まどろみの中で望むもの
今日も精神的に色々と疲れたリルは、自室に戻ったあとベッドの寝転び、静かに思考を巡らせていた。
この夢に似て非なる世界に迷い込んで3回目。状況に飲み込まれ振り回されてきた。
ほとんど何も分かっていないという状況は変わっていない。自分の過去に対しての複雑に渦巻く感情は簡単に消えたりはしない。
だが、一人になって少し時間を置くと、だいぶ心が落ち着いてきていた。
少年の話を全て真に受けるわけではないけれど、けれどここは過去ではない。記憶と違うことが起きているのだからそれは確かだろう。
ならば、この世界はなんなのか。あの少年あの時は怒りがわいたが、それは期待をしていたからこその怒りだ。
少年が何を知っているのかは知らない。だが、何か知っている。大きな期待が一瞬にして膨らんだのも束の間、そのまま放られて子どものように癇癪を起こしたのである。今考えるとなんだか恥ずかしい。誰にも見られなくてよかったと思う。
ただ、少年との会話でリルは今一度自分の置かれた状況を省みることができた。
リルはこの世界が夢でないと考え始めてから、ずっと考えていた仮説があった。それは少年の言葉によって確信に近いものにかわっている。
この世界の魔力は人間の核に宿っている。核とは魂のようなもので、そこには記憶も宿っている。
記憶をそのまま受け継いでいるのは、きっとこの核の存在があるからだとリルは解釈している。
地球で魔力を感じることができないのは魔力を感じる器官がないからだろう。
それを前提に考えて、この世界が夢でもないならば、記憶を内包する核が何らかの形でこの世界に移動しているのではないか。
そう考えると、もし記憶を持つ人間がいたら、自分と同じ状況になっているのではないだろうか。
マオ・アーベンズ。
ジェミクス・インテクター。
ビルズ・ホーギー。
ダイラン・フォルト。
リルの記憶と違う行動をしている人間は今の時点で思いつくだけでこの4人だった。
マオ・アーベンズについては確実に何かを知っている。敵意はなさそうだが、あの調子を考えるとまともに答えてくれか怪しい。
そして、ジェミクス・インテクターも何かある。最初にあったときの自分の名前を聞いた時の反応は明らかにおかしかった。だが、真相を知っているかというとどうだろう。
他の2人についても可能性としてそうであるかも知れないというくらいの話である。
リルは枕に顔を伏せて大きくため息を吐いた。
情報が圧倒的に足りない。何度考えてもこれ以上は想像の域を出ない。あれこれと考えすぎて頭が痛くなってくる。
昼間は感傷的に仲間が欲しいと思ったが、今現在は切実にこの現状打破のために同士が欲しかった。
吉村やレオがそうであればいいなと淡い期待を胸に宿しながら、リルの意識はまどろみの中に消えていった。




