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変わらない日常1
いつもなら耳にも入らないだろう、窓越しに微かに聞こえる鳥の鳴き声が耳に響く。
目を開けずにごろりと寝返りを打ってみるが、いつものような睡魔は訪れない。
何故だろうかと考えるが、考えたからといって答えが出るわけでもなく、ふと薄く目を開けるといつも見ているクリーム色の天井がぼやけて見える。その時、初めて自分が泣いていることに気がついた。
そして一呼吸して小さくため息をはいた。
「やな気分・・・」
そう一言呟くとふらりと上体を起こしてベッドサイドに置かれたレトロな置時計に目をやった。 時刻は10時を過ぎた頃。なんの予定もない夏休みの1日としたら妥当な時間だと思った。
カーテンの隙間からから入る眩しい光が、今日も暑い1日になることを予想させる。嫌々カーテンを開けて、憎らしいくらいに輝く太陽を見て顔をしかめる。
相川柚姫の変わらぬ日常はいつもと変わらぬ憂鬱な気分で始まった。