14/98
夢と現の間4
フレイルの家を後にした柚姫は、昔を思い出しながら懐かしい自分の部屋へと足を運んだ。そして、扉を開け暗い広い部屋の真ん中にあるベットの上に力なく崩れ落ちる。
何がどうなっているのか思考を巡らせるも、堂々巡りで答えは出ない。だが、フレイルのおかげで気分は次第に落ち着いてきた。
正確に言うとフレイルのスープのおかげである。というのもフレイルの作るスープには少し特殊な魔法薬が使われているからである。
魔法薬といっても、地球で言うハーブのようなものなので効能もそれに似ている。ただその魔法薬の抽出法は、その名の通り魔法で行うので地球のそれよりも効果が高いといえよう。
フレイルは魔法薬の専門家とも言えるほど詳しく、普段からそれらを料理に使っている。
普段食べていた料理とは少し違う独特の風味だが、リルにとってそれは幼い頃から食べ慣れた味で、どんな高級料理よりも好きだった。
「これが夢でも夢じゃなくても・・・」
懐かしい味と懐かしい人たち。今はただ嬉しいと思う自分がいる。
心に湧いた温かくそして少し寂しい気持ちを胸に自然と意識がゆらりと沈んでいく。
フレイルの魔力に包まれて後はただ静かにまどろみの中に落ちていくだけである。




