距離をとらせる。

 そして、一人で男の元へ向かい、一応泡を吹いて倒れている男の頭を横に向けることで気道を確保をしておく。…頭とか強く打ちつけてなきゃいいんだけど。


 安心させるために鏡花と白露の傍へ巨大な犬を置き、私はあるイキモノを創造した。


「わぁ!!小鳥さんっ!!?」


 嬉しそうに声を上げる鏡花に対しにっこり笑い、黄色い小鳥を保育園に向けて飛ばした。

 自分の創造物とは意識共有も出来るみたいなので、小鳥を使い文代さんに事情を説明した後、警察を呼ぼうと考えたわけなのだが。




 …はぁ、

 まさか私が贈り物なんかを授かるなんて。


 これからどうなることやら。






 文代さんが来るのを待つ間、巨大な犬と楽しそうに戯れる鏡花と白露の姿を見守る。

 白露は酔っ払いの男をとても怖がっていたが、巨大な犬の出現によって気が紛れたみたいだ。良かった、良かった。


 巨大な犬とじゃれあう園児達という微笑ましい光景に、ついさっき起きた出来事を忘れ一人和んでいたのだが…


 あら?良く見たらこれ、犬じゃなくて狼だ。


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