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いろいろデタラメなので適度に流していただけるとありがたいです(汗)

もともと書いていたシナリオが1話と繋がらなかったので書き直したのですが、やっぱり繋がらず…時系列あっちいったりこっちいったりしてます、すみません!!


 私、小鳥遊潮の朝は早い。


 起床は毎朝5時。起きたら着替えて顔を洗い、身支度を整える。

 その後キッチンへ向かい父のお弁当と家族3人分の朝ごはんの準備に取りかかるのである。

 え?なぜ父がいるのに10歳の私が朝早くからこんなことをしているかって?

 そんなの父が不器用すぎて家事が出来ないからに決まっているではありませんか。







 鏡花を出産後、わずか一週間で母が亡くなってから、父はゲームのシナリオ通り荒れに荒れた。


 仕事には行くが家に帰ってからは食事も睡眠もとらない毎日。ひたすらに仕事をして現実逃避をしているようだが何時までもこのような生活を続けていると父の体調面を考えてもよくない。それに、父はすっかり私達子どもの存在も頭から抜け落ちてしまっているようで、私達に関する物が何一つないのも問題だ。

 鏡花なんかは特に、ミルクもこちらであげなきゃならないし、オムツも取り替えなきゃならない。あと、コミュニケーションもたくさんとらなきゃいけないんだっけ…。弟の面倒を見たことがあっても子育てなんてしたことないよ。悪役フラグをへし折る以前の問題だね。


 …はぁ、どうすればいいんだろう。





 そんな日が数日続いたある日、父が会社で倒れたらしい。

 原因は過労と軽い栄養失調だったらしく会社の人が病院に連れて行ったあと、自宅まで送り届けてくれた。


 とうとう私の堪忍袋の緒が切れた。

 もうこの父親意味わかんない。奥さん亡くしてショックなのはわかる。だけど、それとこれとは別でしょ?母が命がけで生んだ子を放置とか、馬鹿なの何なの?


 元々、鏡花の性格が捻くれてしまうのは父親に原因がある。

 父親がしっかり愛情込めて育児をしなかったことにより鏡花はやって良いこと、悪いことの判別がつかなくなってしまうのだから。

 まったく、このままでは鏡花が破滅の道を辿るライバルキャラになってしまうではないか。

 父親でしょ、責任果たせこの野郎。


 というわけで勢いに任せて父の寝ている部屋へ突撃し今までの鬱憤を晴らさせていただいた。

 もちろん父は今まで自分のことだけで精一杯で子どもの存在を忘れていたのだ。自分の家に子どもがいることに驚き、自分がこの数日間どのように生活してきたのか意識をはっきりさせた後、泣きながらめちゃくちゃ謝って来た。



 あれ?もしかして、これもっと早く存在アピールしておけば父の意識ははっきりしてた?

 だって、鏡花はまだ0歳だし。一人なんかじゃ生活できないよね?

 ゲームでは鏡花の泣き声で父が正気に戻る感じだったのかもしれない。私が鏡花の面倒見ちゃったせいで一日中泣きっぱなしなんてこともなかったし、何より鏡花は何故かとても寝つきがいいせいでたいした夜泣きもしなかったのである。

 ゲームではライバルキャラの過去なんてそこまで詳しくシナリオ化されていないから知らないけど。


 …うーん、余計なことしちゃってたかな。



 私がキレたこの日から小鳥遊家の生活がガラリと変わった。


 まず、仕事ばかりだった父は次の日から私達子どものいるリビングでソワソワするようになった。

 父は決して子どもが嫌いというわけではない。なぜなら、今までこの整った綺麗な顔の表情が崩れたのをあまり見ていないのも、話す声をあまり聞いていないのも父が溺愛していた母が生きていたころと変わりは無いのだ。

 要するに、父はただの口下手で人の感情に疎くついでに表情筋も硬い不器用な人なのであった。ゲームではたぶん、自分なりに一生懸命愛情込めて育児してたけど子どもに届いてないパターンだったのだろう。

 ゲーム開発者に一言物申しておく。…この人子育てするのに向いてないよ。



 さて、次に変化したのは鏡花の昼間の生活場所だ。今まで頼れる親戚などがおらず私が子守をしていたが、鏡花が保育園に入ることができるようになるまで近所のおばあちゃんが預かってくれることになったのだ。子どもは親の手を離れ、旦那さんと二人で家にいても手持無沙汰だったらしく丁度良いみたい。

 さすが美形な父である。困っているとご近所さんが手を差し伸べてくれるなんて、今の時代そうそうあることじゃないぞ。


 ついでに、向こうからの提案で私もおばあちゃん宅で一緒に面倒見てもらうことになりました。まぁ、今更保育園行ってもねって感じだしね…せめて人数が増えてしまった分鏡花が迷惑かけないように私がしっかりしなければ。



 とまぁ、ここまでは良い変化だったのだが…次が問題である。


 なんと、様々な面において不器用な父が家事をやりはじめたのだ。

 掃除に洗濯、料理など…結果は散々たるものだった。

 野菜を切る際、猫の手もできない父を見かねた私は踏み台を持ってきて父の隣に立ち、父から包丁を取り上げてシンクに置く。そして、代わりにもう一回り小さい包丁を出して、せっせと野菜を切って鍋にぶち込み料理を始めた。


 前世で培った家事能力は伊達じゃないんだからな、甘く見てたら怪我するぜ。と父が目を白黒させているうちに手際よく進めていく。

 父が戸惑いつつ低い声で「う、潮…?」と声をかけてきたので笑顔で言ってやった。


「父さん、ごはんはもういいのできょうかのようすを見てきてください」




 この日から現在に至るまで、家事は私が担当している。

 父は自分の体調管理と仕事と子どもに教育及び愛情を注いどいてくれればいいからね、特に、最後の項目が重要だよ。


 父は最初、かなり戸惑っていたが「父さんがおしごとしているあいだ、だれがかじをしていたと思いますか?」と鼻で笑ってやったらしょぼんとして引いていった。無表情だったけど。


 可愛げない不気味な息子でごめんなさい。でもね、こんな風に話さないと貴方の息子さん前世に引きずられて女々しい言葉遣いになっちゃうんです。そして、父の料理する姿は危なっかしすぎて見ていられなかったんです。


 敬語で息子に話しかけられた父は、自分が子どもをほったらかしにしたから他人行儀にされてしまっていると思っていたらしい。しかし、私が鏡花に接するときも敬語なのを見て何か納得したらしく、それ以来特に気にした素振りは見せなかった。


 色々残念な父万歳である。








「お兄ちゃんおはよう~!わぁ~、きょうもおいしそうだね!!」

「おはよう、潮」


 物思いに耽りながら準備を進めていると、朝食の匂いにつられて父と妹が起きてきたようだ。


「おはようございます、父さん、鏡花。もう少しで準備できま…鏡花、後でお兄ちゃんが髪の毛結び直してあげますね」


 …父よ、妹の髪の毛を結んでくれるのは嬉しいがそのツインテール、どう見ても高さが左右で違うのだけど。


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