夢と現の間3
窓から射していた明かり既に暗くなり、代わりに魔法のランプの暖かい光が室内を照らす。
「ほれ、これでも飲んで落ち着け」
そう言って静かに座っていた柚姫の目の前にそっと差し出されたのはスープカップ。そっと手に取ると、じんわりと暖かくてほっとした。
そして言葉なくひとくち飲むと懐かし甘いミルクのような味が口の中に広がった。
少し落ち着きを取り戻した柚姫は目の前のドラゴンに目を向けた。椅子に座った柚姫が少し見上げた高さにドラゴンの翡翠のような瞳が輝いている。
フレイル。
それがこの青いドラゴンの名前である。
「もう大丈夫。ごめんなさい、フレイル」
「そうか。まぁお前さんは色々あらぁな。吐き出したくなったら言えや」
そう言ってフレイルは歯をむき出しにした。顔面は硬い皮膚に覆われていて表情筋がないので一見威嚇しているように見えるがそれがドラゴンの笑い方であることを知っている柚姫は釣られて笑い返す。すると硬いウロコに覆われた手が柚姫の頭にぽんぽんと叩く。
「それ飲み終わったら、部屋に帰って寝な」
フレイルはぶっきらぼうだがとても優しい。それが無性に嬉しくて素直に頷いてスープを口に含んだ。
これが夢ならばなんて幸せで残酷な夢なのだろうか。それでももう少しこのままでいたい。そう思うくらいに柚姫はこの世界に未練を残していた。




