世界を繋ぐ第一歩6
今朝、一度来た特別図書閲覧室にやってきたリルたちは、カウンターを覗き込む。だが目的の人物はいない。
「あれ、いないね」
キーラが身を乗り出してガラスの中を覗き込む。朝利用できたのだから閉館ということはないだろう。実際に入口は解放されたままだ。
「とりあえず、ベルを鳴らしてみたら?」
「そうだね!」
キーラがベルを鳴らす。少し待ってみたが誰かが来る気配はなかった。
「やっぱりいないのかな?」
互いに見合っていると後ろからなにか転げ落ちるような音がとともに悲鳴が上がった。
「うひゃあ!」
その声に振り向くと階段の一番下にくすんだ冊子が床一面に無残に散らばっていた。その一部はリルたちの足元まで飛んできていた。
本が落ちてきたであろう階段の上に目を向けるとそこには赤毛の少女が立っていた。呆然としていた少女は直ぐにリルたちに気がついて顔を青くした。
「すみません!!大丈夫ですか!?怪我してませんか!?」
少女はそう叫びながら階段を下りてきた。その足元を見てリルが「あっ」声を出した時にはもう遅かった。
「ひぇあ!?」
少女は冊子に足を取られて後ろ向きに派手に転倒した。
一連の出来事に驚きながら、冊子を踏まないように少女に近寄りリルたちは声をかけた。
「大丈夫ですか?」
声に気付いて起き上がった少女は眉尻を下げながら慌てて頷いた。
「だ、大丈夫です!私とても丈夫なので!」
「そっか、怪我なさそうでよかったね!とりあえずこの、冊子片付けよっか!」
キーラがそう提案して、リルも同意して冊子を集めだす。
「はわわわ、すみません!!」
そう言いって少しためらいを見せながらも少女も冊子を集めだした。
散らばった量はそれなりに多い。これが人の通らない場所なら少女はひとりでやりますといったのかもしれない。
だが、さすがに人が少ないといっても地上に出る出入り口に冊子を散らばらせておくのは通行の邪魔であると思ったのだろう。
冊子をすべて集め終わって、カウンターの上に全て置くと少女はまた、申し訳なさそうにリルたちにお辞儀をした。
「すみません。手伝ってもらってしまって。ありがとうございました」
ふたたびあげた顔を見てリルもキーラも少し驚いた。大きな瞳は金色に輝きその瞳孔は縦に長く決して人のものではなかった。それに気がついて声を上げたのはキーラであった。
「全然いいよ!それよりもしかしてその眼、竜人の瞳!?竜人族なの!?」
はしゃいだようにキーラが尋ねると少女は目を数回瞬かせて直ぐに頷いた。
「は、はい、一応竜人族の血筋です。今度こちらで臨時職員として働くことになりました。ジェミクス・インテクターといいます。どうぞよろしくお願いします」
ジェミクスはそう言って気弱な笑みを浮かべ再び深くお辞儀をした。
初登場のしょっぱなから名前を間違えていました。訂正しました。汗
ディミクス→× ジェミクス→○(2014.9.16)




