表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/98

世界を繋ぐ第一歩2

 広い図書室の本棚の間を抜けて、たどり着いた先には青いドアが横一列に並んでいた。

 その内の一つに向かってウィルが飛んでいく。


『未使用を確認しました』


 ウィルの言葉を聞いて、リルは手をかざして開いたドアの中に入る。そこにあるのは銀行のATMに近い形の機械がある。これが、目的の検索装置である。


『起動しますか?』


「おねがいするわ」


『了解しました』


 ウィルの返答と同時にヴンッという音がして画面が明るくなる。それを目視してリルは鞄から例のガラス板を取り出して画面の上にそれを置く。


『検索を開始します』


 ガラス板に淡い光が灯る。


 この検索装置は機能としてはインターネットの検索機能と非常に似ているのだが、パソコンと違って入力式ではない。


 画面上に置かれたガラス板の文字を読み取って検索を行う。ただし、その文字は魔力を帯びていることが条件である。


 リルがわざわざ魔法で文字を書き込んだのはこのためである。

 この検索装置は一般家庭には普及しておらず、図書館や学校、公的機関にのみ導入されている。


 一方このガラス板は魔力を吸収しやすい素材で、魔法の訓練によく使うので魔法具専門店にいろいろなメーカーのものが置いてある。

 ちなみにリルが今回使ったのは少し前にもらった王立研究所で作られたサンプルある。

 実のところリルはこれを今日初めて使ったのだが、思いのほか使いやすくて少し驚いていた。以前使わずにしまいこんだことが悔やまれる一品だった。

 そんな事を思っているうちに検索は終了し、光が消えて画面が元に戻る。


『結果が出ました。表示します』


 ぱっと目の前にフォログラフのようなものが現れる。


 そこには人形ほどのサイズの見知った姫の立ち姿がある。そしてその横には“エミリア・テ・ヒイル・エアリア”と浮かびあがり、その下に説明が続く。


 この見知らぬ文字の検索結果にちゃんと姫の名が出たということは、この文字がこの世界に存在する文字であるということにほかならない。


 さらに詳しく調べるためにリルは別の魔法を発動するために目を一度閉じた。


 その瞬間リルの周りに淡い青い光が灯る。それに呼応するようにウィルに瞳が青く輝く。


『脳神経細胞活性化、リル・リトル固有魔法アイシス・アイズの発動を確認しました』


 再びリルはまぶたをそっと開ける。黒いはずの瞳は魔力を帯びて青い透明な光を帯びる。


 この魔法はウィルの言うとおり、リル固有の魔法の一つで精神系強化魔法に分類される。

 その効果は目の神経を魔力によって最高まで強化することで動体視力を跳ね上げるというものである。

 単純な作用のように思えるが実際この手の強化魔法は下手に使えば神経を傷つける可能性がある。

 だが、伊達に特別な教育を受けてないリルにとっては、できなくてはおかしいレベルの魔法である。


 リルはそのままよどみなくウィルに指示を与える。


「ウィル、検索結果をすべてのページを最速スピードで表示して」


『了解しました』


 リルの指示に通り姫の姿が消え、画面が変わっているのかわからない程のスピードで画面が変わっている。

 そしてほんの数秒の間に全てのページの表示が終わり、リルは再び目を閉じそのままウィルに告げる。


「36ページを再表示してちょうだい」


『36ページを表示します』


 ウィルの言葉と同時に元の色に戻った黒い瞳に映ったのは白いドラゴンの姿であった。


 そのドラゴンは瞳が大きくてトカゲに似た体躯にコウモリ羽が生えている。全体的に非常に愛らしい印象を受ける。

 リルの見たことのない竜族であった。説明書きを見たところフェイルドラゴンという世界最小の竜族で、総数は千にも満たない少数民族らしい。


「フィ・・・フィイァリェイテューズ・・・でいいのかしら?」


 リルは書かれた文字をどうにか発音した。

 どうやらそれがガラス板の言語の名前らしい。確かに利保の言った通り、無理やりカタカナにしたような感じで非常に発音しにくい上覚えにくい。


 さらに文字を追っていくと、”民族間でのみ使用される言語。発音が一般的でないので通称フェイル語とも呼ぶこともある”と書かれていた。こっちのほうが親切である。


 やはり、あの書物に書かれていたのはこの世界の文字だった。あちらにはない文字で書かれた書物が存在するということは、自分と同じようにこの世界の記憶を持って生まれ変わった人間がいる、もしくは、過去いたということになる。


 そして、そんな本を貸し借りしているということはもしかしたら吉村とレオのどちらか、もしくは両方このフェイルドラゴンの生まれ変わりかも知れない。


 リルは期待となんだかよくわからない興奮で鼓動がはやるのを感じた。

 予想していたがいざ目の前につきつけられると頭の中に目まぐるしくいろんな思考外り混ざる。そんなリルの心境をよそにウィルが嘴を開く。


『授業開始まで後、15分です』


 リルはウィルを見て数回瞬きをし、はっと我に返って急いでガラス板をカバンにしまい早歩きでその場を後にする。

 いろいろ調べたいこともあったが、編入二日目にして遅刻は避けたい。


 入口のマギルタに素早くお辞儀をして駆け出すと後ろから「いってらっしゃい!」と声がかかる。リルは一瞬振り向いて笑顔で返事をし、そのまま大急ぎ階段を駆け上がる。


 いつもの教室ならいざ知らず、今日は一時間目から野外実習でのため打行儀に着替えて運動場に行かなくてはならない。

 

 特別図書閲覧室から更衣室までは歩いて約10分。更衣室から運動場目で歩いて約10分。1時間以上前に学校に来たはずのリルだったが、結局全力疾走の末、大急ぎで着替えて慌ててグラウンドに向かうことになった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ